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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


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43/54

43話 到着してすぐに4日も寝ました。

ブングルの街を出て。


 数時間後。


「ぜぇ……ぜぇ……」


「はぁ……はぁ……」


「ぜぇ……」


 三人は。


 道の上で、肩で息をしていた。


「ぢみたぢぃー……」


 ダリアが涙目になる。


「何時間走ってるのだぁ……あちしたちは……」


「し、しらん……」


 ギルティも限界だった。


「ラウラ……今、何時間?」


「四時間ほどです!」


「四時間!?」


「四時間も走ったのだ!?」


「はい!」


 ただし。


 最初の頃とは違う。


 現在の三人は。


 ほぼ。


 歩く速度で走っていた。


「……これ」


 ギルティが息を整えながら呟く。


「走ってる?」


「走ってます!」


「歩いてるようにしか見えないのだ……」


「でも走ってます!」


 三人は。


 よろよろ。


 てくてく。


 と進んでいく。


 そして。


「あ!」


 ラウラが顔を上げた。


「見えてきました!」


 遠くに。


 大きな街が見える。


「アントンです!」


「…………」


「…………」


 三人は。


 その場で立ち止まった。


 そして。


「宿……」


 ダリアが呟く。


「休める場所を……」


「探そう……」


 ギルティも頷く。


「まずは休もう」


「そうですね!」


 そして三人は。


 何か大事な目的があったような気がするが。


 すっかり忘れて。


 アントンの街へ入っていった。


     


「冒険者の方ですね」


 門番にギルドカードを見せる。


「はい!」


「どうぞ」


 あっさり入れた。


 そして。


「宿……」


「宿なのだ……」


「宿を探そう……」


 三人は街を歩き回る。


 しばらくして。


「あ!」


 ラウラが指を差す。


「ありました!」


「助かったのだ……」


「もう限界……」


 三人は宿へ入った。


「いらっしゃい」


「三人です!」


「部屋は空いてるよ」


「お願いします!」


 三人は部屋に入る。


 そして。


「…………」


「…………」


「…………」


 ベッド。


 椅子。


 机。


 屋根。


 壁。


「最高なのだ……」


「天国ですね……」


「もう動きたくない……」


 金満腹。


 完全に休憩モードへ突入した。


     


 ラウラが魔法袋を開ける。


「ご飯ありますよ!」


「おお!」


「食べよう!」


 持ってきていた食料を机に並べる。


 パン。


 干し肉。


 果物。


 簡単な保存食。


 三人で食べる。


「うまいのだ……」


「おいしいですね……」


「…………」


 ギルティが黙々と食べる。


 ラウラも。


「…………」


 もぐ。


 もぐ。


「…………」


 目が。


 だんだん。


 閉じていく。


「ラウラ?」


「…………」


「眠いの?」


「……ちょっとだけ……」


 ラウラは。


 こくん。


 こくん。


 そして。


「…………」


 目の前が。


 真っ暗になった。


     


「どんどん!」


「どんどんどん!」


「どんどんどんどん!!」


「んん……」


 ラウラは。


 まだ目を開けない。


「どんどんどん!」


「うるさいのだぁ……」


 ダリアが目を覚ます。


「なんだよぉ……」


 寝ぼけながら。


「どんどんうるさいぞ……」


 ベッドから起き上がる。


「誰なのだぁ……」


 ふらふらと扉へ向かう。


 そして。


 ガチャ。


「はいはい……」


 扉を開ける。


「…………」


 そこには。


 宿屋の女将が立っていた。


「あんたたち!」


「……?」


「もうとっくに宿泊期間は終わってるよ!」


「…………?」


 ダリアが首を傾げる。


「四日もお金を払わないで!」


「…………」


「どういうつもりなんだい!」


「…………?」


 ダリアは。


 完全に寝ぼけていた。


「四日……?」


「そうだよ!」


「…………」


 ダリアの顔が。


 少しずつ青くなる。


「四日……?」


「四日だよ!」


「…………」


 ダリアは振り返る。


「ラウラ」


「ん……」


「ギルティ」


「……んん……」


「起きるのだぁぁぁぁ!!」


「!?」


 二人が飛び起きた。


「な、なんですか!?」


「どうした!?」


「四日寝てたのだぁぁぁ!!」


「「えええええ!?」」


     


 数分後。


「「申し訳ありませんでした!!」」


 三人は。


 宿屋の女将の前で。


 土下座していた。


「本当にすみません!」


「ごめんなさいなのだ!」


「悪かったです!」


「まったく……」


 女将が呆れる。


「こんなに長く寝る客は初めてだよ」


「…………」


 ラウラは。


 魔法袋を取り出す。


「お支払いします!」


 金貨を二枚取り出す。


「こちらで!」


「ちょっと待ちな!」


 女将が慌てる。


「銀貨十五枚だよ!」


「はい!」


 ラウラは金貨を差し出した。


「迷惑料金もです!」


「迷惑料金って……」


 女将は呆れながらも受け取る。


 そして。


「ところで……」


 ラウラが尋ねる。


「ラウラたちは、何日くらい寝ていたんでしょうか?」


「だから四日だよ!」


「四日……」


「そうだよ」


 ラウラは首を傾げる。


「では、その間に何かありましたか?」


「何かって……」


 女将の顔が曇った。


「この辺りで、かなり強い魔物が出たんだよ」


「魔物?」


「そう」


 女将が頷く。


「今、隣街から伯爵様が援軍に来てるんだけどね」


「伯爵様……?」


「カーム伯爵様だよ」


「…………」


「でも、なかなか討伐できないらしくてね」


「…………」


 三人が。


 顔を見合わせる。


「…………」


「…………」


「…………」


 そして。


「…………あ」


 ラウラが呟いた。


「…………」


 ダリア。


「…………」


 ギルティ。


 三人の脳裏に。


 あの数字が浮かんだ。


金貨六百枚。


「「「ああああああああ!!!」」」


 三人は。


 宿を飛び出した。


     


