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 Side:マーヤ



 「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」」」」


 準備の整ったわたし達は、咆哮を上げながら突入していく兵士達の後ろをついていく。

 そして奥に居たピンクヴォークソンをわたしが牽制。

 そこから戦いが始まった。


 わたしが気を付けなければいけないのは投石。

 アレだけは当たるとマズい。


 なので回避しなければいけないんだけど、兵士達の咆哮と怒号に随分と意識が向いたみたい。

 やっぱり兵士は違うわね、こういう訓練もしっかりしてるんだから流石よ。

 こういう大きな声は伝令的な意味もあるし、同時に別動隊の為の引き付けにも使われる。


 大きな声を出す事によって相手の目を自分達に向け、その間に別動隊が敵の背後を突くとかね。

 そういった作戦の為にも引き付け役には必要な訓練なのよ。

 そういった事もしっかりと訓練されているみたいだし、バカが居た割には練度は高いみたい。

 流石は辺境伯家の軍だと思うわ。


 そしてそんなバカどもは女性陣に剣や槍を向けられながら来た。

 こいつらはピンクヴォークソンに暴走させられて死ぬ。

 そういう処刑法に決まったからよ。


 ついでに暴走していれば意識なんて無いもの。

 気づいたら死んでいるという事になるでしょうし、せめてもの慈悲ってところかしら。


 既に縄は解かれてるけど、武器を持っていないので女性達に抵抗する事も出来ない。

 なによりわたしも上から監視しているしね。この状況でどうにかするなんて不可能よ。


 そう思ってたんだけど、こういう時に限ってしっかりと連携するのよねえ。


 「ふざけるな! 死んでたまるものか!! やれぃ!!」


 「「「「「おぉっ!!!」」」」」


 腐っても騎士や兵士と言うべきか、女性達の武器を素手で奪おうとしたけど、流石に予想されてるんじゃねえ……

 当然武器を一斉に引かれるに決まってる。


 素手で槍を奪おうとしたり、襲って来た兵士達を叩きのめす女性達。

 2対1の状況を作り出して戦い、足を攻撃して切り裂き突き刺す。


 「「「「「「ぐあぁぁっ!?!?!」」」」」」


 「バカかい? あんた達がそういう行動に出るのは予想済みだっての。

 あたし達が何の対策も無く、無様にやられるとでも思ってんのかい。バカバカしい」


 「貴方達のようなのって、分かりやすい行動しかしないのよねえ。

 だから予想がつきやすいし簡単に対処できる。

 訓練はしっかりとやってきたのかもしれないけれど、おつむの方が良くなかったみたいね」


 「そもそも頭が良いなら、辺境伯家の方に楯突いたりしないだろ。

 やってる時点でバカ丸出しさ」


 「なんだと、貴様!!

 私の血筋こそが真なる辺境伯家の血筋なのだぞ!! 無礼者めが!!!」


 「ははーん。となると、さっき言ってた当主との間には生まれなかった、跡取りになれなかった側の子孫か。

 下らないねえ、継げなかった時点でその程度の血筋でしかないっての。

 所詮は敗者の血筋だ。国からも認められてないって事は、そういう事だろうに。

 自分に都合の良い事だけ言うんじゃないよ」


 「貴っ様ぁ!! 絶対にゆるっ!?」


 愚か者が急におかしくなったけど、言い合いをしていた間にピンクヴォークソンが近づいて来てたのよ。

 足をやられた奴らは気づいてなかったみたいだけど、あそこまで近づいたら手遅れよ。

 既に匂いの範囲に入っているし、後は暴走して狂うだけ。


 「ぐっ、こん………たしは、しぬわ………ぐぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


 「「「「「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」


 愚か者どもが暴走を始めたからか、女性達も険しい顔で見ているわね。

 足を攻撃して怪我をさせているとはいえ、暴走したら怪我なんて関係なく動き回る可能性が高い。


 そしてその予想は当たっていたわ。

 いきなり立ち上がったと思ったら暴れ始めた。


 「ぐぅぅぅぉぉぉぉぉぉっ!!!」


 「「「「「うおぉぉぉあぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」


 なんだけど………こいつら同士討ちを始めたわね?

 急に殴り合いを始めるなん、ゲッ!?


 あの愚か者、服を全部脱いだと思ったら何やってんのよ!

