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【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


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19話 ハイウルフという魔物を討伐してきました。

ダリアとパーティを組むことになった翌日。


 ラウラは、ダリアと一緒に町を歩いていた。


「今日はどこへ行くのだい?」


「ガルグさんのところです」


「鍛冶師かい?」


「はい」


 ラウラは歩きながら説明する。


「ダリアさんも私と一緒に行動するなら、装備があったほうがいいと思いまして」


「なるほど!」


 ダリアは腕を組む。


「確かに、あちしは戦えないからね!」


「……」


 ラウラは少し考える。


「ラウラも戦ってないですけどね」


「そうだった!」


 二人はそのまま鍛冶屋へ向かった。


   


「おう!」


 鍛冶場に入ると、聞き慣れた声が響いた。


「久しぶりだな! ラウラ!」


「お久しぶりです、ガルグさん」


 ガルグが豪快に笑う。


「最近、ずいぶん名前を聞くようになったぞ!」


「そうなんですか?」


「ああ。ホワイトバードを倒したとか、オークを倒したとか」


「……」


 ラウラは少し気まずそうに目を逸らす。


「ラウラはすごいのだよ!」


 横からダリアが胸を張った。


「この子は逃げるのがものすごく速い!」


「それは……褒めてるのか?」


「もちろん!」


 ダリアは真剣だった。


「ラウラは足が速くて、おいつけないのだ!」


「…………」


「困ったことに、置いてかれるとなにもできん!」


 なぜか自慢げに話すダリア。


「だから、あちしにも逃げるための装備が必要なのだよ!」


 ガルグは少し考えた。


「なるほどな」


「お願いします!」


 ラウラが頭を下げる。


「ダリアさん用に、逃げることに特化した装備を作ってほしいです」


「逃げることに特化……」


 ガルグは腕を組む。


「普通なら、防御力を上げるところだが……」


「ラウラについていくなら、速度が必要なのだよ!」


「そうだなぁ」


 ガルグは作業台へ向かい、紙を一枚取り出した。


 そして、何かを書き始める。


「速さを上げる装備なら、素材が必要だ」


「どんな素材ですか?」


 ガルグは書き終えると、その紙をラウラへ渡した。


「これだ」


 そこには――。


 ①ホワイトバードの羽


 ②エルドアン鉱石


 ③ハイウルフの魔石


 ④魔鉱石


 と書かれていた。


「ホワイトバードの羽……」


 ラウラは魔法のバッグを確認する。


「あります」


「エルドアン鉱石もあります」


「魔鉱石も……」


「前にとってたもんな」


 ガルグ言う


「はい」


「なら、あとは――」


「ハイウルフの魔石ですね」


 ラウラは紙を見る。


「ハイウルフ……」


 名前からして速そうだ。


「これだけ持っていないです」


「そうか」


「探してみます」


「頼んだぞ」


 ラウラは頷いた。


   


 鍛冶屋を出たあと。


「では、ダリアさん」


「なんだい?」


「これ、お願いします」


 ラウラは薬草を取り出した。


「薬草?」


「はい。ポーションを作っておいてください」


「分かったのだ!」


 ダリアは薬草を受け取った。


「ポーションなら任せたまえ!」


「では、私はハイウルフの魔石を探してきます」


「一人で?」


「はい」


 ダリアが首を傾げる。


「大丈夫なのかい?」


「……たぶん」


 ラウラは少し不安だった。


 ハイウルフは戦ったことのない魔物。


 けれど。


 ダリアの装備を作るためだ。


「行ってきます」


「気をつけるのだよ!」


「はい!」


   


