56話 雇ったメイドは有能すぎて!!
「……家事をお願いできる人を雇いましょう」
国王陛下から屋敷をもらって数日後。
ラウラは、居間のソファに座りながら真剣な顔で言った。
「そうだね。あの広さを四人で掃除するのは大変だよ」
ギルティがうなずく。
「料理も洗濯も必要なのだ! あちしは薬の研究で忙しいのだ!」
「リリスも魔導具の工房を整えたいですし……家事まで手が回りません」
三人も賛成だった。
問題は、費用である。
「……人を雇うのにも、お金がかかりますよね」
ラウラは財布を取り出して、中身を確認した。
国王陛下から褒美をもらったとはいえ、無駄遣いはできない。
家を維持するためにも、今後の素材採取のためにも、お金はいくらあっても困らないのだ。
「まずはギルドに相談してみましょう!」
こうして四人は、王都の冒険者ギルドへ向かった。
「家政婦を十人、ですか?」
受付嬢は、依頼内容を聞いて目を丸くした。
「はい! お掃除や料理、洗濯などをお願いしたくて……」
「そうですね……。雇う方の経験や仕事内容、待遇にもよりますが、十人ほど雇用するとなると、月に金貨一枚以上は必要になると思います」
「…………え?」
ラウラの顔が固まった。
「月に……金貨一枚以上?」
「はい。もちろん、条件によって金額は変わります」
金貨一枚。
十人分の給料として考えれば、決して不自然な金額ではない。
だが、ラウラにとっては大問題だった。
「ま、毎月……?」
「はい。基本的には毎月のお支払いになります」
「…………」
ラウラは、そっと財布を抱きしめた。
毎月、金貨が一枚以上消えていく。
一年で金貨十二枚以上。
しかも、それは家政婦さんたちの給料だけだ。
食費や屋敷の維持費まで考えたら、どれだけお金が必要になるのだろう。
「……ラウラちゃん、大丈夫?」
ギルティが心配そうに声をかける。
「……大丈夫です。まだ大丈夫です」
「ちみ、顔が大丈夫じゃないのだ」
「でも、家事をする人は必要ですよね……」
リリスが困ったように言った。
「そうなのだ! あちしたちは研究や仕事で忙しくなるのだ!」
「私も鍛冶場を整えたら、しばらく作業に集中したいしね」
「リリスも魔導具を作りたいです……」
四人は顔を見合わせた。
家事を自分たちでやるか。
それとも、お金を払って人を雇うか。
数分間、真剣に悩んだ末。
「……雇いましょう」
ラウラが決断した。
「家事に時間を取られて、素材を採取できなくなったら困りますから!」
「結局、素材採取なのだ!?」
「だ、だって! お金を稼ぐ時間も必要なんですよ!」
「まあ、ラウラちゃんらしいね……」
こうして、金満腹は家政婦を雇うことに決めた。
受付嬢に必要な手続きを教えてもらい、初めて冒険者ギルドで雇用依頼を出す。
依頼内容は――。
【依頼内容:屋敷で働くメイド募集】
募集人数:十名
仕事内容:掃除、洗濯、料理、屋敷の管理など
雇用主:冒険者パーティー『金満腹』
「これでよし、と……!」
ラウラは依頼書を確認し、受付嬢に提出した。
「掲示板に出しておきますね。希望者が現れましたら、ご連絡いたします」
「ありがとうございます!」
四人はギルドを後にした。
「いい人たちが来てくれるといいね!」
ギルティが笑顔で言う。
「料理が上手な人がいいのだ!」
「掃除が得意な方もいると助かりますね……」
「うう……。お給料分、ちゃんと働いてもらえるといいですね……」
ラウラは、さっそく雇い主らしい心配をしていた。
「ちみ、そこはもう少し人を信じるのだ!」
「そ、そうですね……!」
ラウラたちは、期待を胸に屋敷へと帰った。
面接って、なに?
