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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


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52/53

52話 中級ダンジョンを2つ攻略して、ダリアちゃんのメイド服作ることになりました!

レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~

が完結致しました!

ありがたいことに完結まで285話

35000pvとなりましたm(_ _)m





「た、助かったぁ……!」


ラウラは宿屋の前にたどり着くと、その場にへたり込んだ。


後ろから追いかけてきていたホーンブルは、どうにか振り切ることができた。


七色ブーツのおかげで、四人の足は以前よりずっと速くなっている。


それでも、魔物に追いかけられるのは怖い。


「もう嫌なのだぁ……! あちし、普通にお金を稼ぎたいだけなのにぃ……!」


ダリアも地面に座り込んだ。


「ギルティさん、リリスさん、大丈夫ですか……?」


「う、うん……。なんとか……」


ギルティは息を整えながら答えた。


「わ、私は大丈夫です……。でも、冒険ってこんなに走るものなんでしょうか……?」


リリスは困惑した顔で首を傾げていた。


彼女が想像していた冒険者生活とは、どうやらずいぶん違うらしい。


「と、とにかく宿屋に入りましょう……。落ち着いて、これからのことを考えたいです……」


ラウラの提案に、三人は力強く頷いた。


全員、もう走りたくなかった。


     




宿屋の部屋。


四人はテーブルを囲み、今後の予定について話し合っていた。


「さて、ダンジョン攻略の続きなのだ!」


ダリアが地図を広げる。


「中級ダンジョンって、採取できる素材の種類によって分かれているらしいのだ。鉱石が多いところ、薬草が多いところ、それから魔法素材が多いところとか!」


「なるほど……。それなら、素材採集士のラウラちゃんにはぴったりだね」


ギルティが頷いた。


「素材が豊富なら、あちしの薬品作りにも役立つのだ!」


「魔導具の材料も欲しいですし、ぜひ回ってみたいです!」


リリスも目を輝かせた。


ラウラは地図を覗き込んだ。


「残っている中級ダンジョンは、あと五つですね……」


「そうなのだ! なら、全部回るのだ!」


ダリアが即答した。


「ぜ、全部ですか……?」


「全部なのだ!」


「素材がたくさん採れるなら、いいと思います!」


リリスが賛成する。


ギルティも頷いた。


「新しい素材があれば、装備作りの幅も広がるしね!」


三人の視線がラウラに集まった。


ラウラは少し考えた。


ダンジョンには危険な魔物がいる。


それは間違いない。


しかし、珍しい素材が手に入る可能性も高い。


売れる素材。

使える素材。

まだ見たことのない素材。


そして、うまくいけば大金になる素材。


「……わ、分かりました! できるだけ安全に採取しましょう!」


「決まりなのだ!」


こうして金満腹は、残り五つの中級ダンジョンを巡ることになった。


なお、ラウラの言う「できるだけ安全に」が、どれほど難しいことなのか。


このときの四人は、まだ十分に理解していなかった。


     




最初に向かったのは、鉱石が豊富に採れる中級ダンジョンだった。


内部の壁や床には、さまざまな鉱石が露出している。


鉄鉱石はもちろん、銅鉱石や銀鉱石まで見つかった。


「す、すごいです……! あっちにも鉱石、こっちにも鉱石……!」


ラウラの目が輝く。


「ちみ、目が完全にお金のことを考えているのだ」


「そ、そんなことありませんよ……? 素材の価値を考えているだけです……!」


「それをお金のことって言うのだ!」


ダリアが突っ込んだ。


四人は採取できる鉱石を集めながら、奥へと進んでいった。


途中で何度か魔物に遭遇したものの、ラウラの《素材感知》と七色ブーツのおかげで、危険を察知するとすぐに距離を取ることができた。


そして、最深部。


広い空洞の中央に、巨大な岩の塊が立っていた。


いや、違う。


それは岩ではなかった。


全身が岩石でできた巨人――ロックゴーレムだった。


「……動きましたよね?」


ラウラが震える声で言った。


ロックゴーレムの顔にあたる部分が、ぎしりと音を立てる。


次の瞬間。


ドゴォォォンッ!


