↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ハズレ職】素材採取士の私。お金のために採取していたら世界最強になりました  作者: きらっち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/53

18話 ちみとパーティーを組もうと思うと言われました。

ダリアの作った毒液。


 それは、小さなガラス瓶の中で、ゆっくりと揺れていた。


「……できたよ」


「これが……毒液ですか?」


 ラウラは瓶を少し離れたところから眺める。


 中身は普通の液体に見える。


 けれど――。


 ダリアはニヤリと笑った。


「この毒液はね」


「はい」


「触ると死ぬよ」


「…………」


 ラウラの体が固まった。


「え?」


「触ると死ぬよ」


「…………」


 もう一度言われた。


「ええええええ!?」


 ラウラは一歩後ろへ下がる。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「なんだい?」


「そんなものを作ったんですか!?」


「毒液だからね!」


「毒液だからって!」


 ラウラは震えながら瓶を見る。


 今まで作っていた毒石とは、明らかに危険度が違う。


「これ……投げるんですか?」


「そうだよ!」


「そのまま?」


「そのまま投げたら、投げるときに自分にかかるだろう?」


「…………」


 ラウラの顔が青くなる。


「だからね」


 ダリアは人差し指を立てる。


「投げるまえに、ちょいと垂らして」


「はい……」


「投げる!」


「…………」


「これで完璧なのだよ!」


「怖すぎます……」


 ラウラは瓶から目を離せない。


 ちょっとでも手元が狂ったら――。


「ラウラちゃん」


「はい……」


「実験しに行こうではないか!」


「え?」


「実際に魔物へ使ってみないと、どのくらい効くか分からないからね!」


「…………」


 ラウラは沈黙した。


 そして。


「……行きたくないです」


「なぜだい!?」


「死ぬかもしれないので……」


「大丈夫!」


「その自信はどこから……」


 結局。


 ダリアに押し切られる形で、ラウラは町の外へ向かうことになった。


   


「ここから少し歩けば、魔物が出るはずだよ」


「そうなんですか……」


 ラウラは周囲を警戒しながら歩く。


 ダリアは楽しそうだ。


 ラウラは怖い。


 この差はいったい何なのだろう。


「…………」


 しばらく歩いていると――。


 森の向こうから。


 大きな影が現れた。


「……?」


 ラウラが立ち止まる。


 大きい。


 緑色の肌。


 太い腕。


 巨大な棍棒。


「あれは……」


 ラウラの顔が引きつった。


「オークだね!」


 ダリアが叫ぶ。


「いた! いた! あそこに居るではないか!」


「ちょ、ちょっと!」


 ラウラは慌ててダリアの口を押さえようとする。


「静かにしてください!」


「むぐっ!?」


「気づかれます!」


 だが――。


 遅かった。


 オークがこちらを振り向いた。


「…………」


 目が合った。


「…………」


 オークが唸る。


「…………」


 ラウラが固まる。


「……ラウラちゃん」


「はい」


「気づかれたね」


「はい」


「逃げようか」


「そうですね!」


 オークが吠えた。


「グオオオオオオオッ!!」


「ぎゃああああああ!!」


 オークが走ってくる。


 地面が揺れる。


「ダリアさん!」


「大丈夫!」


 ダリアが毒液の瓶を取り出した。


「さぁ、ここで毒液をつけて投げてみようではないか!」


「今ですか!?」


「今だよ!」


「怖いです!」


「ほら!」


 ラウラは走りながら瓶を受け取った。


 手が震える。


「えっと……」


 瓶を少し傾ける。


「ちょい……」


 ほんの少しだけ。


 毒液を石へ垂らす。


「これで……!」


 ラウラは振り返った。


 オークが迫ってくる。


「投げます!」


 全力で腕を振った。


「えいっ!!」


 ビュンッ!


 石が飛ぶ。


 そして――。


 ゴッ!!