屋敷に戻ると、ラウラはさっそく居間に全員を集めた。
「みなさん。ひとつ、提案があります!」
「なに?」
「メイドさんを雇うとき、面接をしましょう!」
「……めんせつ?」
ダリアが首をかしげた。
ギルティとリリスも、よくわかっていない様子だった。
「えっと……。面接というのは、働きたい人と直接お話しして、その人がどんな人なのかを確認することです」
「ほう!」
「例えば、どんな仕事が得意なのか。今までどんな経験をしてきたのか。こちらがお願いしたい仕事をできそうか。そういうことを聞くんです」
ラウラは指を折りながら説明した。
「それから、働く条件についても話し合います。お給料や休日、勤務時間などですね」
「なるほど! つまり、雇う前にお話しするのだ!」
「そういうことです!」
「じゃあ、あちしは薬の知識があるか聞くのだ!」
「ダリアちゃん、今回はメイドさんを募集してるんだよ……?」
「薬の知識があったら、薬品の整理をお願いできるのだ!」
「それは確かに……」
ギルティが納得したようにうなずく。
「でも、最初から難しいことをお願いするつもりはありません。まずは、掃除や料理などを安心して任せられる人がいいですね」
「わかりました!」
リリスも大きくうなずいた。
「面接……。なんだか、雇い主らしくなってきたね!」
「えへへ……。そうですね!」
ラウラは少しだけ誇らしい気持ちになった。
これで屋敷の問題も解決するはずだ。
きっと、すぐにたくさんの希望者が来てくれる。
そして、面接をして、良い人を選んで――。
夢の快適生活が始まるのだ!
ラウラは、そう信じていた。
数日後。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
屋敷の居間。
四人は、そろってテーブルに突っ伏していた。
「……誰も来ませんね」
ラウラがぽつりとつぶやいた。
「来ないね……」
ギルティも力なく答える。
「依頼を出してから、もう何日も経ったのだ……」
ダリアが顔を上げた。
「なのに、希望者が一人もいないのだ!」
そう。
メイド募集の依頼を出してから数日が経過した。
しかし――。
応募者、ゼロ。
面接どころではなかった。
「な、なぜでしょう……?」
ラウラは頭を抱えた。
「お給料が安すぎたのでしょうか……。それとも、仕事内容が大変そうに見えたのでしょうか……」
「でも、王都から少し離れてるとはいえ、立派な屋敷だよ?」
「そうなのだ! 屋敷は大きいし、働く場所もきれいなのだ!」
「募集人数が多すぎたのかな……?」
「十人も雇うと書いたから、かえって応募しにくかったのかもしれませんね……」
四人はそれぞれ原因を考えた。
しかし、答えは出ない。
「……せっかく家をもらったのに」
ラウラはソファに沈み込んだ。
「このままだと、家事を全部自分たちでやることに……」
「そ、それは困るのだ!」
「私、掃除はできるけど、毎日はちょっと……」
「リリスも工房を整えたいです……」
せっかく手に入れた夢のマイホーム。
なのに、家事をしてくれる人がいない。
四人の気持ちは、どんどん暗くなっていった。
そんなときだった。
「……少し、散歩してきますね」
リリスが静かに立ち上がった。
「散歩?」
「はい。少し外の空気を吸いたくて……」
「気をつけてね!」
「はい!」
リリスは軽く手を振り、屋敷を出ていった。
リリスは、屋敷から少し離れた道をゆっくり歩いていた。
