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02-07-0025




 Side:アッシュ



 解体所で山狼17頭を売ってお金を受け取り、荷車を返した私達は村唯一の酒場へ。

 支部長は協会に戻ったので、私達だけで昼食を食べる事になった。

 別れる前に頭を下げて礼をすると、支部長は驚いた後に少し頷くと去って行った。


 あの支部長の態度で、アレがワザとだったと確定した。

 上に立つというのも大変だなと思ったが、それぞれの方でおそらくやり方は違うのだろう。

 あの支部長のやり方は良いとも悪いとも思わない。

 一歩間違えれば、支部長の席にある者の信用が無くなりかねないからだ。


 それはともかくとして、昼間から酒を飲みながら食事をしていく。

 私は酒という物を飲んだ事が無かったのだが、試しに飲んでみたものの美味しいとは思えなかった。

 味が付いているだけ水よりもマシだと思ったくらいか。


 「飲んでおるか、アッシュ!

 酒は良い物だぞ、もっと嬉しそうに飲め!

 ガハハハハハハハハハ………!」


 「またガーンドのヤツは上機嫌になって絡んでるのか。

 あいつはアレさえなきゃ良いヤツなんだが……」


 「すまないな、アッシュ。ガーンドは酒を飲むと、いつもああなんだ。

 寝るまでなんで我慢してやってくれ」


 「寝るまで?」


 酒場に来る前に自己紹介を受けたが、鉄級チームはリーダーの山髭族がガーンド。

 茶色の髪をしているから土の神の加護だ。

 そしてサブリーダーが緑の髪のリザードマンでウィス。

 他のメンバーは黒い髪の闇妖精族でエンシュ。

 黄色の髪の犬人族がロットで、青い髪の人間族がバナン。


 黄色い髪の神様って何だろうと思ったら、珍しい雷の神らしい。

 【雷魔法】が使えるそうだが、犬人族なので魔力が少なく大したものは使えないとのこと。


 女性陣のリーダーは金と白が混じった光妖精族のシェリア。

 青い髪のリザードマンがスーニア。

 緑の髪の妖人族がデュー。

 そして赤い髪の人間族がベリ。

 ちなみに妖人族というのは、妖精族と人間のハーフらしい。


 生憎(あいにく)と妖精族の事を知らなかったので聞いてみたのだが、体長が30センチくらいの小さな小人のような姿をしているとのこと。

 大きくなれるらしいが、大きくなる事は滅多に無いそうだ。


 何故か種族的に、同種族と人間とだけ子が為せるらしい。

 なので人間とのハーフである、妖人族という種族が居るんだそうな。


 ちなみに寿命が1000年ほどと、この世で一番寿命が長いのが妖精族なのだと聞いて驚いた。

 妖人族はその半分で500年ほど生きるのだから、長いと言わざるを得ない。

 500年でも十分に過ぎるからだ。


 「本当にねえ。

 あたしみたいな人間からすれば、300年だとか500年だとか、あり得ないとすら思えるよ。

 そう思わないかい?」


 「そ、そうですね。

 自分も人間なので、そんな長生きできるのは凄いと思います」


 バナンはベリ殿に喰われたからか、話していても緊張するらしい。

 そして………ベリ殿からは酒の匂いと共に、欲情した女の臭いもしている。

 どうやら絡みながらも狙っているらしい。

 私は適当に話を聞きつつ、早く連れて行ってくれないかと考えていた。


 そもそもバナンは断らないだろう。

 年齢は18だと言っていたし、まだまだ若い。

 ベリ殿は28だから10歳も歳が離れているが、まだまだ若いし既にしているのだから、両者はもう男と女の関係だ。

 だったら私を通して話をしないで、とっとと宿にでも行ってもらいたい。


 そんな事を思っていると、ベリ殿の左手が動いているのが見えた。

 何やらテーブルの下でバナンに合図を送っているらしい。

 何でもいいから早く行ってくれと思っていると、2人は目線を合わせた後で立ち上がり、そして酒場の2階へと上がって行った。

 どうやら酒場の2階にもそういう部屋があるようだ。


 「いやー、やっとベリが行ったみたいね。アッシュもご苦労様。

 遠くから見てたけど、ダシに使われてたのを見て呆れてたのよ。

 アッシュも分かってたみたいだしねえ」


 「まあ、そうですね」


 「くそー……バナンのヤツ、今頃ベリさんとイイ事してるのかよ。

 羨ましいヤツめー」


 リザードマンのウィスが酒を飲みながら口にすると、その後ろから同じリザードマンのスーニア殿が現れて耳元で少し耳打ち。

 その後、2人はいそいそと2階に上がって行った。

 どうやら2人ものようだ。


 その後は光妖精族のシェリア殿が、闇妖精族のエンシュを連れて行ったが………

 光妖精族と闇妖精族は仲が悪いんじゃなかったのか?


