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05-06-0192




 Side:マーヤ



 私達は歩いて町に向かってるんだけど、なかなかに愚かなチームメンバーだったのね。

 というか、ジャネスが優秀なのであって他は並って感じじゃない。

 どう考えても銀級に上がれそうにないわよ、こいつら。


 そう考えると、ある意味では丁度いいタイミングだったのかもしれないわね。

 ジャネスの下らない失敗が原因での解散とはいえ、こいつらと居ても銀級に上がれたかは怪しいんだし、それなら私達と居た方がいいでしょう。


 そもそもアッシュがシャレにならない強さをしてるし、そこまで強いメンバーとなら更に先を目指せるもの。

 わたしだってヒドラやグランリザードを倒して名を示すっていう目的があるしね。

 ま、無理に戦う必要も既に無いんだけど。


 だって名を示したいだけなら、このままアッシュと共に居ればいいだけだしね。

 アッシュがちょっと規格外すぎる所為で、おそらく一緒に居るだけで色々な方面に名が売れるわ。

 それに三柱の神の神子(みこ)と一緒に居たっていうだけでも大きい。


 英雄のチームメンバーとか部下だったっていうだけで名が残るのと同じ事よ。

 だから無理に戦わなくても名を示せるのは確定してる。


 流石に三柱の神の神子(みこ)となると、確実に歴史書に名が残るレベルだもの。

 一緒に居るだけで名が残るって凄い事よ。


 「なにニヤニヤしてんだい、マーヤは。

 なんか善からぬ事でも考えてたんじゃないだろうね?」


 「善からぬ事なんて考えてないわよ。

 こう言ったら怒るかもしれないけど、簡単に手がかりが見つかったからね。

 それが大きいと思ってるだけ」


 「手がかりって………ああ、アッシュが肩に担いでるヤツかい。

 確かに禁制の品を流してるヤツが居るから探せって、王都のマスターに言われてたんだったね。

 早速見つかったんだから、幸先は良いか」


 「そういえばそうですね。

 盗賊の塒(ねぐら)を強襲したり、女性達が禁薬を使われてたりで忘れてました。

 裏の連中が抗争を始めるかっていう情報の確認もあったんでしたっけ? それも含めて大きいですね。

 地元のハンターも情報は集めているんでしょうけど……」


 「裏の連中なんて簡単に尻尾を掴ませたりしないから、盗賊潰して下っ端情報源を手に入れられたのは大きいか。

 それでもどこの組織が動いていて、どこと抗争しようとしているかはサッパリだけどさ」


 話が逸らせて良かったわ。

 流石にハンター協会から何を頼まれたかぐらいは言っても問題無い。


 そもそも水面下で探せとも、言うなとも言われてないからね。

 それに………おそらく影で探らせている奴らは別に居るはず。

 私達は表で騒ぐべきだと思うわ。


 「それにしても最西端の町まででも長そうね。

 乗合馬車を行かせちゃったから仕方ないんだけどさ。

 まさか同行するのがこんなに増えるとは思ってなかったし、担いでいかなきゃいけないヤツまで連れて行く事になるとはね」


 「それに関しては仕方ないですけど、確かに思っているよりも遠いですね。

 野宿しなきゃいけないのもありますけど………大丈夫ですか?」


 「コイツに関しては大丈夫だろう。足も縛ってあるし、腕の骨は砕いてある。

 この中で治せるのはマーヤだけだが、別に無理して治してやる必要も無い。

 足が大丈夫な以上、歩く事は可能なんだ。兵士だって文句は言わないさ」


 「それに関してはそうだろうね。

 どのみち盗賊団の頭なら処刑で終わりだ。

 問題は死ぬまでにどれだけの拷問がされるかでしかないよ」


 エフィシアって狼人族、割と鼻で臭(にお)いを嗅いでるのよね。

 敵がいるかどうかを把握してるなら良いんだけど、犬人族も同じで嗅覚が鋭いから困るわ。

 なんというか、アッシュの事が臭(にお)いでバレるとか無いでしょうね?


