↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/184

03-11-0091




 Side:アッシュ



 ガラガラガラガラガラ………


 台車に乗せて運ばれてきたが、一つは随分と太い剣だ。

 これが初代剣王が使っていたという<不壊の剣>か。


 何で出来ているのかは知らないが、剣身が太くて短い。

 というかロングソードの3分の2ぐらいか?

 その長さぐらいだが、剣身が太いのでずんぐりした剣に見える。


 「その剣は初代剣王が使っておったという<不壊の剣>だ。

 初代剣王は切れ味ではなくどれだけ使っても壊れぬ相棒を欲し、その剣を名鍛冶師に打たせたと伝わっておる。

 今もって壊れぬのは、光銀と闇鉄を混ぜた複合金属であるが故と伝わっておるが、名鍛冶師の死と共にレシピは失われてしまった」


 つまり再現不能の剣か。それなら王城の宝物庫に入っているのもよく分かる。

 2度と生み出せないとなれば、とんでもない値段が付く剣だ。正直に言って使いたくない。

 私に合った剣なのだが、もし壊れたらと思うとシャレにならないのでな。


 「まずは持ってみるがよい、アッシュよ」


 「ハッ!」


 私は王様に返事を返すと、台車の所まで行く。

 近衛騎士が居るが、私は気にせずに剣を手に取ると違和感に気づく。

 剣は皮の鞘に納まっているのだが、相当の重さをしているぞ?


 この剣の長さとしては、あり得ないと思える程に重い。

 かといって皮の鞘の方に何かある訳でもないし。

 となると……


 私は近衛騎士から離れると剣を抜いてみる。が、その重さはやはりどこか変だ。

 どこがと聞かれても分からないが、本当に光銀と闇鉄だけで作られた物なのだろうか?

 もう1つか2つ別の金属も混ぜてないか、これ?


 「ほう。アッシュよ、気づいたようだな。それは光銀と闇鉄にしては重すぎるのだ。

 城の研究者も他に1つか2つ、別の金属が混ぜられていると見ておる。そしてそれが不明なままだ。

 少なくとも文献には光銀と闇鉄は出て来る、しかしそれ以外が出て来ぬ」


 それで再現できない一品となっているのか。おかしいと思った。

 それはともかくとして、剣を持って振り回すが問題なく振れるな。

 特におかしなところはなく、闘技場の剣より重いが同じ感覚で使える。

 それよりも頑丈なくらいか。


 「ふむ。違法闘技場で巨大な剣を使っておったと聞く。

 おそらくは大丈夫であろうと思ったが、体がブレる事もなくしっかりと振れておる。流石であるな。

 ではもう1つの方も持ってみよ。

 しかし暴走したら、すまぬが近衛騎士に止めさせる。よいな?」


 「はい」


 私はそう言ってから剣を台車に返すと、次の台車がやってきた。

 長さは80センチほどで、先程の剣よりも10センチぐらい長い。

 先程の剣は本当に短めだったからな。

 しかしあの重さで長いと、おそらくまともに振れなかったのだろう。初代剣王は。


 私は離れている近衛騎士に目もくれず、<邪獄樹の棍棒>を手に取る。

 全てが濃い灰色をした棍棒で、先は丸みを帯びた形となっている。

 いうなれば瘤(こぶ)のような形だ。

 そうなっているだけの棍棒ではあるが、あの奇妙な色の<混沌の種>とは違うな?


 私は近くの近衛騎士が構えるのも気にせず棍棒を手に取り、まずは重さを確認してみる。

 とはいえ持ってみてすぐに分かったが、明らかに重い。

 同じ形の鉄で作った棍棒より重いだろう。そう思えるほどの凶器、とうか鈍器だ。


 ブォン!! ブォン!!


 私の素の筋力で振るっても、そこまで鋭い音にならない程度には重い。

 これでも重さを加えて殴るなら十分なのだが………


 ボッ!! ボッ!! ボッ!!


