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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


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48/54

48話 クインバード捕獲成功のはずでした! 

10000pvありがとう御座いますm(_ _)m


ちょっとした裏話

Xにのせてある 採取士のイメージ画像

ギルティとダリアは表情をかえております。


ダリアはお金が無く、だれにも相手されなかったのが、ラウラ達と出会って人間味をおびてゆくのを表してます。


ギルティは男兄弟ばかりで女であることを隠して生きてましたが、ラウラ達と出会って

弱さをさらけだし、女の子 として生きている様子を表してます。


隠し設定以上です!


気になる方は キラの下手っぴ

で検索検索!



「ぎゃああああああああっ!!」


「こっち来ないでぇぇぇぇっ!」


「虫はもう嫌ぁぁぁぁぁっ!」


洞窟の中に、三人の悲鳴が響き渡っていた。


五階層。


そこには、ゾンビや虫の魔物など、できれば一生出会いたくない魔物たちがうろついていた。


しかも、どいつもこいつも妙にしつこい。


「なんでゾンビまでいるんですかぁぁぁっ!」


ラウラは走りながら、背後を振り返った。


腐った体を引きずりながら、ゾンビの群れが追いかけてくる。


「ちみ、文句を言ってる場合じゃないのだ! 早く逃げるのだ!」


「逃げてますぅぅぅ!」


ラウラは腰の袋から聖水の入ったスプレーを取り出した。


そして、振り返りざまに噴射する。


プシュゥゥゥッ!


「うぎゃあああああっ!」


聖水を浴びたゾンビたちが、白い煙を上げて苦しみ始めた。


「よし! 効いてます!」


「確認してないで走るのだ!」


「はいぃぃぃ!」


ラウラはスプレーをしまい、再び全力で走った。


ゾンビを撒いたと思ったら、今度は壁から巨大な虫が飛び出してくる。


「出たぁぁぁぁっ!」


ギルティが絶叫した。


「また虫なのだぁぁぁ!」


ダリアも悲鳴を上げながらメディーガンを構える。


プシュッ!


麻痺薬が命中。


続けて毒薬を撃ち込む。


虫の魔物が動かなくなった。


「よし! これで――」


「後ろからもう一匹来てますぅぅぅ!」


「なんでぇぇぇぇっ!?」


ギルティが泣きそうな声を上げた。


ラウラは石を拾い、迫ってくる虫の頭部へ投げつける。


ゴッ!


魔物がひるんだ隙に、三人は逃げ出した。


戦っている時間より、逃げている時間のほうが圧倒的に長い。


そんな探索が続いた。


六階層。


七階層。


八階層。


九階層。


どの階層にも、気持ち悪い魔物がいた。


ゾンビが出れば聖水スプレー。


虫が出れば毒と麻痺。


それでも近づかれたら投石。


そして、危なくなったら全力疾走。


もはや、金満腹の探索方法は完全に確立されていた。


「はぁっ……はぁっ……。もう……無理です……」


九階層を抜ける頃には、ラウラの息も荒くなっていた。


ダリアも肩で息をしている。


ギルティに至っては、ハンマーを杖代わりにしていた。


「ちみたち……生きてる……?」


「なんとか……」


「もう虫もゾンビも見たくないよぉ……」


ギルティが涙目で訴える。


ラウラも、心の底から同意した。


こんなに走ったのは、いつ以来だろう。


できれば、もう走りたくない。


できれば、次は安全な場所で素材を採取したい。


できれば、帰ってお風呂に入って、おいしいご飯を食べたい。


そして、報酬をもらいたい。


「……あと少しです。きっと、あと少しですから……」


ラウラは自分に言い聞かせるように呟いた。


すると、目の前に下へ続く階段が現れた。


「……十階層」


ダリアが、魔物図鑑を確認する。


「ここまで来ちゃったね……」


「来ちゃいましたね……」


「帰りも、同じ道を通るんだよね……?」


ギルティの言葉に、三人はそろって黙り込んだ。


帰り道。


そうだ。


帰り道もあるのだ。


「……考えるのは、あとにしましょう」


ラウラは震える足を動かした。


「まずは、クインバードを見つけましょう。見つけて、依頼を終わらせて、お金をもらうんです……!」


「そうなのだ! 報酬のためなのだ!」


「素材のためなら……もう少しだけ頑張ろう……!」


三人は互いに頷き、十階層へと足を踏み入れた。


     