巨大な拳が地面を叩きつけた。


床が砕け、岩の破片が四方に飛び散る。


「ひぃぃぃ!」


ラウラは悲鳴を上げて走り出した。


「なんで鉱石のダンジョンに、あんなのがいるのだぁぁぁっ!」


ダリアも全力で逃げる。


「待って待って! 速い! あいつ、見た目のわりに速いよ!」


ギルティも叫んだ。


「ご、ごめんなさい! リリスさん、こっちです!」


ラウラはリリスの手を引き、横道へ飛び込んだ。


直後、背後の壁が粉砕された。


「ひぃっ!?」


「壁がなくなりましたあああっ!」


リリスが悲鳴を上げる。


ロックゴーレムは、壁ごと道を壊しながら追いかけてきた。


「ど、どうするのだ!? あいつ、毒とか効くの!?」


「岩ですよ!? たぶん、あまり効かないんじゃないでしょうか!?」


「じゃあ、どうするのだぁぁぁっ!」


「逃げながら考えますううううっ!」


ラウラは魔法鞄に手を入れる


「こ、これなら……!」


小型鉄球を握りしめた。


ロックゴーレムが大きく腕を振り上げる。


「ラウラちゃん、危ない!」


ギルティの声。


ラウラは横へ飛び退いた。


ドゴォォォンッ!


拳が地面を砕く。


衝撃で体が浮き上がりそうになったが、七色ブーツの速度を生かして転がるように回避した。


「ひゃああっ! 当たったら絶対に痛いですうううっ!」


ラウラは泣きそうになりながら、小型鉄球を投げた。


ヒュンッ!


鉄球がロックゴーレムの頭部に直撃する。


ガキィィンッ!


硬い音が響いた。


しかし、ロックゴーレムは倒れない。


頭部に小さな傷ができただけだった。


「き、効いてないですうううっ!」


「もっと強く投げるのだ!」


「簡単に言わないでくださいぃぃぃっ!」


ラウラは走り続けた。


通路を曲がり、岩を飛び越え、崩れかけた坂を駆け下りる。


その間も、ロックゴーレムは執拗に追いかけてくる。


「ちょっと! あちし、そろそろ足が限界なのだ!」


「七色ブーツがあるでしょう!?」


「スタミナが増えても、怖いものは怖いのだぁぁぁっ!」


「それはそうですうううっ!」


ラウラは走りながら、ロックゴーレムの動きを観察した。


大きな体。

重い拳。

硬い岩石の装甲。


けれど、拳を振り下ろすたびに、肩や肘の関節部分に隙間ができている。


「……あっ!」


ラウラは気づいた。


「関節なら、岩が薄い……!」


「何が分かったのだ!?」


「分かったというか、たぶんです! でも、試すしかありません!」


ラウラは狭い通路へ飛び込んだ。


ロックゴーレムが追いかけてくる。


巨体が通路に入りきらず、動きがわずかに鈍った。


その瞬間。


ラウラは振り返り、ドラゴンアームで勢いをつけた小型鉄球を投げた。


狙うのは、肘の関節。


ガギィンッ!


鉄球が岩の隙間に食い込んだ。


ロックゴーレムの腕が、がくんと落ちる。


「えっ、腕が……!」


ギルティが目を見開いた。


「今ですううううっ!」


ラウラは次の鉄球を投げた。


続けてもう一つ。


さらにもう一つ。


鉄球が関節部分に集中して命中し、岩の破片が飛び散る。


ロックゴーレムは片腕を動かせなくなり、バランスを崩した。


「倒れてくださいいいいいっ!」


ラウラの最後の一投が、反対側の膝の関節に直撃した。


ガラガラガラッ!


巨大な岩の体が傾き、床に崩れ落ちる。


ドォォォォンッ!


