↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/53

6話 鉄を取ったら金貨に化けました



 ゴブリンから全力で逃げた私は。


「……もう、あっちには行きません」


 息を整えながら、ゴブリンがいた方向とは反対へ歩き始めた。


 鉄鉱石を採りに来たのだから。


 採らずに帰るわけにはいかない。


「せっかくピッケルも買ったんだし……」


 私は小さなピッケルを握りしめる。


「頑張ろう」


     


 それからしばらく歩いた。


「……ない」


 岩場を探す。


「こっちかな?」


 違う。


「あっち?」


 違う。


 図鑑を開いて確認する。


「鉄鉱石は、こういう岩の近くに……」


 また歩く。


 少し登る。


 下る。


 岩の隙間を覗く。


「……」


 見つからない。


「疲れた……」


 座り込みそうになった、そのとき。


「……あれ?」


 少し先の岩壁に、不自然な色が見えた。


 近づいてみる。


「これ……」


 私は《素材採取》を発動する。


 頭の中に情報が浮かんだ。


《鉄鉱石》


品質:最高


採取推奨部位:鉱脈中央部


推奨採取方法:周囲を削り、中心部を打撃


「……あった!」


 鉄鉱石の鉱脈だ。


「やった……」


 私は嬉しくなって、さっそく図鑑を開く。


 採掘方法を確認する。


「まず周りを削って……」


 図鑑に書かれている通りにやってみる。


 小さなピッケルを使って。


 コン。


 コン。


 カン。


「……こうかな?」


 少しずつ岩を削っていく。


 そして。


 中心部分へ。


「えいっ」


 コンッ!


 すると。


 カラン。


「……?」


 小さな鉱石が落ちてきた。


 拾ってみる。


《最高品質・鉄鉱石》


「……」


 私は目を丸くした。


「最高……?」


 すごいのかもしれない。


 でも。


 鉄は鉄だ。


「……ただの鉄だし」


 私はあまり気にしなかった。


「いっぱい採ろう」


 コン。


 カン。


 コン。


 カン。


 採る。


 採る。


 採る。


「……いっぱいある」


 鉱脈を掘っていると、次々と鉄鉱石が出てくる。


「これも」


 カン。


「こっちも」


 カン。


「まだある」


 カン。


 気づけば。


 魔法袋の中は鉄鉱石でいっぱいになっていた。


「これだけあれば、依頼の分は十分だよね」


 私は満足して、鉱脈を離れた。


     


 帰り道。


 私はのんびり歩いていた。


「今日はちゃんと採れたなぁ」


 ゴブリンには会ったけど。


 鉄鉱石は採れた。


 新しいピッケルも使えた。


 魔法袋も便利だった。


「買ってよかった」


 そんなことを考えていると。


「……ん?」


 道端に何か落ちている。


 石ころ。


 どこにでもありそうな、ただの小さな石だった。


「……石?」


 私は何となく拾い上げる。


 その瞬間。


《素材採取》が反応した。


「……え?」


 頭の中に表示が浮かぶ。


《???》


「……?」


 名前が分からない。


 品質も分からない。


 何も表示されない。


「なんだろう?」


 私は石を裏返す。


 もう一度見る。


「……分からない」


 でも。


 スキルが反応したということは。


「何かの素材なのかな?」


 私は少し考える。


「……とりあえず、拾っておこう」


 魔法袋に入れる。


 今は分からなくても。


 いつか分かるかもしれない。


「帰ろう」


 私は町へ向かって歩き始めた。


     


 そして。


 ギルドへ戻る。


「ただいま戻りました!」


「ラウラさん、お帰りなさい」


 受付嬢が笑顔で迎えてくれる。


「鉄鉱石の採取依頼、完了しました」


「はい。では、採ってきたものを確認しますね」


 私は魔法袋を開く。


「こちらです」


 どさっ。


「……」


 受付嬢が固まった。


「……ラウラさん」


「はい?」


「これは……?」


「鉄鉱石です」


「鉄鉱石……」


 受付嬢が山になった鉱石を見る。


「……こんなに?」


「いっぱいありました」


「…………」


 受付嬢は一つ手に取る。


 鑑定魔道具にかざす。


「……」


 表示を確認する。


 そして。


「……最高品質」


「はい?」


「この鉄鉱石、全部……最高品質です」


「……そうなんですか?」


 私は首を傾げる。


「ただの鉄ですけど」


「ただの鉄じゃありません!」


 受付嬢が叫んだ。


「最高品質の鉄鉱石ですよ!?」


「……?」


 どうやら。


 私はまた、普通ではないものを採ってきたらしい。


「依頼品としては十分すぎます」


 受付嬢が一つずつ確認していく。


「こちらも最高品質」


「はい」


「これも」


「はい」


「こっちも……」


「はい」


「全部……」


 受付嬢が頭を抱える。


「全部、最高品質です……」


「いっぱい採ったので」


「そういう問題ではないんですよ……」


 私はよく分からないまま、結果を待った。


 そして。


「今回の報酬ですが」


 受付嬢が袋を取り出した。


「金貨一枚です」


「……金貨?」


「はい」


「一枚?」


「はい」


 私は目を丸くする。


「鉄鉱石を採っただけなのに……」


 金貨一枚。


 十万円。


「……えへへ」


 私は嬉しくなった。


「採取って、楽しいかもしれません」


 昨日は金貨二十七枚。


 今日は金貨一枚。


 この調子なら。


「もっといっぱい採ったら、もっとお金持ちになれそう」


 私は笑顔で金貨を受け取った。


 そして。


 魔法袋の中に入れた、あの謎の石のことは――


 すっかり忘れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。