 オークの体へ命中した。


「当たった!」


 ラウラは一瞬だけ喜んだ。


 だが。


 オークは――。


「グオオオオオオッ!!」


「…………」


 止まらない。


「止まらない!?」


 オークはそのまま走ってくる。


「ダリアさん!」


「まだ効いてないのだよ!」


「そんなぁ!」


「走るんだ!」


「はい!」


 二人は同時に走り出した。


「ぎぇぇぇぇぇ!!」


「ぎぇぇぇぇぇ!!」


 ラウラとダリアは全力で逃げた。


 オークが追ってくる。


 ラウラは必死に走る。


 ダリアも必死に走る。


 数分。


 数分間、ただひたすら走った。


「はぁ……!」


「はぁ……!」


「まだ……来てますか!?」


 ラウラが振り返る。


「…………?」


 いない。


「……あれ?」


 少し先を見る。


 オークが――。


「倒れてる……?」


 地面に倒れていた。


 ピクリとも動かない。


「……やった?」


 ラウラは恐る恐る近づく。


 だが、まだ怖い。


 少し離れたところから様子を見る。


 するとダリアが息を切らしながら言った。


「はぁ……はぁ……」


「ダリアさん、大丈夫ですか?」


「うむ……」


 ダリアはオークを見る。


「麻痺が効き出したのだよ……」


「麻痺……」


「そして動けない間……」


 ダリアはニヤリと笑った。


「毒が、まわるはず……」


「…………」


 ラウラはオークを見る。


 そして。


 さっきまで自分が投げた石を見る。


「…………」


 ラウラの頭の中に、ある考えが浮かんだ。


「これって、もしかして……」


 少しずつ顔が青くなる。


「超危険取扱物質なのでは……?」


「そうとも言うね!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ラウラは頭を抱えた。


「なんてものを作ってしまったんですかぁぁぁぁぁ!!」


「いいじゃないか!」


「よくないです!」


「魔物に効いたよ!」


「そういう問題じゃないです!」


 ラウラは本気で後悔した。


 もっと安全な毒を想像していた。


 ちょっと動きを遅くするくらい。


 せいぜい苦しくなるくらい。


 なのに。


「触ると死ぬ……」


 改めて考える。


「…………」


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 ラウラは再び後悔の叫び声を上げた。


   


 しばらくして。


 オークは完全に息絶えた。


「……もう大丈夫ですね」


「うん」


 ラウラは慎重に近づく。


 そして――。


「《素材採取》」


 スキルを発動する。


 オークの体が、ラウラの感覚の中で素材として認識されていく。


「……なるほど」


 今回は、特別に珍しいものはない。


 それでも。


「上級品質があります」


 ラウラは慎重に素材を採取していく。


 上級品質の皮。


 上級品質の肉。


 上級品質の牙。


 上級品質の爪。


 魔石も採取できた。


「これなら、ちゃんとお金になりますね」


 ラウラは少しだけ笑った。


 怖かった。


 ものすごく怖かった。


 でも――。


 素材は手に入った。


 つまり。


 お金になる。


「……よかった」


 ラウラは素材を魔法のバッグへしまった。


   


 町へ戻る途中。


 ダリアが突然立ち止まった。


「ラウラちゃん!」


「はい?」


 ダリアは真剣な顔でラウラを見る。


「あちし!ダリアは、ちみとパーティを組もうと思う!」


「…………」


 ラウラは数秒考えた。


「えーー……」


 嫌そうな声が出た。


「なぜだい!?」


「だって……」


 ラウラはダリアを見る。


 この人と一緒にいると。


 危険なものを作らされそうな気がする。


「危ないことばかりしそうです……」


「いいかね?! ちみ!」


 ダリアは勢いよくラウラの肩を掴む。


「素材を加工して売れば!」


「…………」


「また金儲け!」


「…………」


「なのだよ!」


「…………」


 ラウラは黙った。


 そして。


 頭の中で考える。


 素材。


 加工。


 販売。


 そして――。


 お金。


「…………」


 ラウラの目が少しだけ輝いた。


「……お金になりますよね?」


「もちろんだとも!」


「たくさん?」


「たくさん!」


「……分かりました」


 ラウラは頷いた。


「ダリアさんと、パーティを組みます」


「やったぁ!」


 ダリアが両手を上げて喜ぶ。


 こうして。


 素材採取士ラウラと、錬金術師ダリア。


 二人のパーティが結成された。


 ただし。


 このパーティの第一目標は――。


 世界を救うことでも。


 強大な魔王を倒すことでもない。


「いっぱい素材を集めて!」


「はい!」


「加工して!」


「はい!」


「売って!」


「はい!」


「金持ちになるのだよ!」


「はい!」


 ――お金だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。