王都は華やかな街だ。
大きな商店が立ち並び、貴族の屋敷も多い。
けれど、少し中心部から離れると、景色は大きく変わる。
整備された石畳は途切れ、建物は古くなり、人通りも少なくなっていく。
やがてリリスは、王都の外れにある貧民街へとたどり着いた。
そこには、仕事を失った人や、住む場所をなくした人たちが暮らしていた。
華やかな王都の裏側。
リリスは、以前の自分を思い出した。
魔導具師として働いていたころ。
作った魔導具がうまくいかず、何度も職場をクビになった。
生活費もなくなり、住む場所さえ失いかけた。
あのとき、ラウラたちに出会わなければ、今ごろどうなっていたかわからない。
だからこそ。
困っている人を見ると、どうしても気になってしまう。
「……あれ?」
路地の片隅に、三人の女性が座り込んでいた。
年齢はそれぞれ違うようだが、三人とも疲れた顔をしている。
荷物も少なく、身なりもあまり整っていなかった。
リリスは、そっと近づいた。
「あの……どうしました?」
三人は驚いたように顔を上げた。
少しの沈黙のあと、一人の女性が答えた。
「……実は、メイドの仕事をクビになってしまって」
「クビに……?」
「はい。三人とも、同じ屋敷で働いていたんです。でも、屋敷の主人が変わって、使用人を全員入れ替えることになって……」
別の女性が、力なく笑った。
「仕事を探しているんですが、なかなか見つからなくて……。住む場所もなくなってしまいました」
リリスは胸が痛くなった。
せっかく働いていたのに、本人たちの努力とは関係のない事情で職を失ってしまったのだ。
「……あの、みなさんは、どんなお仕事が得意なんですか?」
リリスが尋ねると、三人は顔を見合わせた。
「私ですか?」
最初に答えたのは、落ち着いた雰囲気の女性だった。
「ルミーズと申します。掃除や洗濯、部屋の整理整頓などが得意です。汚れた場所をきれいにするのは好きなんです」
「私はヌイートです!」
二人目の女性が、少し元気を取り戻したように答えた。
「料理が得意です! 食材を無駄にしないことも大切にしています。限られた材料でも、みんなが満足できる料理を作れますよ!」
「そして、私はメイと申します」
三人目の女性は、丁寧に頭を下げた。
「帳簿の整理や在庫管理、予定の調整などが得意です。物品の管理や、使用人たちの仕事をまとめることもできます」
「…………!」
リリスの目が大きく開いた。
掃除が得意な人。
料理が得意な人。
管理が得意な人。
まさに、今の金満腹が必要としている人材ではないか。
「……あの!」
リリスは、思わず身を乗り出した。
「みなさん、メイドのお仕事を探しているんですよね?」
「はい……」
「実は、リリスの仲間たちが、大きな屋敷で働いてくれるメイドさんを探しているんです!」
三人は、驚いた顔をした。
「本当ですか!?」
「はい! 掃除や料理、屋敷の管理をお願いしたいと思っていて……。もちろん、お給料もお支払いします!」
「そ、そんなお仕事が……!」
ルミーズが目を潤ませた。
「ぜひ、お願いします!」
ヌイートが勢いよく頭を下げる。
「私も、ぜひ働かせてください!」
メイも深く頭を下げた。
リリスは、ほっと胸をなで下ろした。
「よかった……! では、さっそく屋敷へご案内しますね!」
こうしてリリスは、三人の女性を連れて屋敷へと戻ることになった。
◇ ◇ ◇
金満腹、三人のメイドを雇う!