 ラウラは一人でギルドへ向かった。


 依頼掲示板を見る。


「ハイウルフ……」


 探す。


 探す。


 そして――。


「あった」


 ハイウルフ討伐。


 Dランク。


「…………」


 ラウラは依頼書を見つめる。


 Dランク。


 少し前なら、ゴブリンでさえ怖かった。


 今なら――。


「……やっぱり怖いです」


 ラウラは正直だった。


 そのとき。


「ラウラ?」


 後ろから声がした。


「え?」


 振り返る。


「あ!」


 そこにいたのは、以前一緒にネットスパイダーを討伐した二人だった。


「ミアさん!」


「久しぶり」


 剣士のミア。


「こんにちは、ラウラさん」


 魔法使いのルルシア。


 二人とも元気そうだ。


「ハイウルフの依頼?」


「はい」


 ラウラは依頼書を見せる。


「ちょっと魔石が必要で……」


「ハイウルフか」


 ミアが依頼書を見る。


「私たちも一緒に行こうか?」


「え?」


「ちょうど討伐依頼を探してたんです」


 ルルシアも頷く。


「三人なら問題ないと思います」


「本当ですか!?」


「もちろん」


 ラウラは少し考えた。


「では……」


 そして条件を伝える。


「ハイウルフの魔石だけ、私がもらってもいいですか?」


「いいよ!」


「その代わり、他に採取した素材で欲しいものがあれば、お二人に差し上げます」


「それでいいの?」


「はい」


 ミアとルルシアは顔を見合わせる。


「じゃあ決まりね」


「はい!」


 こうして三人はハイウルフ討伐へ向かった。


   


 町の外。


 しばらく進む。


「……」


 ラウラは周囲を見回す。


「来るかも……」


「警戒してる?」


 ミアが聞く。


「はい」


 ラウラは石を握る。


「魔物が来たら、ラウラは石を投げます」


「石?」


「はい」


 ルルシアが少し困った顔をする。


「……ラウラさんらしいですね」


 そのとき。


「来た!」


 ミアが叫ぶ。


 森の中から――。


 巨大な狼が飛び出した。


「グルルルル……!」


「ハイウルフ!」


 ラウラの顔が青くなる。


「速そう……」


「速いよ!」


 ミアが剣を構える。


「ルルシア!」


「はい!」


 魔法使いのルルシアが杖を構えた。


「ラウラさんは無理をしないでください!」


「分かりました!」


 ラウラは後ろへ下がる。


 そして。


「えいっ!」


 石を投げた。


 ゴッ!


 ハイウルフの頭へ命中。


「グルァッ!」


「当たりました!」


「そこまで!」


 ミアが飛び出す。


 剣が閃く。


「はっ!」


 ハイウルフが避ける。


「そこです!」


 ルルシアの魔法が飛ぶ。


 ドンッ!


「グルルッ!」


 ハイウルフが怯む。


「今!」


 ミアが斬り込む。


 ラウラは――。


「えいっ!」


 また石を投げる。


「えいっ!」


 もう一個。


「えいっ!」


 さらにもう一個。


 ラウラは石を投げるだけ。


 あとはミアとルルシアが頑張る。


 やがて――。


 ハイウルフが倒れた。


「……」


 ラウラは少し離れた場所から確認する。


「終わりました?」


「うん」


 ミアが頷く。


「倒したよ」


「よかった……」


 ラウラは胸を撫で下ろした。


   


 そして。


 ラウラはハイウルフの死体を見る。


「では……」


 素材採取士として。


 ここからが本番だ。


「《素材採取》」


 スキルが発動する。


 ハイウルフの体から、素材としての情報が一気に浮かび上がる。


「……見えました」


 ラウラはナイフを取り出した。


 上質な毛皮。


 上質な爪。


 上質な牙。


 上質な目玉。


 そして――。


「ハイウルフの魔石」


 目的の素材だ。


「ありました!」


 ラウラが嬉しそうに魔石を取り出す。


 だが。


「……?」


 さらに、素材の情報が残っている。


「これは……」


 ラウラは慎重に採取する。


 そして取り出したのは――。


「ハイウルフハート……」


「え?」


 ミアが固まる。


「ハイウルフハート?」


 ルルシアも目を丸くする。


「そんな素材……」


 二人がラウラの手元を見る。


「これです」


 そこには、淡く魔力を帯びた赤い素材があった。


「…………」


「…………」


 ミアとルルシアは顔を見合わせる。


 そして。


「ラウラさん」


「はい?」


「それは……受け取れないよ」


「え?」


「ハイウルフハートなんて、貴重すぎる」


 ルルシアも冷や汗を浮かべる。


「はい……これはさすがに……」


「でも、契約では欲しい素材があれば――」


「これは欲しいとかそういう問題じゃないです!」


「そうなの?」


 ラウラは首を傾げた。


「……まあ、ラウラさんらしいけど」


 ミアが苦笑する。


「牙と毛皮だけもらえれば十分だよ」


「分かりました」


 ラウラはハイウルフの魔石とハイウルフハートを魔法のバッグへしまった。


「では、これは私がもらいますね!」


「……それが一番いいかも」


   


