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05-19-0205




 Side:マーヤ



 左手でのカウントダウンが終わった直後、アッシュは左手を腰の異空鞄に突っ込みながら一気に走って行く。

 そのすぐ後には、アッシュの左手は盾を握っていた。

 ドーヴァル相手なら必要ないとは思うけど、念の為には持っておいた方がいいわね。


 そんなアッシュを見つつ、わたしは上空へと上がっていく。

 上から敵を攻撃した方が安全だし、おそらくこいつらの中に弓矢を持っている奴らは居ないでしょう。

 いたら目立って不利だし、一応は遠くから攻撃しようかしら?


 わたしは【魔通矢】を放ちながら、色々な方向を確認する。

 ラブもラフィルも戦っているけど、やはり早いのはジャネスねえ。

 アレの槍捌きは十分な程だし、銀級間近なのも分かる強さはしてる。


 そして<烈華>の面々を見てみると、連携して戦ってるのが見えるわね。

 わたし達の方は個人個人で戦ってるのに対して、<烈華>の方は連携重視。

 もちろんチームとしては連携重視なのは当然なんだけど、言い換えれば連携しないと戦えないとも言える。


 ジャネスが居なくなって悪くなったのは、そういう部分なのかもしれないわね。

 確かに連携はとても重要だし、力を何倍にも増やす方法ではある。


 ただ……連携って個人の力の上に成り立つものなのよ。

 幾ら連携を磨いても、個人の実力を伸ばさないと先は無い。

 今以上に強くなるには、個人の力をもっと伸ばすしかないでしょうね。


 っていうか、おそらくジャネスが突っ込んで他の面々がフォロー。

 そんな感じで戦ってたんだと思うわ。

 そうでないと、ジャネスはもっと弱いはずだもの。


 そのジャネスが個人で十分に戦える強さを持つって事は、大体において個人で戦ってたってこと。

 ただし今のように露払いが必要だから、仲間の重要性もしっかり理解できていただろうけどね。

 その中でシャムナだけは個人で戦ってるわ。


 双剣の片方が無いけど、それでも右手の剣一本で十分に戦えてる。

 位置取りも上手いし、囲まれないように周りも見てる。


 <烈華>の面々は全員でフォローして囲まれないように牽制しながら戦ってるわね。

 手馴れてるから元々あんな戦い方なんでしょう。


 ラフィルは盾で押し込んで敵を転倒させてる。

 つまりはシールドバッシュだけど、それは右手が鞭だからでしょうね。


 近接とは言い難い長さだから、近づかれると面倒なのよ。

 ただし遠くのドーヴァルには強烈な一撃を与えてるわ。


 バシィン!!!


 「ゴブーーーーッ!!!」


 今も一撃を放ったけど、アレ一発でドーヴァルの皮膚が裂けてるのよ。

 とんでもない一撃だと思うけど、アレを受けた段階で動きは極端に鈍るのよねえ。

 当たり前だけど。


 「ハッ!!」


 「ゴビュッ!?」


 そして痛みに耐えかねているドーヴァルをラブが始末していく。

 だいたいは血の短剣で喉を突き刺すか、それとも円盤型のノコギリで首を切ってるわ。


 血が噴出するまで切れたら、放っておけば死ぬもの。

 素早く始末していってる。


 「ふんっ! ……そぉらっ!!」


 ズドッ!! ……ドゴォッ!!


 「グブッ!?」 「ゴバッ!?」


 ジャネスは素早く喉を突き刺した後、上に槍を上げて右のヤツに振り下ろした。

 総鋼鉄製の槍だからこそ出来る一撃だけど、頭を潰された右のヤツは一撃で死んだわね。

 【身体強化】を上手く使ってるからか、結構強力な一撃になったみたい。


 「ぬんっ!!」


 ドゴン!!


 アッシュの方は………なるほど、統率者がもう一体居たのね。

 最初に見つけたヤツはとっくに頭をカチ割られて死んでいるけれど、もう一体の方が周囲のザコを呼び寄せて守りに入ってる。

 その所為でザコを先に始末しなきゃいけない形になったみたい。


 それでもアッシュを倒せるドーヴァルなんて存在しないし、二体目の統率者は一体目より小さいわね?

