17話 金儲けの道が始まりだしました。
翌日。
ラウラは、ダリアから依頼された毒草と麻痺草を探すため、街の外へ出ていた。
「えーっと……」
周囲を見回す。
《素材感知》を使う。
すると。
「ありました!」
草むらの中に、紫色がかった葉を持つ草が見える。
「毒草です!」
ラウラはしゃがみ込み、一本ずつ丁寧に採取していく。
「これだけあれば、ダリアさんも喜びそうですね」
さらに少し進む。
「……あ」
今度は、葉の縁が青白く光っている草を見つけた。
「麻痺草!」
これも採取する。
毒草。
麻痺草。
そして、普通の薬草。
ラウラは次々と採取していった。
「ふふ……」
採取した素材を眺める。
「これが全部お金になるんですよね……」
自然と顔が緩む。
「採取って素晴らしいです」
ラウラがそう呟きながら歩いていると。
「……ん?」
道の端に、何かが落ちている。
「なんでしょう?」
近づいてみる。
それは、小さなネックレスだった。
「ネックレス……?」
ラウラは拾い上げる。
綺麗な装飾が施されている。
「落とし物ですかね?」
周囲を見回す。
誰もいない。
「……どうしましょう」
少し考える。
「とりあえず、持って帰りましょう」
ラウラは魔法袋へ入れた。
「持ち主が見つかるかもしれませんし」
そして再び歩き始める。
しばらくして。
「……」
ラウラは立ち止まった。
前方から。
「グルル……」
低い声。
「…………」
ラウラの顔が引きつる。
「ゴブリン……」
少し離れた場所に、ゴブリンが一匹いる。
棍棒を持っている。
「……」
ラウラは周囲を見る。
武器はない。
逃げようとした、その時。
「……あ」
足元に石が落ちている。
ラウラは拾う。
「これで……」
ゴブリンを見る。
そして。
「えいっ!」
石を投げた。
ヒュッ!
ゴンッ!
「ギャッ!?」
石がゴブリンの頭に直撃した。
ゴブリンはその場で倒れる。
「…………」
ラウラは呆然とする。
「……え?」
少し待つ。
ゴブリンは動かない。
「倒しちゃった……?」
恐る恐る近づく。
「……本当に倒れてます」
ラウラは自分の手を見る。
「石って……強いんですね」
本人は知らない。
《投てき術》Lv2。
そして、これまで逃げ続けてきたことで鍛えられた身体能力。
ただの石でも。
今のラウラが投げれば、普通の石では終わらない。
「……まぁ、いいか」
ラウラは採取した素材を確認する。
「早くダリアさんのところへ戻りましょう」
ダリアの小屋。
「おお!」
戻ってきたラウラを見るなり、ダリアが立ち上がった。
「帰ってきたね!」
「はい」
ラウラは採取してきた毒草と麻痺草を見せる。
「こんなに取ってきました」
「おおおお!」
ダリアの目が輝く。
「素晴らしいのだ!」
毒草を受け取る。
「これだけあれば……」
ダリアは道具を取り出す。
「毒液を作れる!」
「毒液?」
「そう!」
ダリアは毒草を加工し始める。
すり潰す。
混ぜる。
煮詰める。
そして。
「できた!」
小さな瓶の中に、紫色の液体が完成した。
「これが毒液なのだ!」
「すごい……」
「これを使えば、普通の武器でも強力な毒を与えられる!」
「なるほど」
ラウラは感心する。
「ダリアさんって、すごいんですね」
「ふふん!」
ダリアは胸を張る。
「あちしは錬金術師だからね!」
「錬金術師……」
ラウラは瓶を見る。
「だから、この毒草から薬を作ったりもできるんですか?」
「もちろん!」
ダリアは頷く。
「毒だって、使い方次第では薬になるのだよ!」
「……」
ラウラの目が輝く。
「それって……」
「うん?」
「お金になります?」
「…………」
ダリアが止まった。
そして。
「なる」
「!」
「めちゃくちゃなる」
「…………」
ラウラとダリア。
二人の目が合う。
「毒草をいっぱい採って」
「毒を作って」
「それを売れば……」
「「お金になる!」」
二人は同時に叫んだ。
こうして。
素材を集める少女と。
素材を加工する錬金術師。
二人の金儲けへの道が。
少しずつ始まっていくのだった。