地面が揺れ、土煙が舞い上がった。


静寂。


「…………」


ラウラは小型鉄球を握ったまま、震えていた。


「……た、倒れました?」


「倒れたのだ……」


ダリアが呆然と答えた。


「ラウラちゃん、すごい……。あんな巨体を、投てきだけで……」


ギルティも口を開けている。


リリスは、ただただ目を丸くしていた。


ラウラは、へなへなと座り込んだ。


「よ、よかったぁ……。もう少しで潰されるところでした……」


本人にとっては、危機一髪の逃走劇だった。


しかし、結果だけを見れば。


ロックゴーレムは、ラウラの投てきによって撃破されていた。


採取素材


 ダンジョン内


- 高品質鉄鉱石

- 銅鉱石

- 銀鉱石

- 金鉱石

- 魔鉄鉱石

- 硬質岩石

- 魔鉱石


**ロックゴーレム**


- 極上品質ロックゴーレムの岩核

- ロックゴーレムの魔石

- 高密度岩石装甲

- 岩腕の関節核


     




鉱石のダンジョンを攻略した金満腹は、十分な休息を取ってから、次のダンジョンへ向かった。


そこは、薬草が豊富に採れる中級ダンジョン。


木々が生い茂り、湿った土の上には色とりどりの植物が広がっていた。


「わあ……! ここ、すごいです!」


ラウラは目を輝かせた。


「薬草がいっぱいあります! しかも、見たことのない種類まで……!」


「ちみ、採取に夢中になりすぎないようにするのだ」


ダリアが注意する。


「このダンジョンは植物系の魔物も多いらしいのだ。油断すると絡め取られるのだ!」


「は、はい! 気をつけます!」


四人は周囲を警戒しながら、薬草を採取していった。


回復薬の材料。

解毒薬の材料。

麻痺薬の材料。

魔力を回復させる薬草。


ダリアにとっても、リリスにとっても、非常に有益な素材ばかりだった。


そして、最深部。


そこには、巨大な鎌を持つ魔物が待ち構えていた。


全身が緑色の外殻に覆われ、胸部には赤く輝く核が埋め込まれている。


コアマンティス。


巨大なカマキリ型の魔物だった。


「…………」


ラウラは、ゆっくりと後ずさった。


「……む、虫……」


「で、でっかいカマキリなのだぁぁぁっ!」


ダリアが叫んだ。


「鎌が大きすぎるよ! あれ、絶対に切られたら駄目なやつ!」


ギルティも顔を青くする。


「む、無理です……! あんなの、近づけません……!」


リリスは涙目になっていた。


コアマンティスが鎌を振り上げる。


次の瞬間、風を切る音とともに、鋭い斬撃が飛んできた。


「逃げてええええっ!」


ラウラが叫ぶ。


四人は一斉に走り出した。


ザシュッ!


ついさっきまで四人が立っていた場所の草木が、一瞬で刈り取られた。


「ひいいいいっ! 草ごと切れましたあああっ!」


「草だけで済んでよかったのだぁぁぁっ!」


「よくないよ! 次はこっちが切られるよ!」


ギルティが叫びながら、木の根を飛び越える。


コアマンティスは、長い脚で地面を蹴り、驚くほどの速度で追いかけてきた。


「カマキリって、こんなに速いんですかあああっ!?」


「知らないのだ! あちし、巨大カマキリの生態なんて勉強したくないのだ!」


「でも、素材としては貴重そうです……!」


ラウラは思わず口にした。


「ちみ! 今は素材のことを考えてる場合じゃないのだ!」


「そ、そうでしたぁぁぁっ!」


ラウラは慌てて走る。


コアマンティスの鎌が、背後から何度も振り下ろされる。


右へ避ける。


左へ飛ぶ。


低い枝をくぐる。


倒木を飛び越える。


四人は七色ブーツの速度を頼りに、必死で逃げ回った。


しかし、逃げるだけでは状況は変わらない。


「ダリアさん! 何かありませんか!?」


ラウラが叫ぶ。


「あるのだ! こういうときのためのメディーガンなのだ!」


ダリアは走りながら、メディーガンを構えた。


ただし、コアマンティスは鎌を振り回しながら追ってくる。


狙いを定める余裕など、ほとんどなかった。


「ちょ、ちょっと待つのだ! 揺れる! 走りながら撃つの、難しいのだぁぁぁっ!」


「頑張ってくださいぃぃぃっ!」


「ちみも応援するなら、もうちょっと落ち着いて走るのだ!」


「無理ですううううっ!」


コアマンティスが跳躍した。


巨大な影が、四人の頭上を覆う。


「上ですうううっ!」


ラウラが叫ぶ。


四人は左右へ散った。


ドスンッ!