「ギルド!」


「急ぐのだ!」


「走って!」


 四日間寝たばかりなのに。


 三人は。


 全力で走った。


 そして。


 ギルドへ到着。


「…………」


 中は。


 異様な雰囲気だった。


「まだ高ランク冒険者は来ないのか!」


「負傷者を手当てしろ!」


「西の森の状況は!?」


「魔物はまだ動いている!」


 職員たちが慌ただしく動いている。


 冒険者たちも。


 武器を持って走り回っていた。


「…………」


 ラウラが受付へ向かう。


「すみません!」


「はい!」


 受付嬢が振り返る。


 そして。


「…………え?」


 ラウラたちを見て。


 驚く。


「あなたたちは……」


 ダリアが一歩前へ出た。


「カーム伯爵はどこにおるのだ!」


「…………」


 ギルド内が。


 静まり返った。


 受付嬢が慌てて答える。


「に、西の森です!」


「西の森?」


「はい!」


「現在、魔物と戦闘中かと……」


「…………」


「しかし、被害も大きく……」


 受付嬢の声が震える。


「このままでは……」


 その時。


 ギルティが一歩前へ出た。


「さぁ」


 腕を組む。


「私たちに依頼書を出して」


「え?」


「行ってあげるからさ」


 ラウラが。


 激しく首を縦に振る。


「はい!」


「…………」


 受付嬢が目を丸くする。


 すると。


「待て!」


 ギルドの奥から。


 一人の男が出てきた。


「ギルドマスター!」


 受付嬢が叫ぶ。


 ギルドマスターは。


 三人をじっと見る。


「お前たちは何者だ?」


 ダリアが胸を張る。


「あちしたちは!」


 ビシッ!


「金満腹!」


「…………」


「Bランク冒険者!」


「…………」


「そして!」


 ダリアが拳を握る。


「カーム伯爵を助けに来たのだよ!」


 ギルドマスターが目を見開く。


「カーム伯爵様の知り合いか!」


「そうなのだ!」


「それなら……」


 ギルドマスターが受付へ指示する。


「依頼を作れ!」


「はい!」


 受付嬢が急いで書類を作る。


「緊急依頼!」


「対象はカーム伯爵!」


「それから……」


 ギルドマスターが言う。


「ランベルン伯爵もだ!」


 報酬。


金貨二十枚。


「受けるのだ!」


「はい!」


「行こう!」


 三人は。


 依頼書を受け取った。


     


 そして。


 ギルドの中央。


 三人は装備を確認する。


 ダリアが言った。


「ラウラ!」


「はい!」


「石ころは!?」


「あります!!!」


 ラウラは魔法鞄を叩く。


「大量にあります!」


「よし!」


 次。


「ギルティ!」


「何?」


「鍛冶ハンマーは!?」


「あるよ!」


 ギルティが腰のハンマーを見せる。


「問題ない」


「よし!」


 ダリアは。


 自分の武器を見る。


「あちしは!」


 メディーガンを構える。


「メディーガン!」


「よし!」


 三人は。


 互いに顔を見る。


「…………」


「…………」


「…………」


 コクリ。


 頷く。


「行くのだ!」


「はい!」


「やってやろう!」


 その様子を見ていたギルドマスターが。


 ふと尋ねた。


「……ところで」


「はい?」


「お前たち」


 ギルドマスターが眉をひそめる。


「職業は?」


「…………」


 ラウラが答える。


「素材採取士です!」


「錬金術師なのだ!」


「鍛冶師」


「…………」


 ギルド内が。


 静まり返った。


「…………」


「…………」


「…………」


 そして。


「お前たち……」


 ギルドマスターが呆れた顔になる。


「パーティーに戦闘要員が一人もいねぇじゃねぇか」


「…………」


 ダリアが言う。


「大丈夫なのだ!」


「何がだよ!」


「問題ないのだ!」


「いや問題しかねぇだろ!」


 そして


 三人は


 ギルドの外へ出た。


「…………」


 ギルドマスターは。


 しばらく呆然とする。


「…………もういねぇ」


 受付嬢も。


「……行っちゃいましたね」


「…………」


 ギルドマスターは頭を抱えた。


「なんなんだ、あいつら……」


     


 金満腹。


 三人は。


 西の森へ向かって走っていた。


「急ぐのだ!」


「はい!」


「カーム伯爵を助けるよ!」


 三人の顔は真剣だった。


 金貨二十枚。


 そして。


 金貨六百枚。


 何より。


 カーム伯爵を助けるために。いや、金貨を助けるために。


「走ります!」


 ラウラが叫ぶ。


「うおおおお!」


「いくのだぁぁぁ!」


 三人は森へ駆け込んでいく。


 しかし。


 まだ。


 三人は知らない。


 今回、討伐を依頼された魔物が。


 ただの強力な魔物ではないことを。


 その名は――。


アーマードスコーピオン。


 巨大な甲殻。


 鋭いハサミ。


 そして。


 猛毒を持つ巨大な尾。


 金満腹の三人にとって。


 またしても。


 逃げながら戦うことになる相手だった。

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