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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました。10000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち


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37話 一か八か!決死のラウラの判断!!

ブングルの街。


 門の前。


 ラウラ、ダリア、ギルティの三人は、ぼーっと立ったまま空を見上げていた。


 遠くから迫ってくる巨大なドラゴン。


 街では人々が逃げ回っている。


 衛兵が叫んでいる。


 冒険者たちが武器を構えている。


 なのに。


 三人は動けなかった。


「…………」


「…………」


「…………」


 しばらくして。


 ギルティが口を開いた。


「ねぇ、ラウラ」


「はい?」


「魔法とか、使えないの?」


「魔法?」


 ラウラは空を見上げたまま首を傾げる。


「使えたら嬉しいですね」


「だよね」


 ギルティが遠い目をする。


 そして。


「じゃあ、ダリアはどう?」


「魔法?」


 ダリアは鼻で笑った。


「ははは」


「……」


「私の魔法」


 胸を張る。


「自慢ではないがな」


 少し間を置いて。


「無い」


「……」


「……」


「……」


 三人の間に沈黙が流れる。


 ダリアがギルティを見る。


「ギルティ、ちみの魔法は?」


「魔法があったら鍛冶師なんてしてないよ」


「ああ……」


「なるほど……」


 三人は。


「はは……」


「ははは……」


「あはは……」


 気の抜けた笑いをした。


 空には。


 巨大なドラゴン。


 その姿は、少しずつ大きくなっている。


「……」


「……」


「……」


「いや、笑ってる場合じゃないのだ」


「そうですね……」


「うん……」


 そのとき。


「おい! そこの三人!!」


 冒険者の一人が走ってきた。


「早く街の中へ入れ!」


「でも……」


「いいから!」


「ドラゴンが来るぞ!」


「巻き込まれるぞ!」


 ラウラは、はっとした。


 今まで呆然としていた頭が、一気に動き始める。


「……」


 ラウラはドラゴンを見る。


 そして。


「よーし!」


「?」


「一か八か!」


 ラウラは拳を握った。


「やってみます!」


「なにをだい?」


 ギルティが聞く。


 ラウラはダリアを見る。


「ダリアさん!」


「なんだ?」


「麻痺MAXと毒MAX、ください!」


「了解なのだ!」


 ダリアはすぐに魔法鞄を開く。


「これなのだ!」


 取り出したのは二本の薬。


 麻痺MAX。


 毒MAX。


「あと、これも」


 ダリアは抵抗性手袋を渡した。


「手袋?」


「毒を扱うなら必要なのだ!」


「ありがとうございます!」


 次にラウラはギルティを見る。


「ギルティさん!」


「なんだ?」


「今、手持ちにある一番硬い石を教えてください!」


「一番硬い石?」


 ギルティは少し考えた。


「今の手持ちだと……黒曜石かな?」


「黒曜石……」


「かなり硬いぞ」


「ありがとうございます!」


 ラウラは魔法鞄から黒曜石を取り出した。


 ラウラは抵抗性手袋を装着しする


 そして。


 麻痺MAXをかける。


 さらに。


 毒MAXをかける。


「……」


 黒曜石の表面に、薬液が染み込んでいく。



 その隣では。


 ダリアが万能ポーションを片手に持っている。


「ラウラ」


「はい」


「無理だと思ったら、すぐ逃げるのだ」


「はい」


 ラウラは頷く。


 そして。


 ドラゴンを見る。


 近づいてくる。


 さっきまで遠くにいたはずなのに。


 もう。


 はっきり見える。


 巨大な頭。


 鋭い牙。


 開けば、人間など簡単に飲み込めそうな口。


 巨大な翼。


 赤黒い鱗。


 そして。


 こちらを見ているような、恐ろしい眼。


「…………」


 ラウラは動かなかった。


 街の外からも。


 街の中からも。


「逃げろ!!」


「街の中へ入れ!!」


「そこにいる三人も逃げろ!!」


 声が聞こえる。


 けれど。


 ラウラは動かない。


 考える。


 ギリギリまで接近する。


 そして。


 この黒曜石を。


 全力で投げる。


「…………」


 ラウラは手の中の黒曜石を見る。


 魔道具図鑑に載っていた。


 黒曜石。


 火山地帯などで採取される黒い鉱石。


 売買価格――


 銀貨20枚。


「……」


 ラウラは小さく呟いた。


「さらば、銀貨20枚」


「ちみ、何を言ってるのだ?」


「大切な素材だったんです……」


「今それを言うのか!?」


 ギルティが叫ぶ。


 だが。


 もう遅い。


 ドラゴンが目の前まで迫ってきた。


「――――」


 巨大な口が開く。


 その奥に。


 暗闇が見えた。


 牙。


 牙。


 牙。


「……っ」


 ラウラは息を呑んだ。


 それでも。


 逃げない。


 黒曜石を握る。


 素手で。


 抵抗性手袋越しに。


 毒が腕へ回ってくる。


「……っ」


 毒の効果が始まる。


 しかし。


 麻痺はまだ。


「……まだです」


 ドラゴンがさらに迫る。


「ラウラ!」


 ダリアの声。


「今なのだ!」


 ラウラは目を見開いた。


「今なら――」


 投げられる。


 ラウラは足を踏み込んだ。


 身体をひねる。


 腕を大きく後ろへ引く。


 そして。


 野球のようなフォームで。


「えいっ!!」


 投げた。


 ――ドンッ!!