コアマンティスが着地し、地面が大きく揺れた。


その衝撃で、ダリアの足元が滑る。


「わわっ!?」


転びかけたダリアを、ギルティが引っ張り起こした。


「ダリア、走って!」


「ありがとなのだぁぁぁっ!」


その一瞬。


コアマンティスの胸部にある赤い核が、ラウラの目に入った。


《素材感知》が反応する。


魔力が集中している場所。


そして、魔物の動きを支えている重要な部位。


「ダリアさん! 胸の赤いところです! あそこに撃ってください!」


「分かったのだ!」


ダリアは、走りながらメディーガンを構え直した。


コアマンティスが再び鎌を振り上げる。


ラウラが小型鉄球を投げた。


鉄球はコアマンティスの顔面に命中する。


ガキンッ!


大した傷にはならなかったが、魔物の動きが一瞬だけ止まった。


「今なのだああああっ!」


ダリアが引き金を引く。


シュッ!


薬液が一直線に飛び、コアマンティスの胸部にある赤い核へ命中した。


「当たったのだ!」


コアマンティスは大きく身をよじった。


だが、まだ倒れない。


「えええっ!? 効いてないのだ!?」


「い、いえ! 動きが鈍くなっています!」


リリスが叫んだ。


コアマンティスの脚がもつれ、振り上げた鎌が地面に突き刺さる。


超強力毒液MAXIMが、魔物の体内に回っているのだ。


「よし……! もう一発なのだ!」


ダリアは距離を取りながら、再び引き金を引いた。


今度は、麻痺薬。


薬液が胸部の核に命中する。


コアマンティスの全身がびくりと震えた。


「ひっ……!」


ラウラは思わず目を覆った。


ガタガタと脚が震え、鎌が地面を削る。


そして――。


ドォンッ!


コアマンティスは、ついに地面へ倒れ込んだ。


四人は、しばらくその場から動けなかった。


「…………倒れた?」


ギルティが恐る恐る尋ねる。


「倒れたのだ……。あちしの薬で……!」


ダリアはメディーガンを握りしめ、震える声で答えた。


「す、すごいです、ダリアさん……!」


リリスが感嘆する。


ダリアは胸を張ろうとした。


「ふっふっふ……! これが錬金術師ダリアの実力なのだ!」


しかし、倒れたコアマンティスの姿を見た瞬間。


「……やっぱり虫は嫌なのだああああっ!」


ダリアはラウラの背中に隠れた。


「わ、分かります……! ラウラも、できれば近づきたくないです……!」


「素材は採らないとね……」


ギルティが苦笑する。


「うう……。触るのは怖いですけど、頑張ります……!」


ラウラは震えながらも、素材採集を始めた。


怖い。


とても怖い。


けれど、素材には価値がある。


その事実だけが、ラウラを動かしていた。


  採取素材


 ダンジョン内


- 上級回復薬草

- 解毒薬草

- 麻痺消し草

- 魔力回復草

- 月光花

- 清浄葉

- 魔力樹液

- 生命の苔


 コアマンティス


- 極上品質コアマンティスの鎌

- コアマンティスの魔石

- コアマンティスの外殻

- コアマンティスの毒腺

- コアマンティスの魔核


     