 それでザコを嗾(けしか)けるって事は、おそらくステージ1の途中なんだと思うわ。

 まさかステージ2の限界なのに、アッシュにビビってるなんて事は………無いわよね?


 流石にそれは無いと思いたいけど………

 ステージ5の<混沌の種>すら吸収したって聞くし、それがどう出てるのか分からないのよねえ。

 変わった感じはしないんだけど、それは私達のような生き物だけかもしれないし、モンスターには分かる変化があるのかも。


 もしくはビビってるのが統率者って事は、統率者にしか分からないものがあるのかしらね?

 ……とりあえず、支援が必要な所に行きますか。


 やらなきゃいいなら、やらないんだけど。

 ちょっと危なっかしいのよ。


 「そっち来てる!」


 「分かって、る!!」


 「ギンリカ、後ろ!!」


 「えっ、うしろ!?」


 ズドォッ!!


 「はいはい、さっさと前向いて戦いなさい。危険があるのはあんた達だけよ。

 本当に鉄6級なの? まったく。

 もうちょっとバラけなさい、あんた達は固まり過ぎなのよ」


 「そんな事を言われても、それじゃフォローできない、よ!」


 「そうやって誰かをフォローする事ばかり考えるから、連携が小じんまりして硬くなるのよ。

 連携っていうのを勘違いしてるんじゃない? 距離が離れててもフォローは十分できるわ。

 むしろ動きが鈍い所為で、いつまでも周りから攻められる形を作ってるの。

 いい加減に気づきなさい」


 こいつらは固まっている所為で身動きがとりにくく、その所為でむしろ守りにくくなってる。

 周りのドーヴァルも反撃が来にくい分だけ攻めやすくなってしまってるのよ。

 特にエフィシアとオーファルが盾持ちだから、余計に動きが鈍い。


 この2名が敵の攻撃を受けて、他の2名が反撃。

 これが今までの戦い方なんでしょうけど、その盾2名同士が互いをフォローしているもんだから、攻撃の2名も動きが制限されてる。

 だからドーヴァルが好きに攻める場所を決められてるのよ。


 ウェリムスはフォローしてるけど、非力であり川辺なだけに役に立ってない。

 アレなら盾で防いだ方がまだ役に立つわ。

 むしろフォローを入れるべきね。


 「シャムナ。貴女こっちに来て、こいつらのフォローをしなさい。

 それで丁度よくなるから」


 「仕方ありませんね。

 ジャネスは遠いですから、私がするしかありませんか」


 「ジャネスは一人でも問題ないけど、あんたは双剣の片方を失ってるからね。

 そういう意味でも丁度いいのよ」


 ここにシャムナが加われば大分マシになる。

 もうちょっとエフィシアとオーファルが広がった形なら上手く動けるようになるんだけど、背中合わせで固まってるような状態だったからね。

 あれじゃあ、追い込まれるだけよ。


 そもそもジャネスは一人で囲まれる事も無く蹴散らしてるし、ラフィルとラブは綺麗に役を分けて連携してる。

 たまにラブがラフィルをフォローしてるけど、それが無くても戦えてるわ。

 ある方が楽だというだけでね。


 「これで、終わりだ!!!」


 ドゴォン!!


 あーあー、散々ザコを嗾(けしか)けていた統率者も、ついにアッシュの怒りの棍棒の直撃を貰ったみたいね。

 それなりに【身体強化】をしていたみたいで凄い音だったけど、流石に統率者が倒された以上は総崩れでしょう。


 そこまで大きくはないけど、統率者が殺されたっていう心理的な部分は大きい。

 心がポッキリ折れたような状態と言えばいいかしら。

 モンスターにとってはそういう状態になるみたいなの。


 だからこそアッシュは最初に統率者を狙ったんだし、それで上手くいかなかったから、その後もダラダラと戦闘が続いちゃったんだしね。

 統率者があの一体だけなら、最初の一撃でこっちの優位は確定していたわ。


 でも2体目が居たから、ドーヴァルはこちらに恐れを抱かなかった。

 仕方がないとはいえ、予想通りには行かないか……


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