「…………わぁ」


階段を下りた先に広がっていた光景に、ラウラは思わず立ち止まった。


そこは、これまでの階層とはまるで違っていた。


じめじめした空気もない。


腐った臭いもしない。


壁を這う虫も、こちらへ迫ってくるゾンビもいない。


目の前に広がっていたのは、静かで美しい地下空間だった。


天井には無数の結晶が輝き、淡い光が水面に降り注いでいる。


そして、その中央には――。


一つの湖があった。


透き通った水。


穏やかな湖面。


周囲には色とりどりの花が咲き、幻想的な光景を作り出している。


「すごい……。こんな場所があったんだね……」


ギルティが、疲れを忘れたように呟いた。


「綺麗なのだ……」


ダリアも、珍しく静かな声で湖を眺めている。


ラウラは湖の中央に目を向けた。


そこには、一羽の鳥がいた。


湖面に浮かぶ岩の上に、優雅に佇んでいる。


赤、青、緑、黄色、紫、橙、白、黒、そして金色。


九つの色を持つ羽毛が、結晶の光を受けて美しく輝いていた。


長い尾羽。


優雅な翼。


宝石のような瞳。


その姿は、まるで伝説の中から現れた鳥のようだった。


「……あれ」


ラウラが息を呑む。


「もしかして……」


ダリアが魔物図鑑を取り出した。


ページをめくり、鳥の姿と見比べる。


そして――。


「間違いないのだ……」


ダリアの声が震えた。


「九色鳥クインバード……!」


「や、やりましたぁぁぁっ!」


ラウラは思わず両手を握りしめた。


「ついに見つけました! 十階層まで来た甲斐がありましたね!」


「うん! あとは捕まえて、剥製にしてもらえば依頼完了だね!」


ギルティも嬉しそうに笑った。


ようやく目的の魔物を発見できた。


あとは、無事に依頼を終わらせるだけ。


そう。


無事に。


ラウラは、湖の中央にいるクインバードをじっと見つめた。


……あれ?


何かがおかしい。


最初は、距離があるから大きく見えるだけだと思った。


けれど、湖の周囲を歩き、少しずつ近づいていくにつれて、その違和感は大きくなっていった。


「…………」


ラウラは足を止めた。


「……大きくないですか?」


「え?」


ダリアが振り返る。


「何が?」


「クインバードです……」


三人は改めて、湖の中央にいる鳥を見つめた。


大きい。


かなり大きい。


いや、かなりどころではない。


近づけば近づくほど、その巨大さがはっきりしてきた。


体だけでも馬車ほどの大きさがある。


広げていない翼でさえ、人間の背丈を大きく超えていた。


尾羽に至っては、地面を引きずりそうなほど長い。


「…………」


ギルティが口を開いた。


「……ねえ。あれ、本当に九色鳥?」


「図鑑の絵と色は一致しているのだ……」


ダリアが答えた。


「でも、あんなに大きいなんて書いてないよね……?」


「書いてないですね……」


ラウラは青ざめた。


美しい。


確かに美しい。


羽根だけでも、とんでもない価値がありそうだ。


しかし――。


「……あれを、どうやって持って帰るんでしょうか?」


ラウラの頭に、重大な問題が浮かび上がった。


今回の依頼は、クインバードを倒して剥製にしてもらうこと。


つまり、持ち帰らなければならない。


だが、あの大きさだ。


魔法の袋に入るだろうか。


いや、そもそも袋の容量は足りるのだろうか。


もし入らなかったら?


