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05-11-0197




 Side:ラブ



 アッシュさんが乗合馬車を牽いていく事になり、ちょっと周りから変な目で見られました。

 とはいえパルデオム一頭では牽けないのですから仕方ありません。

 それでも領都へと進み、その後は更に東へ。


 そして今日。ぼく達はようやく最東端の町であるフェイジャまでやってきました。

 この先は国境の砦しかなく、その先はローデオン商国です。


 今回はそこまで行かずに国境での依頼ですからね。

 あちらに行く意味はありません。


 とはいえローデオンがぼく達を勧誘してくる可能性もありますので、その場合はどうするのでしょう?

 乗ってもいいとは思いますけど、それで何かが得られるというわけでもありません。

 それに捕縛しても意味は無いでしょうしね。


 向こうもしてますし、こっちもしている。

 おそらくは相互に不干渉としているのだと思います。


 お互いに捕縛し続けても意味は無いですし、国内から言われればやるしかないんです。

 それで自分の部下が囚われて殺されても困るでしょう。


 となると適当なところで手打ちにして不干渉にするのが一番ですからね。

 それに、おそらくそれを許しているのは国境に一番近い町だけでしょう。


 逆にそれ以外の町では厳しくやっていると思います。

 国境だけなら、優秀な者もそこまで集まらないでしょうしね。


 辺境伯家なら優秀な者は行かせないという方法もとるかもしれません。

 優秀な者が引き抜かれては困りますからね。

 とはいえ王国に幅広く勧誘する者を送り込んでいる可能性もない訳ではないでしょう。


 どこの国もモンスターには苦労していますし、特に強いモンスターは手練れが複数いないと勝てないと聞きますので………


 この国境にそこまでのモンスターが居るのかは分かっていませんが、まずはハンター協会に行って<混沌の種>を吸収するのが先ですね。

 大きな疑問はあるのでしょうが、<烈華>のメンバーも追及してくる事はありませんでした。


 ハンター協会に行って受付に話すと、ぼく達は案内されたので支部長室へ。


 「お前さん達がワシに用のあるもん達か。

 それはいいが、いったい何用だ?

