05-18-0204
Side:アッシュ
仲間達も<烈華>の面々なども起きたので、それぞれが指環で綺麗にしに行った。
流石に口の中などを綺麗にするには井戸に行く必要があるからな。
雑魚寝部屋で済ませる訳にはいかない。
それぞれが綺麗にし終わったので、私達は揃って酒場へ。
朝食を終えたらフェイジャの町を出発。
まずは近場の統率者が居そうな場所から探していく。
大事なのは統率者を減らす事であって、モンスターを狩る事じゃない。
「皆も覚えておいてほしいが、大事なのは統率者を狩る事であって、モンスターを狩ってお金を稼ぐ事じゃない。
そっちは他のハンターがお金を稼ぐ為に必要なので、我々はなるべく手を出さない事にする」
「そうね、それがいいわ。
わたし達はお金に余裕があるし、その間にやるべき事は進ませておきたいわね。
出来る限り統率者を狩って、なるべく脅威を減らしておく必要がある。
でないと、また怪我人だらけになってしまうもの」
「ですけど、元々ここの国境は統率者が多かったんですよね?
そんな事を支部長が言っていましたし。
となると、ここ最近急に怪我人が増えたって事でしょうか?
それとも元々から怪我人は多かったのかな?」
そんなラブの疑問に対し、知っているのかシャムナが答えた。
「昔から怪我人は多かったみたいだけれど、二度と戦えなくなるという怪我を負う者は少なかったと聞いたわ。
ここ最近、妙に凶暴なモンスターが統率者になる事が増えたみたい。
私が怪我をさせられたウィンドブルも、暴れると狂暴なモンスターだけど、今までは居なかったと言っていたもの」
「今までは居なかった、ですか………なんだか怪しいですね?
北の国境で出て来たファイアリザードといい、誰かが国境に凶暴なモンスターの統率者を送り込んでいるのでしょうか?」
「考えられなくもないけど、ウィンドブルぐらいなら居そうな気もするけどね。
確かに凶暴だけど、地形的に必ず居ないとは言いきれない。
流石に北にファイアリザードはあり得ないけどさ」
「ウィンドブルは草原や平原なら居るからねえ、確かに絶対に居ないとまでは言い切れないか。
とはいえ町の連中が居なかったっていうくらいだから、おそらく見た事は無かったんだろうけど」
「そうなると、どこかから連れて来て繁殖させた奴らが居る?
その割には誰も見た事が無いって言うし……どうなってんのやら」
「案外と、たまたま見つけたから<混沌の種>を使って有効利用しようとしたとか?
もしくは<混沌の種>を食わせた奴を放り出したら、町とかハンターをなかなか襲わなかった?
そっちの可能性もあると思うよ」
「まあ、統率者が予想通りに動くなんて事も無いでしょうから、その可能性もあると思います。
そんな事を向こうというか、ローデオン側は続けて来たんでしょうか?
もしくは裏組織かハンター協会が」
「ハンター協会で思い出したけど、単に<混沌の種>を捨ててるだけなら、こっちを襲わせる気は無かったのかもね。
ただ、それが溜まりに溜まれば、今のような事になるのは当たり前だけどさ」
確かにそうだな。
<混沌の種>を減らすには、限界まで食わせて討伐しなきゃいけない。
しかし討伐を面倒臭がって放置すれば、かつての侵略方法と同じになる。
「ああ。かつて敵国の中に<混沌の種>をバラ撒いて侵略しようとした国があった。
<混沌の種>を食わせたヤツを討伐しないと、やっている事はそれと同じだよ。
ローデオン側がやっているなら、それは侵略と何も変わらない」
「裏組織かもしれないしハンター協会かもしれない。
今のところはどこが主体か分からないから、迂闊な決めつけは止めた方がいいな。
決めつけると、それ以外を見落としかねない」
「そうね。あんまり良い事でもないし、とにかく統率者を探しましょう。
モンスターの群れを探せば高い確率で居るでしょうから、後は少しずつ削って行くだけね。
臭いけど、ドーヴァルが居れば稼げるでしょ」
「精力剤の元だけど臭いんだよねー。
できれば袋に入れる事すらしたくないけど、良い値で売れるのも間違いないし………」
「精力剤や媚薬はいつでも需要があるから、その分だけ良い値で売れる。
何よりあいつらどこにでも居るし、何故か居なくならないんだよ。
犯してきたり、ケツを掘るような連中だけどさ」
「だから嫌われてるんだけど、でも駆除しとかないと被害を受けたりするしで困った奴らさ。
精力剤の原料にならなかったら、誰も狩らないかもしれないよ。面倒で」
「精力剤の原料にならないなら臭い思いもしなくて済むでしょ。
ならそっちの方が良いんじゃない?