どうやって街まで運ぶのだろう。


馬車に積めるのか。


荷車を何台も用意する必要があるのではないか。


いや、そもそも洞窟から運び出せるのだろうか。


「…………」


ラウラは頭を抱えた。


「……ダリアちゃん。ギルティさん。どうしましょう」


「どうしましょうって……」


ダリアもクインバードを見上げた。


「倒してから考えるのだ!」


「ええっ!?」


「だって、今考えてもわからないのだ! まずは依頼を達成するのだよ!」


「そ、それはそうですけど……!」


ギルティも頷いた。


「うん。倒したあとなら、素材の状態も確認できるしね。剥製職人さんに相談するのも、そのあとでいいんじゃないかな」


「……そうですね」


ラウラは不安を抱えながらも、二人の意見に頷いた。


とりあえず、倒してから考えよう。


考えるのは、それからだ。


三人は慎重に、湖の中央へと続く道を進んでいった。


一歩。


また一歩。


クインバードとの距離が縮まっていく。


美しい羽毛が、はっきりと見える。


羽根の一枚一枚に、魔力が流れているのがわかった。


「……すごい。こんな素材、見たことがありません……」


ラウラの《素材感知》が反応していた。


クインバードの羽根。


爪。


くちばし。


そして、体内に宿る魔石。


どれも、今まで見つけたことのないほど強い反応を示している。


激レア素材。


間違いない。


もしかすると、マグマドラゴンの素材にも匹敵するかもしれない。


「……これは、高く売れそうです……」


ラウラの目が、ほんの少しだけ輝いた。


「ちみ、今は値段を考えてる場合じゃないのだ!」


「す、すみません!」


そんなやり取りをしながら、ついに三人はクインバードの目の前までたどり着いた。


そして――。


クインバードが、ゆっくりとこちらを向いた。


「…………」


宝石のような瞳が、三人を捉える。


ラウラは思わず息を止めた。


その瞬間。


クインバードの大きなくちばしが開いた。


そこから見えたものは――。


巨大なムカデの魔物だった。


先ほどまで三人を追い回していたものよりも、さらに大きい。


その胴体を、クインバードはくちばしでつかみ、もぐもぐと食べていた。


バキッ。


ボリッ。


ムシャムシャ。


「…………」


ラウラは固まった。


ダリアも固まった。


ギルティも固まった。


クインバードは、こちらを見つめながら、最後にムカデの頭部を飲み込んだ。


ごくん。


「…………」


一瞬の沈黙。


そして――。


「「「ぎゃああああああああああああっ!!!」」」


三人の悲鳴が、十階層に響き渡った。


クインバードも驚いたのか、翼を大きく広げた。


「クエエエエエエエエエエッ!!」


「鳴いたぁぁぁぁっ!」


「そっちも叫ぶんですかぁぁぁっ!」


「もう無理! あたし、もう無理ぃぃぃ!」


三人は一斉に逃げ出した。


美しい鳥を見つけたはずだった。


なのに、目の前で巨大なムカデを食べていたのだ。


しかも、こちらを見ながら。


恐怖以外の何ものでもない。


「どうしてあんなものを食べてるんですかぁぁぁ!」


「魔物だからなのだぁぁぁ!」


「そんな説明はいらないよぉぉぉ!」


背後から、巨大な羽ばたきの音が響いた。


バサァァァァッ!!


クインバードが飛び上がった。


そして、三人を追いかけ始めた。


「飛んだぁぁぁぁっ!」


「鳥なんだから飛ぶのだぁぁぁ!」


「わかってますぅぅぅ! でも大きすぎますぅぅぅ!」


クインバードは湖の上を旋回し、三人の進路を塞ぐように舞い降りた。


ドォォォンッ!