一方、そのころ。
屋敷の居間では、三人がソファに転がっていた。
「……どうするのだ」
ダリアが天井を見つめながらつぶやく。
「このままじゃ、あちしが掃除までやることになるのだ……」
「ダリアちゃん、掃除くらいは自分でもしようよ……」
「薬の研究で忙しいのだ!」
「私も鍛冶場の準備があるからね……」
「ラウラも素材を採取しないといけません……」
四人目のリリスがいないことを除けば、いつもの金満腹だった。
そのとき。
玄関の扉が開いた。
「ただいま戻りました!」
「リリス!」
ラウラが勢いよく顔を上げた。
「お、お帰りなさい! ……あれ?」
リリスの後ろには、三人の女性が立っていた。
「えっと……そちらの方々は?」
リリスは笑顔で説明した。
「こちらはルミーズさん、ヌイートさん、メイさんです! みなさん、以前はメイドとして働いていたそうで、今はお仕事を探しているんです!」
「な、なるほど……!」
「それで、三人とも金満腹の屋敷で働いてくれることになりました!」
「「「ええええええっ!?」」」
ラウラ、ダリア、ギルティの声が重なった。
「め、メイドさん!?」
「三人も見つかったのだ!?」
「リリスちゃん、すごいね……!」
「えへへ……。たまたま出会えたんです!」
リリスは少し照れくさそうに笑った。
「それでは、自己紹介をさせていただきますね」
ルミーズが一歩前に出た。
「ルミーズと申します。掃除や洗濯、部屋の整理整頓を担当できます。どうぞよろしくお願いいたします」
「ヌイートです! 料理ならお任せください! みなさんにおいしいご飯を食べてもらえるよう、精一杯頑張ります!」
「メイと申します。屋敷の管理、備品の在庫確認、帳簿の整理などを担当できます。皆様が安心して仕事に集中できるよう、お手伝いさせていただきます」
三人は丁寧に頭を下げた。
ラウラは、思わず立ち上がった。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!」
そして、少しだけ緊張しながら続けた。
「えっと……お給料やお休みなどの条件については、これから相談させてください。お互いに無理のない形で働いていただけたらと思っています」
「はい。ありがとうございます」
メイがほっとしたように微笑んだ。
「こちらこそ、働く場所をいただけて本当にありがたいです」
「では、さっそく屋敷の中をご案内しますね!」
ラウラは三人を連れ、屋敷の中を回り始めた。
広い居間。
たくさんの部屋。
大きな台所。
倉庫。
庭。
それぞれの工房。
ルミーズは掃除の手順を考え、ヌイートは台所を見て料理の準備を想像し、メイは部屋数や設備を確認して管理計画を立て始めた。
「……すごいですね」
ルミーズが感心したようにつぶやく。
「こんなに立派なお屋敷で働けるなんて……」
「台所も広いです! これなら、みなさんのお食事をしっかり用意できます!」
ヌイートも嬉しそうだ。
「部屋数も十分です。備品をそろえれば、快適に暮らせそうですね」
メイは早くも必要なものを頭の中で整理しているようだった。
ラウラは、そんな三人を見て安心した。
これで家事の問題は解決するかもしれない。
「……よかったぁ」
ラウラは胸をなで下ろした。
これで、素材採取に集中できる。
お金を稼ぐ時間も増える。
そして、快適な生活も手に入る!
「リリス、本当にありがとうございます!」
「いえいえ! リリスも、みなさんに助けてもらいましたから!」
ラウラはリリスの手をぎゅっと握った。
「これからも、みんなで頑張りましょうね!」
「はい!」
こうして、金満腹の屋敷に三人のメイドが加わった。
十人募集したのに、集まったのは三人。
それでも、今の四人にとっては十分すぎるほど心強い仲間だった。
メイドたちを迎えた翌日。
金満腹の四人は、それぞれの仕事に取りかかった。
「じゃあ、私は鍛冶場を整えてくるね!」
「はい! お願いします!」
ギルティは、さっそく鍛冶場へ向かった。
まずは設備の確認。
炉の状態。
作業台の配置。
素材を保管する棚。
そして、鍛冶道具を置く場所。
「ふふ……。ここなら、いろいろ作れそうだね」
ギルティは楽しそうに笑った。
マグマドラゴンの素材や、これまで集めた鉱石。
それらを使って、新しい装備や道具を作ることもできる。
