05-21-0207
Side:ラフィル
流石にジャネス殿の元メンバーが、実力詐称となっていた可能性については問題なのだと思います。
とはいえ本当に実力が無ければ今以上には上がれないでしょうし、別にいいのではないかとも思えますね。
そもそも地方で大した実力もなく鉄級になった者と同じ、という訳ですし。
全く居ない訳ではないのですから、彼女達だけの問題ではないと思います。
「容赦なく抉ったわねー、ラフィルも。
まあ、間違ってるとは思えないけど」
「別に抉ったわけではありませんよ。
そもそもそうやって上げているハンター協会の制度にも問題があるという事ですからね。
彼女達だけの責任ではないという事です。
最初からハンター協会が鉄6級に認定しなければ良かったのですから」
「まあ、それはそうだけど………それもまた抉ってる気はするけどね。
それはともかくとして、あんた達は他の皆を見て学びなさい。
位置取りや周囲の確認の仕方。あるいは一人での戦い方とかね」
「自分の実力が無ければ、連携以前の問題ですしね。
連携さえ深めれば大丈夫かといえば、そんな事はありません。
その程度で強くなれるなら、誰だって強くなれます。
しかしそれだけでは大した実力になれない以上、自分自身の強さが要求されるのですよ」
「そういう意味では、銀10級のマーヤは一人だけで戦っていけるんだよね。
もちろん限度はあるんだけど、その限度はあたしたちよりも上って事だ。
それをハンター協会も認めてる。というか、銀10級って金級の手前だしね。
実力としては最高峰と言っていい」
「それでもアッシュには負けるけどね。
一瞬の勝負だと確実に殺される以上、わたし以上ってなるじゃない?」
「そもそもアッシュもラブも半年経たずに鉄級だから、十分以上に優秀だよ」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
6名が一斉に驚きましたけど、やはり半年も経たずに鉄級というのは相当に早いみたいですね。
割と無茶振りのように依頼を振られた所為だとか言っていましたが、それだけ一気に上がる仕事だとは言えます。
「ジャネス。流石にそれは………」
「町のハンター協会で言ってたろ、北の国境にも統率者が多かったって。
その依頼はアッシュが銅級の時のものさ。
そして統率者4体以上に、ファイアリザードだ。そりゃ一気に銅の10級にもなる。
そして鉄級への試験で、また大量の統率者だ」
「問題はそれを倒して来てる。
それもアッシュだけでってところなのよねえ……。
ムカデの統率者なんて引き千切られて死んだらしいしさ。
よくそんな事をするわよ」
「そもそも鉱山内であったし閉所だ。
棍棒で殴るよりも引き千切った方が早いし安全だったのだ。
噛みつかれないように首のあたりを持ったからな。
そこから引き千切ってやれば、安全に統率者を倒せる。そうだろう?」
「だからさぁ。
あの時も言ったけど、それが出来るのはアッシュだけだよ。
あの時一緒に居た銀4級、山髭族のロッドンでさえ無理だって言ってたろ。
それをあっさりやったんだろうに」
「「「「「「………」」」」」」
黙るのも分かりますね。
山髭族の男というのは、なかなかに腕っぷしが強いのですよ。
その山髭族の男、しかも銀級の者でさえ無理な事をやっているのですからね。
まあ、アッシュ殿を正しく知っていれば当たり前の事でしかありませんが。
それはともかくとして、次は池のある場所ですね。
そこも多くのモンスターの溜まり場になっているのでしょう。
水棲系のモンスターも居そうですが、ついでに倒す羽目になるかもしれません。
それ以前に統率者が居なければモンスターは放っておくのですけど。
…
……
………
で、その大きな池まで来たのは良いのですが………
「ガッツリ統率者が居るわねえ………それもウォーターリザードかぁ。
厄介なヤツが統率者になってるけど、ワザとだと思う?」
「もし故意に作り出した者なら、間違いなくワザとだろうね。
ウォーターリザードはブレスが厄介だ。
水を飲むだけ飲んで、凄まじい水のブレスを発射してくる。
吹き飛ばされるほどの威力なんだから相当にマズい」
「ならば私が行こう。
私の持っている邪獄樹のタワーシールドなら、おそらく壊す事は出来ん。
その間に皆は別の方向から攻撃してくれ。
あのウォーターリザードは何故か群れていない。
そして周りに配下のようなモンスターも居ないからな。チャンスだ」
「そういえばそうね。
………となると、わざわざココに連れて来たって感じがするわ。
あのファイアリザードと同じパターンかしら?