どのみち駆除依頼で報酬は貰えるだろうし」
そんな話を<烈華>の面々がしているが、私はそこに待ったを掛けるべく手で制する。
<内なる目>には、そのドーヴァルの巣が見えているのだ。
「この先の川辺の付近にドーヴァルの巣がある。
それなりの規模だとは思われるが、ここからでは全容が分からない。
少なくとも、それなりの数が居るのは間違いないが、統率者が居るかは不明だ」
「ここは町からも近いし、統率者が居る居ないに関わらず殲滅したいところだけど………
必要なら町のハンターに残さなきゃいけないし、困ったものね」
「統率者だけ簡単に見つける方法があればいいんですが………流石に無理ですよね?」
「無理というか分からん。
どうやって統率者だけを探せばいいのか、まずその取っ掛かり自体が無い。
なのでそれを言われても困るといったところか」
「少しずつ近づいて巣を目視で確認するしかないね。
統率者は巣の真ん中に居る事が多いけど、川辺だと事情は変わるか」
「それでも偉い者が居そうな場所に居るでしょう。
巣の中心に居る事が多いのも、言い換えれば偉そうにする為ですし」
「偉そうにする為というのもアレですけど、実際に統率するには必要な事なんでしょうね。
強さとか偉さを見せないと従わないって聞きます。
それはチンピラとかの話ですけど……」
まあ、チンピラとモンスターなんて似たようなものじゃないか? と全員思ったのだろう。
皆が同じような表情をしている。
きっと私も変わらないはずだ。
私は微妙な気分を変えるべく、ゆっくりとだがドーヴァルの巣に近づいて行く。
音をさせないように慎重に歩き、目視できる距離まで近づくと、明らかに一体大きなドーヴァルを発見した。
間違いなくアレは統率者だろう。
皆にも確認させ、私は小声で皆に問うてみた。
一応の確認というヤツだ。
「アレは統率者で間違いないと思うが、皆はどう思う?」
「間違いないわ。
あそこまで大きければ統率者よ。
ただ、大きいという事はステージ2に入ったばかりぐらいね」
「ステージ2の限界だと、大きさは普通のとそんなに変わりませんしね。
アレは妙に大きいですから、そこまでは行っていません」
「となると、そこまで強い相手じゃないね。
シャムナがやられたウィンドブルならまだしも、大きいったってドーヴァルは所詮ドーヴァルだ。
大した事は無い」
「そうですね。
二足歩行が大きくなっても、バランスが良くないのは変わりません。
足を狙って転倒させれば勝ちようは幾らでもあります」
「それ以前に、統率者はアッシュ任せで問題無いわ。
私達はそれを邪魔させない露払いをするべきね」
「ええ。出来るだけ素早く倒しましょう。
その後は素材を剥ぎ取るしかないので大変ですが、それでも川辺なだけマシでしょう」
「では私が一番最初に突撃するから、皆はフォローを頼む。
それじゃ行くぞ……」
私は腰の異空鞄から棍棒を取り出すと、左手を上に上げて広げる。
そして指を一本ずつ折ってカウントをしていく。
5、4、3、2、1、ゼロ!!