 わたしには分からないけど、神子(みこ)特有の臭(にお)いとかあるかもしれないし、そんな訳の分からない事でバレるのは困るのよね。

 出来れば仕事終わりまでは内密にというか、出来るだけバレたくない。


 アッシュが本当に三柱の神の神子(みこ)だとバレたら、鬱陶(うっとう)しい女どもが群がって来かねないのよ。

 それにかつて関わりがあった貴族の女どもが、実は子供が出来ていたとか嘘を言ってくる可能性もある。


 貴族の女どもが避妊に失敗するなんてあり得ないし、仮に失敗していても確実に堕胎してるでしょう。

 秘密裏にそういう事をする医者も居るって聞くしね。

 だからこそ奴隷闘士の子を産むなんて事は無い。


 それに……それって自分の不貞行為を大々的に発表するって事にしかならないもの。

 立場が完全に終わるわ。

 更に言えば、そういう嘘を言い立てた段階で神罰が落ちると思うのよ。


 今までは落ちていないけど、そもそもアッシュは邪神の精がメインだって元神様は言ってたわ。

 その邪神の精がメインに使われているアッシュの子よ?

 果たして奴隷闘士にされていたアッシュの子を、浄化の女神が認めるかしら?


 あの元神様はアッシュに介入してくるって言ってた。

 つまりは浄化の女神ってアッシュに介入、ハッキリ言えば干渉できるってこと。


 言い換えればアッシュの精を妊娠出来ないように操作する事って可能なんじゃないかしら。

 それこそ痕跡から消せるかも。


 アッシュに介入というより、アッシュを介して女どもの体に介入。精を全て消去するとかね。

 浄化の女神なら可能だと思うのよ。


 「それにしても暇ですね。

 ラブ殿は歩きながら本を読んでいますので、暇ではないでしょうが……」


 「歩きながら本を読むってのもどうなのかと思うけどね。

 デルナル地方、ルルムス地方、トッカネイル地方でも帰りに本を買ってたけどさ。

 よくもまあ、あんなに本を買うもんだよ。

 皆ボロボロの本ばかりだったけど」


 「古い本というのが、あんなに多くあるとは思わなかったな。

 意外に写本というのはされるのだと初めて知ったぐらいだ。

 それと本を探す時は、いつもと違って積極的だった事もだが……」


 「自分の好きな物に対してって、あんな物じゃないかい?

 あたしも酒を探す時はあんな感じだしね。

 アッシュは………飲んでも無駄か」


 「そうだな。未だに酔うというのが分からん。

 どれだけ飲んでも酔うという事が無いからな」


 「へぇ! なかなかの飲兵衛なんだね。

 なんだったら私と勝負するかい?」


 「止めときなオーファル。

 あんたもオーク族らしく沢山飲むけど、アッシュは冗談でもなんでもなく、本当に酔わないのさ。

 どれだけ飲んでもね」


 「沢山飲めるとか飲兵衛だという意味ではなく、アッシュ殿には酒精が効いていないのですよね。

 だからどれだけ飲んでも酔えない飲み物でしかない訳です。なら水でいいとなるのですよ。

 一応は言い訳の為に飲んでおられますけど」


 流石にジャネスやラフィルから説明されて、なんとなく強いって意味じゃないと理解したようね。

 アッシュには何故か酒精が効かないけど、おそらくは浄化の女神の肉を使われているからだと思うわ。

 もしかしたら鬼神って神様の方かも。


 どちらにしても、多分に神様の肉が影響していると思うのよね。

 となると<コッカトリスの毒>が効いたのが気になるんだけど………


 その時だけアッシュに介入してワザと効かせたとか無いわよね?

 神殿に行かせるた為にワザと……


 これはアレね。深く考えちゃいけない気がするわ。

 だって神様なら何でもアリだろうし、考え始めたらキリが無いもの。

 それこそ<狂愛の神>が何をするかなんて分からないし、今もわたしの思考を読まれてるかもしれない。


 アッシュが右肩に盗賊の頭を担いでるから、私は左肩に座ってるのよね。

 私のいつもの席は右肩なんだけど、今は取られてるのよ。

 それもムサいヤツに。


 まあ、それを言ったらジャネスから「歩け」って言われたんだけどさ。

 なんでワザワザ歩かなきゃいけないのって思うわ。


 アッシュの肩に乗らないなら飛ぶに決まってるじゃないの。


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