 黒曜石が飛んだ。


 速い。


 あまりにも速い。


 空気を切り裂きながら一直線に進む。


「――――」


 ドラゴンの口へ。


 入った。


「……え?」


 次の瞬間。


 ドゴォォォォォォン!!


 黒曜石がドラゴンの身体を貫通した。


「…………」


 ドラゴンの動きが止まる。


 巨大な身体が傾く。


 そして。


 ドォォォォン!!


 地面へ落下した。


 そのまま勢いが止まらず。


 ズズズズズズズッ!!


 地面を削りながら、こちらへ滑ってくる。


「え?」


「え?」


「えええええ!?」


 ラウラ、ダリア、ギルティの三人が青ざめる。


「来るぞぉぉぉ!!」


「逃げるのだ!!」


「ラウラちゃん!!」


 ダリアが万能ポーションをラウラへ押しつける。


「これ飲むのだ!」


「ありがとうございます!」


 三人は走った。


 ドラゴンの巨体が迫る。


 地面が震える。


「潰される!!」


「いやぁぁぁぁ!!」


「死ぬぅぅぅ!!」


 そして。


 ギリギリ。


 本当にギリギリ。


 ドラゴンの身体が止まった。


「…………」


「…………」


「…………」


 三人は振り返る。


 巨大なドラゴンが。


 地面に横たわっていた。


「…………」


 静寂。


 そして。


「うおおおおおおおお!!」


「ドラゴンを一撃!?」


「やべぇ、あいつ!」


「今のなんだ!?」


「何をしたんだ!?」


「ドラゴンが倒れたぞ!!」


 街中から歓声が上がった。


 ラウラは。


 顔面蒼白だった。


「…………」


 手が震えている。


 足も震えている。


 そして。


 ダリアとギルティを見る。


「……」


 親指を立てる。


 グッドサイン。


「…………」


 ダリアも。


 ギルティも。


 しばらく固まっていた。


 やがて。


「……やったのか?」


「……やったんですか?」


「やったんだよな?」


 三人で顔を見合わせる。


「「「やったぁぁぁぁぁ!!」」」


 三人は抱き合った。


「やったのだぁぁぁ!!」


「死ななかったぁぁぁ!!」


「やったなぁぁぁ!!」


 そして。


 少し落ち着いたところで。


 ギルティがドラゴンを見る。


「……待て」


「?」


「これ……」


 ギルティが駆け寄る。


 ドラゴンの身体を確認する。


 そして。


「やったな!」


「?」


「こいつ、マグマドラゴンだよ!」


「マグマドラゴン?」


「そう!」


 ギルティの声が興奮していく。


「普段はマグマの中にいるんだ!」


「マグマの中……」


「だから、素材どころか!」


 ギルティがドラゴンを指差す。


「討伐されること自体が、ここ数十年なかったんだ!」


「……」


「つまり!」


 ギルティの目が輝く。


「魔物自体が激レアなんだよ!」


 ラウラの目が。


 ゆっくり変わった。


「…………」


「ラウラ?」


「激レア……」


「そう!」


「素材も……?」


「当然!」


「…………」


 ラウラはドラゴンを見る。


 さっきまで恐怖の対象だった巨大な身体。


 しかし。


 今は。


 違う。


「……採取できますね」


 ラウラの目が輝いた。


「できるのだ!」


 ダリアもすぐに反応する。


「レア素材!」


 ギルティも叫ぶ。


「作れる!!」


 三人は顔を見合わせた。


「「「解体だぁぁぁ!!」」」


 こうして。


 街の冒険者たちが呆然と見守る中。


 金満腹による――


 マグマドラゴンの解体が始まった。


「この鱗……!」


「硬いです!」


「これは魔力がすごい!」


「牙も採れます!」


「爪も!」


「肉もあるのだ!」


「こっちは魔石!」


「大きい!」


 次々と素材が採取されていく。


 そして。


 ラウラの《素材採取》が。


 普段とは違う反応を示した。


「…………」


「どうしたのだ?」


 ラウラは目を見開いた。


「これ……」


 素材の中に。


 いくつもの赤い光が浮かんでいる。


「激レア素材があります」


「なに!?」


 ギルティが飛びつく。


「どれ!?」


 ラウラは一つずつ取り出していく。


 極上品質マグマドラゴンの鱗。


 極上品質マグマドラゴンの牙。


 極上品質マグマドラゴンの爪。


 極上品質マグマドラゴンの皮。


 マグマドラゴンの魔石。


 そして。


 さらに。


 《素材採取》が強く反応する。


「……まだあります」


「まだ!?」


 ギルティが叫ぶ。


 ラウラが慎重に採取する。


 そこから現れたのは――


 激レア・マグマドラゴン結晶。


 激レア・竜炎核。


 激レア・マグマドラゴン心臓石。


 さらに。


 超激レア・マグマドラゴンの逆鱗。


「…………」


 三人が固まった。


「…………」


「…………」


「…………」


 そして。


 ギルティが震える声で呟いた。


「これ……」


 ラウラを見る。


「とんでもない素材だぞ……」


 ダリアも目を輝かせる。


「……金になるのだな?」


 ラウラは。


 手の中の素材を見つめた。


「はい……」


 そして。


 小さく笑った。


「ものすごく……金になります」


 金満腹の三人は。


 またしても。


 大量の素材を前にして。


 目を輝かせるのであった。

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