鉱石のダンジョンと薬草のダンジョン。


二つの攻略を終えた金満腹は、ブングルの宿屋へ戻ってきた。


四人は荷物を整理し、採取した素材を魔法鞄へ収納していく。


鉱石も薬草も、かなりの量になった。


「これだけあれば、当分は困らないのだ!」


ダリアは満足そうに頷いた。


「薬品の材料もたくさん手に入ったし、あとは売れるものを売って、使うものを残すだけですね……!」


ラウラは素材を一つずつ確認しながら、嬉しそうに微笑んだ。


「リリスも、魔導具に使えそうな素材が見つかってよかったね」


ギルティが声をかける。


「はい! 魔力樹液や魔核は、いろいろな魔導具に応用できそうです!」


リリスも嬉しそうだ。


そんな中、ダリアが自分の服を見下ろした。


「……ねえ、みんな」


「どうしたのだ、じゃなくて、どうしたの?」


ギルティが首を傾げる。


ダリアは少し頬を膨らませた。


「あちしも、可愛い装備が欲しいのだ」


「えっ?」


ラウラが顔を上げた。


「だって、ラウラは可愛いセーラー服だし、ギルティは鍛冶師らしい格好だし、リリスも魔導具師っぽくて可愛いのだ!」


ダリアは自分の服をつまんだ。


「あちしだけ、なんだか普通なのだ……!」


「た、確かに……」


ラウラはダリアをじっと見た。


錬金術師らしい装備。


薬品を扱いやすく、動きやすい服。


それでいて、ダリアの明るい雰囲気に似合う可愛らしいデザイン。


そんなものがあれば、きっとよく似合うだろう。


そして、ラウラの頭に一つの案が浮かんだ。


「それなら……!」


ラウラは勢いよく立ち上がった。


「メイド服にしましょう!」


「…………え?」


ダリアが固まった。


ギルティも固まった。


リリスも固まった。


「……えっと、ラウラちゃん?」


ギルティが恐る恐る尋ねる。


「なんで、ダリアの装備の話からメイド服になるの?」


「だ、だって……! メイド服って可愛いじゃないですか!」


ラウラは真剣だった。


「それに、ダリアさんなら絶対に似合います! フリルがたくさんあって、スカートも可愛くて……! きっと、すごく素敵です!」


「ちみ、あちしの装備の話をしていたのだよね!?」


「は、はい!」


「なんでメイド服を作る話になっているのだ!?」


「ダリアさんが着るんです!」


「そこなのだ!?」


ダリアは頭を抱えた。


一方、ギルティとリリスは、すでに何かを考え始めていた。


「……メイド服かぁ」


ギルティが呟く。


「可愛さだけじゃなくて、動きやすさも必要だよね。薬品を扱うなら、袖や裾が邪魔にならないようにしたいし……」


「素材も工夫できそうです!」


リリスの目が輝いた。


「魔法布を使えば、軽さと耐久性を両立できます。さらに、魔導具の仕組みを組み込めば、薬品を安全に収納する機能も付けられるかもしれません!」


「いいね! それなら、装備としても実用的だ!」


ギルティも乗り気になった。


「素材は……リッチロードから採れた魔法布が使えそうだね。それと、アーマードスコーピオンの素材を組み合わせれば、防御力も上げられるよ!」


「素晴らしいです! 魔法布を基礎にして、外側に軽量化した甲殻素材を使えば……!」


リリスは早くも設計を始めている。


「ちょ、ちょっと待つのだ!?」


ダリアが慌てて二人を止めようとした。


「まだ作るって決まったわけじゃないのだ!」


「えっ、欲しいって言ったよね?」


ギルティが不思議そうに尋ねる。


「言ったけど! 可愛い装備が欲しいって言ったけど! メイド服を作ってほしいとは言ってないのだ!」


「でも、絶対に似合いますよ!」


ラウラはきらきらした目で言った。


「ダリアさんのメイド服……見てみたいです!」


「ちみまで!?」


ダリアは顔を真っ赤にした。


しかし、ギルティとリリスはもう止まらない。


「よし! じゃあ、あちし……じゃなくて、ギルティが服の製作を担当するよ!」


「リリスは魔導具部分を担当します! 薬品を収納できるポケットや、必要なときにすぐ取り出せる仕組みも考えますね!」


「待つのだああああっ!」


ダリアの叫びもむなしく、二人は素材を取り出し始めた。


リッチロードの魔法布。


アーマードスコーピオンの甲殻。


そして、その他の補助素材。


宿屋の部屋は、あっという間に装備製作の作業場へと変わっていった。


「ふふふ……。どんなデザインにしようかな……!」


ギルティが楽しそうに笑う。


「可愛くて、実用的で、ダリアさんにぴったりのものにしましょう!」


リリスも笑顔で頷いた。


「ち、ちみたちぃぃぃ……!」


ダリアは涙目になっていた。


一方、ラウラは完成するメイド服を想像し、満足そうに頷いていた。


(きっと、可愛いメイド服になります……!)


(完成が楽しみです……!)


――こうして。


金満腹の新たな装備製作が始まった。


ただし、肝心の着用者であるダリアの意思が、どこまで反映されるのかは分からない。


ダリアのメイド服は、いったいどんな仕上がりになるのだろうか。


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