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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


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22話 大都市ブングルに着く前にうんこを拾います。



ブングルの街へ向かう馬車の中。


ラウラとダリアは、並んで座っていた。


「馬車って楽ですねぇ……」


窓の外を眺めながら、ラウラが呟く。


今まで町の外へ出る時は、基本的に歩きだった。


それも、魔物から逃げながら。


「うむ。歩くより断然楽だな」


ダリアも満足そうに頷く。


「これなら旅も悪くないですね」


「そうだな」


そんな会話をしながら、馬車は街道を進んでいく。


すると――


「……ん?」


ラウラの表情が変わった。


何かを感じる。


これは――


《素材感知》だ。


周囲に、何か素材がある。


「…………」


ラウラは目を閉じる。


「どうした?」


ダリアが尋ねる。


「素材があります」


「ほう?」


「かなり……たくさん」


その言葉を聞いた瞬間。


ラウラは御者へ向かって叫んだ。


「停めてください!」


「えっ!?」


急な大声に、御者が驚く。


馬車がゆっくりと止まった。


「どうしたんだい?」


「少しだけ、確認したいものが……!」


ラウラは馬車を降りる。


「ダリアさん、こっちです!」


「おう!」


二人は《素材感知》の反応を追って、街道から少し外れた場所へ向かった。


そして――


「…………」


「…………」


二人は目を合わせた。


そこにあったのは。


大量の――


「ストーンアントのうんこ……」


「ストーンアントのうんこだな」


大量の石蟻の排泄物だった。


ゴロゴロ。


ゴロゴロ。


地面に転がっている。


以前、ガルグに教えてもらった。


ストーンアントのうんこは、磨けば宝石のように輝く。


しかも、食べたものによって色や輝きが変わる。


「これを……」


ラウラがしゃがみ込む。


「拾って、磨けば……」


「金になる」


「…………」


「…………」


二人の顔が、ゆっくりと緩んでいく。


「ふふふ……」


「へへへ……」


完全に同じ顔をしていた。


「拾いましょう!」


「拾うぞ!」


二人はせっせとストーンアントのうんこを集め始めた。


魔法の鞄へ。


どんどん入れる。


「こんなにあるとは……」


「ブングルへ着く前に、もう金儲けとはな!」


二人が嬉しそうに拾っていると――


ラウラの《素材感知》が、別のものを捉えた。


「……あれ?」


少し離れた場所。


そこに何かが倒れている。


「ダリアさん、あそこにも反応があります」


「行ってみるか」


二人で近づいていく。


そして――


「…………」


ラウラは固まった。


そこにあったのは。


巨大な蟻の死骸だった。


全長、約三メートル。


「ひっ……!」


ラウラが一歩後ろへ下がる。


「お、大きい……」


巨大な脚。


硬そうな甲殻。


鋭い牙。


「これ……ストーンアントですか?」


「そうだな」


ダリアは平然としている。


「ストーンアントはBランクの魔物だ」


「Bランク……」


「甲殻は硬く、武器にも防具にも使える」


ダリアは死骸を眺めながら、嬉しそうに続ける。


「解体して持っていけば、かなりの金になるぞ!」


「……金」


ラウラの目が変わった。


「なら、採ります」


ラウラは小型ナイフを取り出した。


そして――


「《素材採取》」


スキルを発動する。


光がストーンアントの身体を包み込む。


次々と素材が分離されていく。


「……!」


ラウラの目の前に、素材が現れた。


ストーンアントの牙


ストーンアントの甲殻


ストーンアントの脚


ストーンアントの目


「全部……上質です!」


ラウラは嬉しそうに素材を確認する。


そして最後に。


もう一つ。


小さな珠が現れた。


「……?」


ラウラはそれを手に取った。


《素材感知》でも、今までとは違う感覚がする。


「これは……?」


ラウラが鑑定する。


石蟻珠


その文字を見た瞬間。


「…………」


「…………」


ラウラとダリアは顔を見合わせた。


「……石蟻珠?」


「石蟻珠だと!?」


ダリアが飛び上がった。


「ラウラ! それを見せろ!」


「は、はい!」


ラウラが石蟻珠を差し出す。


ダリアは両手で受け取ると、目を見開いた。


「間違いない……」


「そんなに珍しいんですか?」


「珍しいなんてもんじゃない!」


ダリアの声が大きくなる。


「ストーンアントから極稀にしか取れない、超がつくほどのレア素材だ!」


「……!」


「加工すれば装飾品にもなるし、魔道具の素材としても使える!」


そして――


ダリアは満面の笑みを浮かべた。


「金になるぞ!」


「…………」


「金になるぞ!!」


「…………」


ラウラの顔にも笑みが浮かぶ。


「ふふ……」


「へへへ……」


二人は再び、同じ顔になった。


「金になりますね……!」


「なるぞぉ!」


その後、二人はストーンアントの素材と、集めた大量のうんこを馬車へ運び込んだ。


「いやぁ、良い旅だ!」


ダリアが満足そうに言う。


「まだブングルに着いてないのに、こんなに稼げるとは!」


「はい!」


ラウラも嬉しそうに頷く。


こうして二人は、再び馬車へ乗り込んだ。


そして――


しばらくして。


「見えてきたぞ!」


御者の声が響く。


ラウラが窓から顔を出す。


「……あれが?」


遠くに、大きな街が見える。


高い城壁。


大きな門。


そして、その奥には――


今まで見たこともないほどの大きな街並みが広がっていた。


馬車が門をくぐる。


「…………」


ラウラは思わず言葉を失った。


大通り。


たくさんの人。


武器屋。


防具屋。


道具屋。


食料品店。


魔道具店。


見たことのない店まで、ずらりと並んでいる。


「すごい……」


ラウラが呟く。


「都会だな!」


ダリアも目を輝かせる。


まるで異世界の大都市。


これまで暮らしていた町とは、規模がまるで違う。


「ここが……ブングル……」


ラウラは窓から街を眺め続けた。


そして馬車を降りる。


まず向かうのは――


ガルグに言われた鍛冶屋。


二人は大通りを歩いていく。


しばらくすると、目的の店を見つけた。


「ここかな?」


「たぶんそうだろう」


二人が店へ入る。


「はいいらっしゃ~い」


奥から、一人の女性が顔を出した。


明るい声。


そして、ラウラたちを見た女性は、


「……?」


首を傾げる。


ラウラは魔法の鞄から、ガルグに渡されたものを取り出した。


壊れたハンマー。


「これを……」


女性の目が、ハンマーに向いた。


「…………」


次の瞬間。


女性の表情が変わった。


「これをどこで!?」


「え?」


「これをどこで、誰に!?」


女性が慌てたように駆け寄ってくる。


ラウラは少し驚きながら答えた。


「チュマクの町の、ガルグさんです」


「…………ガルグ?」


女性の動きが止まった。


そして――


「そっか……」


女性は壊れたハンマーを見つめる。


懐かしそうに。


少し寂しそうに。


「そこにいたんだ……」


ラウラとダリアは顔を見合わせた。


「…………」


このハンマーはいったい何なのか。


そして――


ガルグと、この女性にはどんな関係があるのか。


ブングルの街での旅は、まだ始まったばかりだった。

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