 「シェリアが行った方を見てるけど、狙ってた?」


 「いえ、そうではなくてですね。

 光妖精族と闇妖精族って仲が悪かった筈ですが、そうじゃないんだなと……」


 「ああ、それ? なんでも都会の光妖精族と闇妖精族は仲が悪いらしいね。

 田舎なんて皆で協力しなきゃ生きていけないんだし、仲違いしてる余裕なんて無いんだ。

 だから都会に限った話なんだってさ。

 たまに田舎にも居るけど、その殆(ほとん)どは都会からの移住組だって聞いたわ」


 「へー……そうなんですね」


 「あ、あのー……」


 残っていたデュー殿に対しロットが話しかけると、2人は酒場の2階へと上がって行った。

 お盛んな事だが、残されたリーダーは酔い潰れているしで何とも言えないな。

 私は残った食事を食べて酒を飲み干し、酒場の人にガーンドをどうすればいいか聞く。


 「ああ、放っておいていいよ。こいつはいつも酒を飲んでは寝ちまうからね。

 どうせ夕方からの営業までには起きるよ。いつもの事さ」


 何ともな答えが聞けたので、私はガーンドを放置して協会へと行く。

 山狼17頭の木札は私が持っているのだ。

 なので貢献度を加算してもらわないといけない。

 それを忘れて放置する訳にもいかないしな。


 再びハンター協会の入り口を開けようとすると、中から大きな声が聞こえた。

 誰かが言い争をしているのかと思ったが、私は構わず開ける。

 気にしても無駄だと思ったからだ。


 「なんでオレ達がペナルティを受けなきゃなんないんだ!!」


 「貴方達は不必要に他のハンターに対し武器を向けたからです。

 殴る蹴るの喧嘩であれば許されたのですけどね。

 武器を突きつけるのは明確に相手を殺すという行為に該当するのですよ。

 ハンター協会はハンター同士の殺し合いは許可していません。

 違反金を支払うかハンターを辞めるか、どちらかを選びなさい」


 「そ、そんな事を言われても、暮らしていくだけで精一杯で……」


 「それは貴方達の腕が未熟だからというだけです。

 先輩方に教わろうともせず、自分達だけで何でも出来ると思うからそうなるのですよ。

 何も分からないのに自分達だけで上手くなる訳がないでしょう。

 当たり前の事です」


 「だったら教えてくれりゃあいいじゃねえか!!」


 「貴方達は誰かに教えてくださいと頭を下げましたか?

 その程度の事もしないで教えろとは……そんな事をしているから見捨てられるのですよ。

 それと、貴女達は関わりありませんが、どうしますか?」


 「私達はハンターを続けたいです。

 村に戻ってもどこかに嫁がされるだけですし、戻りたくありません」


 「なら、誰かでもいいですから、誰かに教えを乞いなさい。

 ………で、先程から立っているだけですが、何かありましたか?」


 支部長が私の方を見て言うので、私は木札を支部長に向けて見せた。


 「山狼17頭の木札を持って来ただけです。

 貢献度として加えて頂きたいので」


 「ああ、そういえばまだでしたね」


 「一応言っておきますが、自分は新人なんでお断りします。

 あの女性方に教えて頂くのが一番だと思いますよ。

 今は無理ですが……」


 「今は無理?」


 「鉄級のハンター達と酒場の2階に上がっていきましたので」


 「………彼女達ならそんなものでしょう。

 私の前任の時代から若い子を食べていたそうですので」


 どうやら元々そういう女性達だったらしい。

 とにかく話は終わったようなので、貢献度を加算してもらおう。

 彼らがどうなろうと、どうでもいいし。


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