 こっちは暇じゃないんだがな?」


 そう言って来たので、代表してアッシュさんが支部長にマスターからの手紙を渡しました。

 それを読んで行く牛人族の支部長。

 すると、片眉が跳ね上がります。


 「うーん……お前さん<混沌の種>を何とかできるのか。

 それならまずはそっちが先だ。ワシの後ろについこい」


 そう言って支部長が部屋を出るので、それについていくぼく達。

 そして一室に案内されましたが、目的地は広くもない地下でした。

 下に行ったのは支部長とアッシュさんだけですが、狭いのですから仕方ありません。


 それなりに時間が掛かったものの、戻って来たので再度支部長の執務室へ。

 そこで今度は話し合いになりましたが、既にぼく達がやる事は手紙に書かれていたようです。


 「お前さんらも大変だなぁ。

 国境のモンスターに裏の組織の調査や情報収集、更にはローデオンの方の噂もか。

 現地で聞きこまなきゃ分からない雰囲気とかあるから仕方ねえけど、マスターもまた無茶振りをするもんだ」


 「それでもコレが我々への依頼です。なら熟すしかありません」


 「違いない。自由に調べていいが、手が空いてるなら国境の掃除を頼む。

 なんだかんだといって、ローデオン側が仕掛けてきてるフシもあるんでな」


 「仕掛けてきてる?」


 「強いモンスターも然る事ながら、こっちにモンスターが多いっていう報告もあるのさ。

 それに………<混沌の種>が多いんだ。

 お前さんも消して回ってるなら分かるだろ。ここは普通の町だとしても多い。

 わざわざ地下室を使わなきゃいけないくらいにな」


 「ローデオン側が密かにこっちに来て統率者を生み出してる?」


 「分からねえ。ただ、その可能性はずっと言われてる。

 長年ここに居る奴らは雁首(がんくび)揃えて同じ事を言う。ここは統率者が多いと。

 もしかしたら、輸出入をしている商人の馬車への攻撃かもしれん。

 暴れれば襲われるかもしれんし、品が届かなきゃ賠償しろと言えるだろう事を考えると……」


 「あの商売の国だと、そういう事をやってきかないって訳かい。

 確かに言いたい事は分かるけど、単に<混沌の種>を捨ててるだけな気がするけどね。

 それ以外が不確定要素過ぎるし」


 「そうですね。

 統率者を増やせば確かに厄介な事になるでしょうが、商品が届かなくなって困るのは自分達です。

 商売の国が商売そのものを捨てるでしょうか? 流石にそれは無いような……」


 「しかしな。現に様々な事が起きてるのは間違いない。

 それだけは間違いがないんだよ」


 支部長がそう言うと、マーヤさんが自分の意見を提示します。

 ぼくもそういった部分はあると思いましたね。


 「もしかしたらだけど、それぞれがバラバラにやってるんじゃないの?

 向こうのハンター協会が<混沌の種>を裏の連中に撒かせてるとか?

 商人の方には知らせずに勝手にやってるなら、わたしはあり得ると思うけどね」


 「あー、それなら分かる。

 ローデオンは商売の国だ。商人どもを表立って敵には回せないだろう。

 とはいえ<混沌の種>を減らしたいのはどこも一緒。

 それに裏の連中の抗争も囁(ささや)かれてるって事は……」


 「こっちと向こうの裏組織が、お互いの国への攻撃をしてる?

 それが事実なら、こっちの裏の連中も向こうに何かやってるわね?

 舐められたら負けの連中は絶対に反撃をするわ。

 しなければ舐められるもの」


 「それで抗争が間近だと言うなら、向こうの側も怒り心頭という可能性がありますね。

 場合によっては、より大きな抗争を呼ぶかもしれませんし………

 向こうと連絡をとる事って出来ないのですか?」


 「出来なくはないが……しかし、場合によっては直接行く事になるかもしれん。

 向こうが争いを煽りたいのかもしれんし、こっちが争いを煽っているのか分からんのだ。

 それに<混沌の種>をこちらに捨てておるのであれば、のらりくらりと逃げ続けるかもしれないしな」


 「仮にこちらに<混沌の種>を捨てているなら重大な攻撃ですしね。

 それこそローデオンの名が落ちますし、その元凶は間違いなく処刑されます。

 意地でも認めないでしょう。仮にやっていたとしても」


 「だろうね。こっちは粛々と統率者を狩った方が早いかもしれない。

 どのみち邪魔な奴らを始末しなきゃいけないし、ここは国境だから腕のあるのも居るだろ。

 そいつらに依頼して何とかするしかないね」


 「無理だ、依頼を出す金が無い。それぐらいに統率者が多いのだ。

 素材は売れるが統率者が強いし、その所為で犠牲が出る事も多い。

 死ななくても怪我で引退とかな。

 町を去る事も出来ねえで飲んだくれてるか、飲む金も無くて日雇いで凌ぐかだ」


 八方塞がりじゃないですか。よくこのハンター協会も潰れてませんね。

 協会すらマズいとは思いませんでした。


 「ここに訓練用の武器とかはあると思うんだが、それを借りられないか?」


 「まあ、構わんが………何をする気だ?」


 「怪我で駄目なら治してしまえばいい。

 ここのハンター協会が弱体化して喜ぶのは、向こうの裏組織ぐらいだろう。

 もしかしたらだが、それ自体が向こうからの攻撃かもしれない。

 裏の連中は正規軍を攻撃せずともハンターには攻撃してくるんだろう?」


 「!? ……つまりこっちのハンター協会を潰そうって魂胆か!

 やってくれる!!」


 「本当にそうかは分からないが、ローデオンが国として攻めてこないのであれば、攻めてきているのは裏の組織ぐらいだろう。

 そしてハンター協会が弱体化したら………」


 「向こうは大手を振って攻めて来るでしょうね。

 その時には身分を隠した向こうのハンターも襲ってくるわ。

 昔にあった略奪がまさにソレよ。

 弱体化させて攻め、金品や女性を大量に奪っていく。

 そういう事があったんだけど、再現する気かしら?」


 奪うだけ奪ったら町を占領せずに逃げるという事ですね。

 戦争ではないですけど裏組織の紛争ですので、それなり以上に被害が出ます。


 本当のところは分かりませんが、統率者の為にも怪我を治すのは正しいでしょう。

 でなければ統率者をぼく達だけで殲滅する羽目になりますしね。

 それは流石に現実的じゃありません。


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