 【身体強化】をしながら振ると、やはりかなりの速度で振る事が出来た。

 となると節約の【身体強化】でもかなりの威力が出るだろう。


 そもそもこれだけの重量の武器だ、威力は抜群だと言ってもいい。

 鉄とは桁が違うだろうしな。


 それにしてもポールアックスをすぐに手放す事になるとは思わなかった。


 「………どうやら無事なようであるな?」


 「も、申し訳ございません。

 武器として使えるかどうかが気がかりで、無事な事をお伝えするのを忘れておりました」


 「無事というか、そなたは全く暴走するような風には見えぬ。

 つまり……古の蛮族将軍以上である事は確実だな。

 古の蛮族将軍は濃い灰色の髪をしていたと古文書にあった。

 そなたが何の問題も無いのは浄化の女神の加護もあるからか、それとも……」


 私が邪神の生まれ変わりとかいうヤツか?

 流石に神様の生まれ変わりというのは無いと思うのだがな……


 「そなたは違うと思うのかもしれぬが、古い時代に邪神が砕かれた後、濃い灰色の髪を持って産まれて来た者は誰もおらぬのだ。

 現代において濃い灰色の髪を持っておるのかもしれぬのは、そなたをおいて他に無し」


 「私は濃い灰色ではありませぬが、それは浄化の女神の加護を受けているからでしょうか?」


 「分からぬ。が、我はそなたの髪を見てそう思った。

 そもそも青白い髪の者もなかなかに珍しい。

 この王領には神殿長と、浄化の女神に奉仕する女官の2名しかおらぬ。

 貴族の領地にはおらぬ所も多いくらいだ」


 「そうだったのですか………」


 「申し訳ありません。少々よろしいでしょうか」


 「メリアストル………やはり納得はいかぬか?」


 「もしかしたら<邪獄樹の棍棒>の力が弱まっておるのかもしれませぬ。

 それゆえに今一度、確かめさせていただきたく」


 「そなたの祖先が扱いし物だ、自らで持ちたいというのは分からなくもない。

 しかし………そなたとて蛮族将軍と言われたゴルヴァリオ将軍の遺言は知っておろう?

 「扱える者が現れたら、その棍棒はくれてやってくれ」。それが将軍の遺言だ」


 「存じております。存じておるからこそでございます!」


 そこまでして手元に置きたいのなら、別に私は貰えなくても構わないのだが……。

 そもそも自分の武器があるし、無理に下賜して貰わなくともいいのだがなぁ。

 そう思いつつも台車に棍棒を戻し、私は離れた。


 近衛隊長は籠手を外し、自らの手で持とうとするも止まる。

 他の近衛騎士も緊張しているので、この近衛隊長が暴れると相当にマズいらしい。

 まあ、身長が2メートル50センチほどもあり、筋骨隆々の女丈夫となればな。

 しかも暴走したら殴り殺されかねんのだ。緊張もするか。


 「参ります!」


 そう言って棍棒を掴んだが……


 「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 その瞬間暴れ出した。


 その際に兜の隙間からチラリと見えたが、近衛隊長の髪の色は茶色だった。

 つまり土の神の加護らしい。

 となると邪神の加護か浄化の女神の加護が無いと暴走するんだろう。


 「ぐぁっ!!」


 「くっ、一旦離れろ!」


 その声に合わせて近衛騎士が離れた瞬間、私は【身体強化】をしてステップし前に出る。

 当然その私に対して棍棒を振り下ろして来るが、私は【身体強化】でレッドオーガになると共に棍棒を両手で受け止める。


 ガシィッ!!


 そして力を入れて引きはがそうとするも、暴れてそれどころではない。

 仕方なく棍棒を持つ手を引っ張りそのまま転倒させると、床に押し倒したまま右腕を羽交い絞めにするような形にする。


 「すまないが棍棒を持つ手を何とかしてくれ。

 物凄く暴れるので、そこまでの余裕が無い」


 「わ、分かった! すまんがそのまま頼む!!」


 その後、近衛騎士が必死に右手を殴ったり蹴ったりする事で離させる事が出来た。

 それにしても凄い怪力と暴れっぷりだったな。

 あの近衛騎士達の緊張もよく分かる。


 私は手から離れた棍棒を拾い、すぐに距離を空ける。

 すると、近衛隊長は気づいたようだ。


 「………私は、暴走したのか?」


 「残念ながらな。

 <邪獄樹の棍棒>は血筋で扱えるような物ではないという事であろう」


 「そう、ですか。

 ………あっ! 陛下、近衛騎士団長。申し訳ございませぬ!!」


 そう言ってサイクロプスの近衛隊長は土下座のような形で謝罪した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。