鍛冶師にとって、これほど恵まれた環境はなかなかない。
「よし! まずは作業台からだ!」
ギルティは、さっそく準備を始めた。
一方、ダリアは研究所へ向かっていた。
「ここが、あちしの研究所なのだ……!」
部屋には、薬品を置く棚や作業台がある。
メイドたちに手伝ってもらいながら、必要な器具や材料を並べていく。
「この棚には薬草を置いて……。こっちは完成した薬の保管場所なのだ!」
「ダリア様、薬品の管理表も作成しておきましょうか?」
メイが尋ねた。
「おお! それは助かるのだ!」
ダリアは嬉しそうに答えた。
「メイ、ちみ、かなり優秀なのだ!」
「ありがとうございます」
メイは穏やかに微笑んだ。
そして、リリスは魔導具工房へ。
魔導具作成Lv9という高い技能を持つリリスにとって、専用の工房は念願だった。
ギルティが作ってくれた道具。
魔晄結晶やマグマドラゴンの鱗を使った特別な工具。
それらを並べ、作業台の位置を調整する。
「……これで、もっと良い魔導具が作れそうです」
リリスは、そっと工具を手に取った。
以前は、道具が悪かったせいで、自分の力を十分に発揮できなかった。
けれど、今は違う。
仲間がいる。
自分の力を信じてくれる人がいる。
そして、自分のための工房まである。
「……頑張ろう」
リリスは、静かに決意した。
一方、ラウラはというと。
「……あの、ルミーズさん。ここはどうしたらいいでしょう?」
「こちらの棚は、素材の種類ごとに分けておくと便利ですよ」
「なるほど……!」
「ラウラ様、こちらの食器は台所にまとめておきますね」
「ありがとうございます、ヌイートさん!」
「ラウラ様、備品の一覧を作りました。こちらをご確認ください」
「えっ、もうですか!? メイさん、仕事が早いです……!」
ラウラは、メイドたちと一緒に屋敷の整理を進めていた。
自分では思いつかなかった収納方法。
使いやすい家具の配置。
素材を種類ごとに管理する方法。
どれも便利で、ラウラは何度も感心した。
「……メイドさんって、すごいんですね」
「いえ、これが仕事ですから」
ルミーズが微笑んだ。
「ラウラ様たちが安心して活動できるよう、精一杯お手伝いさせていただきます」
「……ありがとうございます!」
ラウラは、深く頭を下げた。
こうして数日かけて、屋敷の環境は整っていった。
鍛冶場。
錬金術の研究所。
魔導具工房。
素材の保管庫。
そして、料理や掃除などの生活環境。
金満腹の屋敷は、少しずつ本来の姿を取り戻していった。
そして、数日後。
「みなさん、準備はできましたか?」
ラウラが声をかけると、三人がうなずいた。
「鍛冶場は問題なし!」
「研究所も整ったのだ!」
「魔導具工房も準備できました!」
「よし……!」
ラウラは満足そうにうなずいた。
屋敷の生活環境も整った。
メイドたちも仕事に慣れ始めている。
これなら安心して冒険者活動ができる。
つまり――。
お金を稼ぐ時間だ!
「では、ギルドへ行きましょう!」
「待ってましたなのだ!」
「王都にはどんな依頼があるんだろうね?」
「珍しい素材を集める依頼があるといいですね……!」
四人は屋敷を出て、王都の冒険者ギルドへ向かった。
王都のギルドは、ブングルのギルドよりも大きかった。
冒険者の数も多く、掲示板には大量の依頼書が貼られている。
採取依頼。
討伐依頼。
護衛依頼。
ダンジョン調査。
珍しい魔物の素材収集。
そして、見たこともないような特殊な依頼まであった。
「おおお……!」
ラウラの目が輝いた。
素材採取の依頼が、こんなにたくさんある。
しかも、王都周辺のダンジョンには、地方では見つからない素材もあるらしい。
「こ、これは……迷います……!」
「ちみ、全部受ければいいのだ!」
「そんなに一度には無理ですよ!」
「じゃあ、報酬が高いものから選ぼう!」
「いえ、素材の価値も重要です……!」
四人は掲示板の前で、真剣に依頼書を吟味し始めた。
報酬。
危険度。
移動距離。
素材の希少性。
そして、採取した素材を売ったときの利益。
金満腹にとって、依頼を選ぶことは立派な商談だった。
「……ふふふ」
ラウラは、依頼書を手に取った。
「王都でも、いっぱい稼ぎますよ……!」
こうして金満腹の四人は、王都での初依頼を吟味するのだった。




