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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


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41話 お宝が眠っていると思ったら化物の幽霊が眠ってました。

金満腹の三人は、中級ダンジョンの奥へと進んでいた。


「…………」


「…………」


「…………」


 歩いても。


 歩いても。


 素材がない。


「……」


 ラウラは辺りを見回す。


 石造りの壁。


 じめじめした床。


 時々、ゾンビ。


 しかし。


「素材が……」


 ほとんどない。


「本当にないのだ……」


 ダリアも周囲を見回す。


「中級ダンジョンって、もっと素材があると思ってたんだけどね」


 ギルティも首を傾げる。


「変だね」


 そこで。


 ラウラは魔法鞄に手を入れた。


「そういえば……」


 ごそごそ。


 そして。


「ありました!」


 一冊の本を取り出した。


「何それ?」


 ギルティが聞く。


「『ダンジョンの心得』です!」


「そんな本持ってたの?」


「はい!」


 ラウラは本を開く。


「読んでみますね」


     


「ふむふむ……」


 ページをめくる。


「ゾンビさんは……」


 ラウラが読み上げる。


「切っても燃やしても立ち上がるらしいですよ!」


「…………」


「体力を削られて、やられる冒険者が多く」


 さらにページをめくる。


「簡単には倒れないタフさがあるそうです!」


「今それを言うのか?」


 ギルティが真顔になる。


「それはダンジョンに入る前に教えてほしかったのだ……」


 ダリアも呆れた顔をする。


「すみません」


 ラウラは笑った。


「でも、聖水が効いてよかったですね!」


「結果オーライなのだ……」


     


 さらに進む。


 しばらく歩いたところで。


「それにしても」


 ダリアが辺りを見る。


「素材がなさすぎるのだ」


「ですね……」


 ラウラも頷く。


「ちょっと《素材感知》を使ってみます」


 目を閉じる。


 意識を集中する。


「…………」


 右。


 左。


 前。


 後ろ。


「……ないですね」


 素材の反応はほとんどない。


「やっぱりか」


 ギルティがため息をつく。


 その時。


「……あれ?」


 ラウラが立ち止まった。


「どうしたの?」


 ダリアが聞く。


「……」


 ラウラは壁を見る。


「この壁の向こう」


 指を向ける。


「うっすら反応があります」


「素材?」


「たぶん……」


 ギルティが壁に近づく。


「ちょっと待って」


 コン。


 壁を軽く叩く。


 コン、コン。


「…………」


 ギルティが耳を澄ませる。


「ここ」


 もう一度叩く。


「空洞があるな」


「本当ですか!」


 ラウラは魔法鞄からピッケルを取り出す。


「では!」


 ガンッ!


「おお!」


 ガンッ!


「ラウラちゃん、力強いね……」


 ガンッ!


 壁にヒビが入る。


「もう少し!」


 ガンッ!!


 ドガンッ!!


 壁が崩れた。


「開きました!」


 その先には。


 暗い道が続いていた。


「…………」


 三人が覗き込む。


「ここは……」


 ギルティが眉をひそめる。


「誰かが閉ざしたのか?」


「そうかもしれませんね」


 ダリアが目を輝かせる。


「いや!」


 突然、元気になる。


「こういう道の先には!」


 ビシッと指を立てる。


「お宝が眠っておるのが定番なのだ!」


「お宝……」


 ラウラの目が輝く。


「行きましょう!」


「即決だね」


「素材があるかもしれません!」


「金になるかもしれないのだ!」


「それもあります!」


 三人は暗い道へ入っていった。


     


 進むほど。


 《素材感知》の反応が強くなる。


「…………」


 ラウラの目が輝く。


「近づいてます」


「本当かい?」


「はい」


 さらに進む。


 反応が強くなる。


「この先です……」


 ラウラの額に汗が浮かぶ。


 鼻息も荒くなる。


「はぁ……」


「ラウラ、落ち着いて」


「もう少しです……!」


 ダリアも。


「ふぅ……」


 息が荒い。


「お宝……」


 ギルティも。


「はぁ……」


「何かある……」


 三人とも。


 完全に素材を求める顔になっていた。


 そして。


「……!」


 前方が開けた。


 大きな広間。


「ここ……」


 ラウラが立ち止まる。


「広いですね」


 たいまつを掲げる。


 炎が暗闇を照らしていく。


 その奥に。


 何かがいた。


「…………」


「…………」


「…………」


 三人はゆっくり近づく。


 たいまつの光が。


 その姿を照らした。


 骨。


 黒いローブ。


 巨大な杖。


 そして。


 赤く光る眼窩。


「…………」


 ダリアの顔が引きつる。


「こ……」


 震える指を向ける。


「こやつ……」


 ゴクリ。


「リッチロードではないか!」


「リッチロード!?」


 ギルティが叫ぶ。


「そんな化物、なんでこんなところに……!」


 ラウラは。


「…………?」


 二人を見る。


 そして。


「あぁ!!!」


 何かを思い出したように叫んだ。


「パーティー名!」


「?」


「リッチロード……」


 ラウラは悔しそうな顔をする。


「パーティー名はリッチガールズにすればよかったです!!!」


「「そこじゃねぇよ!!」」


 二人のツッコミが響き渡った。


     


 リッチロードが。


 ゆっくり杖を掲げる。


「…………」


 杖の先に。


 黒い魔力が集まる。


「……」


 三人の顔が青ざめる。


「やばい」


「逃げるのだ!」


「ぎゃー!」


 ドンッ!!