こっちの方が先にしていて、北の方はやり方を真似た?」
「そういう考察は後だ。
ヤツがこっちに気づかない間に奇襲する。
私はこのまま真っ直ぐ行くので、皆は回り込んでくれ」
「わたしは空から襲うわ。
真上だったらブレスも来ないでしょうから、適当に嫌がらせ攻撃に終始しておく。
そうなすれば皆が近づく時間を稼げるでしょ。
せっかくだから、近づくチャンスがあれば魔力を奪っておこうっと」
「相変わらず反則ですねー」
ラブ殿が軽く言いますが、十二分に反則でしょう。
妖精族の使う<妖精のキス>は本当に凶悪です。
もちろん味方が持っていると大変に心強いのですが、敵だと恐ろしくて仕方がありません。
「では、行くぞ」
ダッダッダッダッダッ………!
アッシュ殿が走ってウォーターリザードに近づいて行きますが、それでも距離が離れています。
ウォーターリザードは池のすぐ傍で寝ており、そこは森のかなり開けた場所なのです。
出来れば奇襲がしたかったのでしょうが、それよりも早くウォーターリザードが起き上がってしまいました。
そして……
「シューーーーーーーッ!!!!」
ドォン!!
「ぐぉっ!? つぅ…………しかし吹き飛ばされはしないな! 力が足りんのではないか?」
「キュウッ!!」
鳴き声は可愛いですが、先程のアッシュ殿の盾からは相当の音がしていました。
おそらくかなりの衝撃だったでしょうに、それを踏ん張って耐えられるアッシュ殿も見事です。
「それっ!!」
「キュッ!?」
ウォーターリザードはアッシュ殿しか見ていなかったのでしょう。
真上からマーヤ殿の放つ【魔通矢】の直撃を頭に受けています。
貫通はさせられなかったようですが、おそらくそこまで魔力を込めていないのでしょう。
それでもウォーターリザードの気を引くには十分すぎたようですね。
ドゴォン!
「グュイ!?」
「この一撃でも芯まで効いている感じはせんな? となると棍棒では無理か」
そう言ってアッシュ殿は腰の異空鞄に棍棒を仕舞い、代わりに斧を出しました。
アレなら十分に切り裂けるでしょう。
それよりも私達はそろそろウォーターリザードに向かわねばなりません。
斜め後ろですし、ウォーターリザードは水を飲んでいません。
なので体の中に水のストックは無いでしょうし、今なら水のブレスを吐かれないで済むでしょう。
接近するチャンスは今を持ってありません。
一気に近づいて加勢すべきです。
「じゃ、行くよ」
そう小声で言ったジャネス殿が飛び出し、私とラブ殿が続きます。
その後にシャムナ殿が続いて、後は<烈華>のメンバーですね。
しっかりと戦いというものを確認して貰いましょう。
近くに居なくとも連携は可能なのですからね。
と言いますか、今の状況も連携です。
前でアッシュ殿とマーヤ殿が上下で敵の気を引き、その間に後方に回った私達が攻撃する。
何もくっつく程に近づいて戦うのが連携ではありません。
彼女達も学べば伸びるでしょうから、ここは踏ん張りどころです。
ここで立ち止まって学べるかどうかで今後が変わるでしょう。
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