104 きみのこころがつたわってくる。わたしのこころの中に。
きみのこころがつたわってくる。わたしのこころの中に。(わたしのこころも、きみのこころの中に、つたわっているのかな? もし、そうだったら、ほんとうにうれしい)
「涙なんてすぐに乾いてしまいます。意味のないことです。泣くのはおやめなさい。ひかり」とひまわりは言った。
「……はい。ひまわりお母さん」とぽろぽろと涙をこぼしながら、ひかりちゃんは言った。
「ひかり。それにつばさ。こっちにきてください」とひまわりは言った。
すると、つばさちゃんが豪華な客席の影から顔を出して、それからひまわりの横にとことこと歩いて移動をした。ひかりちゃんも(ぽろぽろとこぼれる涙をてのひらでぬぐいながら)泣きながら、ゆっくりと動いて、つばさちゃんとは反対側のひまわりの横に移動をした。
つばさちゃんとひかりちゃんは、それぞれ、ひまわりの左と右に立っている。
「まめまき。もう、わかっていると思いますが、幽霊ホロウの街はもうすぐ、すべてが崩れて、なにもかもがなくなってしまいます。そうなる前に、私はこれからつばさとひかりと一緒にこの列車にのって、幽霊ホロウの街から出ていきます。あなたはどうしますか? もしこの列車に一緒にのりたいというのなら構いません。一緒に幽霊ホロウの街を出ましょう。ただし、ひとつだけ条件があります。それはまめまき。あなたが今、所属している組織を抜けて、スパイをやめて、昔のように、私の仲間になってもらうことです。どうですか、まめまき。命が助かる条件としたら、悪い条件ではないでしょう。そうすれば、今のように離れ離れではなくて、私たちは昔のようにずっと二人で一緒にいることができます。私と毎日、同じベットの中で眠ることができますよ。毎晩、私に好きなだけ、甘えることができるのです。眠る前にキスもしてあげます。……それに、まめまき。本音を言えば、私はまだあなたに死んでほしくないのです。生きていてほしいのです」と(薄いヴェールのうらで妖艶に笑って)ひまわりは言った。
そのひまわりの言葉にまめまきはすぐに「ひまわり。私はあなたの仲間にはならない。……絶対に」と(ひまわりを片方の目で、にらみつけながら)強い言葉で言った。
するとひまわりは小さくため息をついてから、「そうですか。とても残念です」と(本当に残念そうな顔と声で)まめまきに言った。
「ひまわり。もしあなたがこのままこの幽霊列車で幽霊ホロウの街を脱出するのなら、私は爆弾を爆発させて、幽霊ホロウの街が崩壊するよりも先に、こなごなにこの幽霊ホロウの街は破壊する」とまめまきは言った。
「まめまき。その爆弾というのは、一個、あなたが爆発させた、あなたが幽霊ホロウの街のあちこちに仕掛けた小型の爆弾のことですか? それとも『あなたが乗ってきたUFO、そのものである(地下世界を全部吹き飛ばせるくらいの破壊力のある)大型の爆弾』のことですか?」とひまわりは言った。
そのひまわりの言葉を聞いて、まめまきは、……なんだ。最初っから全部ばれていたんだ、と思った。(まあ、そうじゃないかとは思っていたけどね)