 そんな小さいもの見せるな!!


 「ぬぉぉぉぉぉぉっ!!!!」


 いやいや、ピンクヴォークソンの匂いで興奮して暴走してるんでしょ? なんで自分で慰めてんのよ!!

 ピンクヴォークソンがその小さいのを見て、両手を左右に上げたじゃない。

 しかも「はー、やれやれ」って、妙に生き物くさいモンスターねえ。


 あの自分で慰めてるヤツはスルーされる有様よ。

 どんな種族の精でも受精し、ヴォークソンを産むと言われるピンクヴォークソン。

 それの相手すらされないって………男として価値は無いって事よね?


 なんというか、意識が無くて良かったんじゃないかしら。

 冗談でもなく本気で。


 わたし達は同士討ちをしているバカどもを無視してピンクヴォークソンを牽制する。

 他の男に対して向かおうとしていたので、私達が牽制して行かせないようにしなければいけない。

 もし兵士達の所に行かれたら、相当の被害が出かねないわ。


 特に最悪なのがアッシュの所に行かれる事よ。

 それだけは絶対に阻止しないと。


 そのアッシュは最後尾でヴォークソンを狩ってるみたい。

 金棒の一撃で殴り殺せてはいないけど、あれ素の筋力でやってるんだからメチャクチャよ。

 一撃で戦闘不能じゃないの。


 死んではいないけど、頭への威力が高過ぎて昏倒してるわ。

 あそこまでの威力なら十分でしょうに。

 それでもカチ割れない事が納得いかないのかしら?


 でもね、それはアッシュの一撃でも潰れないヴォークソンの頭蓋骨を褒めるべきだと思うのよ。

 わたしは。


 っと、余計な余所見をしている場合じゃないわ。

 ここはしっかりと牽制してピンクヴォークソンを向かわせないようにしないと。

 そう思っていると、突然ピンクヴォークソンが大きな声を挙げた。


 「アーーーーーーーアァァァァァアァァァァァッ!!!!」


 何がしたいのかよく分からないわね?

 何かしらの意味があるとは思うのだけれど………


 そう思っていたら、巣の外からヴォークソンが現れた。

 どうやら狩りに行っていた連中を呼び戻す声だったらしい。

 ピンクヴォークソンが笑っている。


 「グフフフフフフ………!!」


 「豚面で「グフグフ」笑われると、なんだか悪役みたいね。

 まあ、豚が元になったモンスターだと言われているから、別に変な訳じゃないけども。

 とはいえ豚はもうちょっと愛嬌があるわ、おっと」


 わたしの言葉が理解できていたのかは分からないけど、いきなり石を投げて来たのでかわす。

 ある程度の距離があれば、十分に回避する隙はあるのよ。

 そんなのに当たる訳ないでしょうが。


 わたしは適当に【魔弾】を放つと、ピンクヴォークソンはそれを回避した。

 別にアレは回避されても問題ない。

 なぜなら牽制であり、空を飛んでいる私を意識させるものでしかないもの。


 簡単に兵士達の下に行けると思われても困るのよね。

 強引に囲みを突破されかねないから。


 その私が厄介だと思ったのだろう。

 自分を慰めているバカの所に近づき、徐(おもむろ)に腕を上げて匂いを嗅がせ始めた。

 つまり更なる暴走を促(うなが)す気らしい。

 気持ちは分かるんだけど、そいつを更に暴走させても………


 「ぬうぅぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


 擦(こす)っていた右手が更に早くなったけど………他に何も無いわね?

 徹頭徹尾、あの愚か者は頭がおかしいらしい。


 暴走してもコレって、いったいどうなってるのかしら?

 これはこれで異常よねえ?

 普通は同士討ちとか、暴走して女性を犯そうとするはず。

 なんで自分で慰めてるのかしら?


 「グォォォォォォォォ…………ガァッ!!!」


 ドゴッ!!


 愚か者が役に立たないと知り、怒り狂ったピンクヴォークソンは愚か者を殴りつけた。

 愚か者は派手に吹っ飛んだけど………


 「ぬぅぅぅぅおぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 地面に倒れた愚か者は更に気合を入れて擦ってる。

 思わず遠い目になるのも仕方ないと思うのよ。

 なにこの状況?


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