 魔法が飛んできた。


「ぎゃーーーー!!」


 三人は一斉に走り出した。


 ズドン!


 床が爆発する。


「こっち来たぁぁぁ!」


「散開するのだぁぁぁ!」


「ぴゃーーー!!」


 三人は広間をバラバラに走り回る。


 リッチロードは。


 次々と魔法を放つ。


 火。


 氷。


 黒い弾。


 雷。


 そして。


「うわぁぁぁ!」


「こっちなのだぁぁぁ!」


「ギルティちゃん危ない!」


「分かってる!」


 ドゴォン!!


 壁が吹き飛ぶ。


「こいつ強すぎるだろ!」


 ギルティが叫ぶ。


「魔法はずるいのだ!」


 ダリアも叫ぶ。


「ラウラ!」


「はい!」


「粉を!」


「粉?」


「粉をまくのだ!」


「そうでした!」


 ラウラはゴースト退治用の粉を取り出した。


 そして。


「えいっ!」


 地面に。


 ザァァァッ。


 白い粉を撒いた。


「…………」


 ダリアが固まる。


「…………」


 ギルティも固まる。


「ラウラ……」


「はい?」


「貴重な粉を地面にまぶすなぁぁぁ!!」


「すみませんんんんん!!」


 ラウラは慌てて走り出す。


「間違えましたぁぁぁ!」


「どうして間違えるのだぁぁぁ!」


     


「くそっ!」


 ギルティが叫ぶ。


「幽霊のくせにくそが!」


 ギルティはハンマーを取り出す。


「くらえぇぇぇ!」


 リッチロードが魔法を放つ。


 ギルティは。


「せいっ!」


 ハンマーを振った。


 ガンッ!!


「え?」


 魔法が。


 ハンマーに当たった。


 そして。


 弾き返された。


「…………」


 リッチロードへ。


 一直線。


「…………」


 ドゴォォォォン!!


 リッチロードの目の前で大爆発が起こった。


「今なのだ!」


 ダリアが叫ぶ。


 白い粉を掴む。


「いけぇぇぇ!」


 バサァッ!!


 リッチロードに粉をまぶす。


「ラウラ!」


「はい!」


 ラウラも聖水スプレーを構える。


「シュッ!」


 聖水がリッチロードへかかる。


「…………」


 リッチロードの身体が。


 淡く光り始める。


「撤退!」


 ダリアが叫ぶ。


「逃げるのだぁぁぁ!」


 ラウラとダリアが一気に距離を取る。


 ギルティも走る。


「はぁ……!」


「はぁ……!」


「はぁ……!」


 三人は息を切らしながら。


 遠くからリッチロードを見つめる。


「…………」


 リッチロードが。


 ゆっくりと膝をつく。


 そして。


 小さな光になって。


 サラサラと消えていった。


「…………」


「…………」


「…………」


 三人は。


 しばらく黙っていた。


 そして。


「……勝った?」


 ラウラが呟く。


「勝ったのだ!」


 ダリアが両手を上げる。


「勝ったぁぁぁ!!」


「やった!」


 ギルティも拳を握る。


「勝ったぁぁぁ!」


 三人で喜ぶ。


「すごいのだ!」


「怖かったです!」


「私はもう二度と戦いたくない!」


「それはラウラもです!」


 三人は笑った。


     


 そして。


 ラウラがリッチロードのいた場所へ向かう。


「何か落ちてます!」


 拾い上げる。


「これは……」


 黒く光る布。


「リッチロードの魔法布!」


 ダリアが駆け寄る。


「おお!」


「素材です!」


「錬金術に使える!」


「持って帰りましょう!」


 ラウラは大事そうに魔法袋へしまった。


「これだけでも来た甲斐がありましたね!」


「うむ!」


「そうだね」


 三人はさらに先へ進んだ。


     


 そして。


 ダンジョン最終階層。


「…………」


「…………」


「…………」


「何もないのだ」


 特に目立った素材もない。


 宝箱もない。


 強力な魔物も出てこない。


「……終わり?」


 ラウラが首を傾げる。


「終わりみたいだね」


 ギルティが周囲を見る。


「なんだか拍子抜けなのだ」


「でもリッチロードがいましたよ」


「それはそうなのだ」


 三人は最終階層を確認すると。


 地面にある魔法陣へ向かった。


「これで帰れるの?」


 ギルティが聞く。


「ギルドから聞いているのだ」


 ダリアが頷く。


「転移魔法陣だね」


「では……」


 三人は魔法陣の上に立つ。


 光が広がる。


「うわっ」


「おお……」


「まぶしい!」


 そして。


 次の瞬間。


 三人は地上へ戻っていた。


 太陽の光が。


 まぶしい。


「…………」


 三人は空を見上げる。


 青い空。


 暖かな太陽。


 そして。


 久しぶりの外。


 ダリアが。


 目を細めながら。


「…………」


 一言。


「太陽がまぶしいぜ」


「おじさんみたいですね」


「なんだとぉ!?」


「ふふっ」


 ギルティも笑う。


 こうして。


 金満腹の中級ダンジョン攻略は。


 無事に終了したのだった。

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