地面が揺れる。


「ひゃああああっ!」


ラウラは急停止し、横へ飛び退いた。


クインバードのくちばしが、すぐ横の地面をえぐる。


ガガガガッ!


「食べられるぅぅぅ!」


ラウラは必死に逃げた。


ダリアもギルティも、悲鳴を上げながら走っている。


しかし、クインバードは速かった。


大きな翼で風を巻き起こし、何度も三人の前へ回り込んでくる。


「このままじゃ、逃げ切れないのだ!」


ダリアが叫んだ。


「そ、そんなぁ……!」


「ダリア! 何かないの!?」


ギルティが叫ぶ。


「ある!」


ダリアは走りながら、腰のメディーガンを取り出した。


「こんなこともあろうかと、薬液は補充してあるのだ!」


「こんなことがあってほしくなかったですぅぅぅ!」


ダリアはメディーガンを構えた。


狙うのは、こちらへ迫ってくるクインバード。


「当たってぇぇぇっ!」


プシュッ!


薬液が飛んだ。


クインバードは翼を広げ、風を巻き起こそうとした。


しかし、薬液はその翼の付け根付近に命中した。


「クエッ!?」


クインバードの動きが止まった。


大きく広げられていた翼が、ゆっくりと下がっていく。


そして――。


ドォォォンッ!!


巨大な体が地面に倒れた。


「…………」


三人は走るのをやめた。


「……え?」


ラウラが恐る恐る振り返る。


クインバードは、地面に横たわったまま動かない。


「た、倒した……?」


ギルティが呟いた。


ダリアはメディーガンを握りしめたまま、目を丸くしている。


「……倒したのだ?」


「や、やりましたぁぁぁっ!」


ラウラは思わず両手を上げた。


「すごいです! ダリアちゃん、すごいです!」


「へへっ! あちしの薬が効いたのだ!」


ダリアが胸を張る。


「麻痺薬を強めに調整しておいたのだ! あの大きさなら、普通の魔物には効きにくいけど……うまく翼の付け根に当たったみたいなのだ!」


「さすがダリアちゃん!」


ギルティも笑顔になった。


「これで依頼達成だね! あとは剥製にしてもらえば……!」


「お金……!」


ラウラの目が輝いた。


「アントン伯爵から、たくさん報酬をもらえるかもしれません……!」


三人は顔を見合わせ、歓声を上げた。


長かった。


本当に長かった。


五階層から十階層まで、ゾンビや虫の魔物に追い回され、死ぬ思いでたどり着いた。


そして、ついに目的のクインバードを倒したのだ。


「やったぁぁぁぁっ!」


「これで帰れるのだぁぁぁ!」


「お風呂に入りたい……!」


三人は心から喜んだ。


――そのときだった。


『クエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!』


十階層全体を震わせるような、凄まじい鳴き声が響き渡った。


「…………え?」


三人の笑顔が凍りつく。


湖の向こう側。


暗闇の奥から、巨大な影が現れた。


ゆっくりと姿を見せたその鳥は――。


先ほど倒したクインバードの、倍はあろうかという巨体を持っていた。


九色の羽毛は、先ほどの個体よりもさらに鮮やかに輝いている。


翼を広げるだけで、湖の半分が影に覆われた。


そして、その鋭い瞳が三人を見下ろした。


「…………」


ラウラは、ゆっくりとダリアを見た。


次に、ギルティを見る。


二人も、顔を真っ青にしていた。


「……ダリアちゃん」


「な、何なのだ……」


「……もしかして」


ラウラは震える声で呟いた。


「さっき倒したのって……子ども、だったんでしょうか?」


「…………」


誰も答えなかった。


巨大なクインバードが、再び大きく翼を広げる。


『クエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!』


「「「ぎゃああああああああああああっ!!!」」」


十階層に、金満腹の悲鳴が響き渡った。


依頼達成まで、あと少し。


……のはずだった。

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