↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/53

36話 ドラゴンを街へ呼び寄せてしまいました。

火山の洞窟。


 ラウラ、ダリア、ギルティの三人は、ひたすら素材を採り続けていた。


「炎王鉱石、もう少しあります!」


「採るのだ!」


「紅蓮結晶もある!」


「採ります!」


「こっちは火晶石!」


「採るのだ!」


「この鉱石、かなり珍しい!」


「採ります!」


 採る。


 拾う。


 掘る。


 そして魔法鞄へ入れる。


 そんな作業を繰り返すこと、しばらく。


「……」


 ラウラは周囲を見渡した。


「だいたい採りましたね」


「うむ」


 ダリアも満足そうに頷く。


「かなり採ったのだ」


 ギルティも魔法鞄を確認する。


「すごい量だな……」


 三人とも、かなりの量の素材を確保していた。


 特に炎王鉱石。


 今回の目的だった素材は、十分すぎるほど採れている。


「これでカーム伯爵の依頼も終わりですね」


「そうだな」


 離れた所でギルティが頷いた。


 そして。


「……あれ?」


 ギルティが首を傾げた。


「そういえば」


「?」


「なんで私たち、こんな危険な場所に素材を取りに来てるんだ?」


「……」


「……」


 ラウラとダリアが止まった。


「普通、火山なんて冒険者でも許可が必要なんだぞ?」


 ギルティは二人を見る。


「しかも私たち、非戦闘員みたいなものだろ?」


「…………」


「なんで三人だけで来られたんだ?」


 もっともな疑問だった。


 ラウラは少し考えてから答えた。


「カーム伯爵に頼まれたんですよ!」


「……」


 ギルティの顔が固まった。


 ダリアも思い出したように言う。


「なんか王様の誕生なんちゃらとか言ってたのだ!」


「王様の……?」


 ギルティの目が大きくなる。


「それってつまり……」


 ゆっくりと二人を見る。


「伯爵直々の依頼で……」


「はい」


「王様に……」


「たぶん」


「今、採った素材を渡すってことだよな!?」


「そういうことだと思います!」


「……」


 ギルティは頭を抱えた。


「とんでもないパーティーに入っちゃったね……これは」


「そうですか?」


「うむ」


 ダリアは頷いた。


「そうなのか……」


 ギルティは遠い目をした。


 そして三人は、火山を下り始めた。


     


「……」


 山道を下る。


 しばらくすると、少しずつ火山の熱が遠ざかっていく。


「炎王鉱石も採れたし、これで一安心ですね」


「そうだな」


「帰ったら何を作ろうかな……」


 ギルティが楽しそうに呟いた。


 しかし。


 そのときだった。


「――――――」


 遠くから。


 何かが聞こえた。


 最初は、風の音だと思った。


 けれど。


「……?」


 ラウラが足を止める。


「今、何か聞こえなかったか?」


 ギルティも立ち止まった。


「……聞こえたのだ」


 ダリアが空を見上げる。


「なんだ?」


 山全体に響き渡るような音。


 低く。


 大きく。


 そして。


 恐ろしい。


「――――――グォォォォォォォォォォォォォォン!!」


「…………」


 三人の身体が固まった。


「……なに、今の」


 ラウラの声が震える。


「わからん」


 ダリアも動かない。


「……」


 ギルティは、空を見ていた。


 そして。


「…………あ」


 小さな声を漏らした。


「どうしたのですか?」


 ラウラも空を見る。


「…………」


 最初。


 それは黒い点にしか見えなかった。


 だが。


 どんどん大きくなる。


 空を飛んでいる。


 翼。


 巨大な翼。


 それが一度羽ばたくたびに、周囲の空気が震える。


 さらに近づく。


 頭。


 首。


 胴体。


 四本の巨大な脚。


 そして――


 長い尾。


「……」


 ラウラは息を呑んだ。


 それは。


 ドラゴンだった。


「…………ドラゴン」


 誰かが呟いた。


 その声すら、震えていた。


 でかい。


 とにかく、でかい。




 だが、その巨体が空を覆うだけで、地面に大きな影が落ちる。


 翼を広げるだけで、太陽が隠れる。


「……」


 ラウラの手から、採取道具が落ちた。


 カラン。


 音がする。


 なのに。


 誰も拾わない。


「ラウラ」


「……はい」


「逃げるのだ」


「はい」


 ダリアの声も、いつもの勢いがない。


「今すぐだ」


「はい」


 ギルティも青ざめていた。


「……あれは、無理だ」


「ギルティちゃん……」


「剣を抜くとか、そういう話じゃない」


 ドラゴンが翼を羽ばたかせる。


 ドォンッ!!


 風圧が山を駆け抜けた。


「ひっ……!」


 ラウラが思わずしゃがみ込む。


 遠くにいる。


 まだ、かなり遠い。


 それでも。


 怖い。


 圧倒的に怖い。


 身体が理解してしまう。


 ――あれは戦ってはいけない。


 あれは逃げるものですらない。


 見つからないようにするものだ。


「走るのだ!!」


「はい!!」


「走れ!!」


 三人は一斉に走り出した。


 ドラゴンとの距離は、まだ遠い。


 それなのに。


「もっと速く!」


「走ってます!」


「ラウラ! もっとだ!」


「死にたくないですぅぅぅ!!」


「私も死にたくない!」


「ギルティちゃんまで!?」


 三人は全力で山を下った。


 振り返らない。


 振り返ったら、何かが起こる気がした。


 ただ走る。


 ただ逃げる。


 素材を大量に持っていることすら、今はどうでもいい。


「街まで!」


「街まで行くのだ!」


「絶対に戻るぞ!」


 そして。


 ようやく。


 ブングルの街が見えてきた。


「街です!」


「助かった……」


「よし……!」


 三人はそのまま門へ向かう。


 門番の姿が見える。


「すみません!」


 ラウラが叫ぶ。


「戻ってきました!」


 しかし。


「――――――グォォォォォォォォォォォォォォン!!」


「…………」


 空気が震えた。


 街中から悲鳴が上がる。


「ドラゴンだ!!」


「ドラゴンが来たぞ!!」


「やばい!!」


「住民は街の中へ!!」


「門を閉めろ!!」


「衛兵を呼べ!!」


「冒険者を集めろ!!」


「急げ!!」


 街が一瞬で騒然となった。


 門番たちが慌ただしく動き出す。


 冒険者たちが武器を持って集まってくる。


 住民が建物の中へ駆け込んでいく。


「ドラゴンだ!」


「本物なのか!?」


「空を見ろ!」


「でかすぎるだろ!!」


「どうするんだ!?」


 そんな声が次々と飛び交う。


 門の前。


 ラウラ、ダリア、ギルティの三人は立ち尽くしていた。


 三人とも。


 汗だく。


 息は切れている。


 そして。


 顔は引きつっている。


「……」


「……」


「……」


 三人はゆっくり顔を見合わせた。


 ラウラが苦笑いする。


 ダリアも苦笑い。


 ギルティは頭を抱える。


 そして三人は。


 ほぼ同時に呟いた。


「「「……やっべ」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。