 町へ戻る。


 ギルドで依頼を完了させる。


「今日はありがとうございました」


「こちらこそ」


 ミアが笑う。


「また何かあったら声をかけて」


「はい!」


 ルルシアも頷く。


「また一緒に依頼しましょう」


「ぜひ!」


 こうして、二人とはまた一緒に依頼をする約束をした。


 ラウラはハイウルフの魔石を大事にしまう。


「これでダリアさんの装備が作れます」


 そして――。


「早く見せたいです」


 ラウラはダリアのもとへ向かった。


   


「ただいま戻りました」


「おかえり!」


 ダリアは机に向かっていた。


 その机の上には、たくさんの薬草。


 そして――。


「ポーション、できました!」


「ありがとうございます」


 ラウラが瓶を見る。


「ちゃんとできてますね」


「うむ!」


 しかし。


 ダリアは腕を組んで難しい顔をしていた。


「……どうしたんですか?」


「いや」


 ダリアは首を傾げる。


「ちょっと不思議なことがあってね」


「不思議?」


「あちしは普通のポーションを作ったつもりなのだよ」


「はい」


「なのに……」


 ダリアが完成したポーションを見る。


「どうしてラウラちゃんは、万能ポーションなんて作れる素材を持ってくるのだろう?」


「…………」


 ラウラは少し考える。


「素材採取士だから……?」


「それだけで説明がつくのかい!?」


「分かりません」


 ラウラ自身にも分からない。


「でも、いい素材が採れるんです」


「うーむ……」


 ダリアは悩み続ける。


 しばらくして。


「まあ、金になるからいいか!」


「そうですね!」


 二人はあっさり話を終えた。


   


「それで、ダリアさん」


「なんだい?」


「素材、集まりました」


 ラウラはハイウルフの魔石を取り出した。


「おお!」


 ダリアが目を輝かせる。


「ハイウルフの魔石!」


「はい」


「これで装備が作れるのかい?」


「はい。ガルグさんにお願いしに行きましょう」


「行こう!」


 二人は再び鍛冶屋へ向かった。


   


「おう、ラウラ!」


 ガルグが二人を見る。


「素材は集まったか?」


「はい!」


 ラウラは素材を並べる。


「ホワイトバードの羽」


「おう」


「エルドアン鉱石」


「あるな」


「魔鉱石」


「これもある」


「そして――」


 ハイウルフの魔石を置く。


「ハイウルフの魔石です」


「よし!」


 ガルグが頷く。


 その瞬間。


 ラウラが魔法のバッグから、もう一つの素材を取り出した。


「あと、これも採れました」


「ん?」


 ガルグが見る。


「…………」


 目を見開く。


「おいおい!」


「はい?」


「ハイウルフハートも取れたのかよ!」


「はい」


「なら――」


 ガルグは素材を手に取る。


「もっといい装備、作れるな!」


「本当ですか?」


「ああ!」


 ガルグの目が職人の目に変わった。


「こいつを使えば、単純に速くするだけじゃねぇ」


「…………」


「逃げるための装備として、かなり面白いものが作れる」


 ダリアが身を乗り出す。


「つまり!」


 ガルグがニヤリと笑う。


「走っても走っても疲れにくくて、さらに速い装備だ」


「最高ではないか!」


「ラウラより速くなれる?」


「それは……」


 ガルグがラウラを見る。


「どうだろうな」


 ラウラは少し嫌な予感がした。


「……ダリアさん」


「なんだい?」


「私を追い越さないでくださいね」


「なぜだい?」


「置いていかれると……」


 ラウラはダリアを見る。


「私が困ります」


「…………」


 ダリアがニヤリと笑った。


「それなら、ちょうどいい!」


「え?」


「二人とも速くなればいいのだよ!」


「…………」


 ラウラは思った。


 このパーティ。


 どうやら――。


 ものすごく走ることになりそうだった。

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