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05-04-0190




 Side:ラフィル



 盗賊に捕まり危険な薬を飲まされて犯される。

 昔からあった事ではありますが、そんな事をする者が千年後にも変わらず居るとは……


 生き物というのは本当に変わらないなと思います。

 まあ、モンスターも変わっていないのですが。


 それはともかくとして、女性達の嬌声がですね。

 こう………何故か付いている男性のアレを刺激するのですよ。


 私は女ですし、そういう趣味などはありません。

 神殿内にはそれなりにそういう者は居ましたが、私は違います。

 そもそも夫も子供も居たのですからね。


 しかし今は男性のアレが付いているからでしょう。

 何故か犯されている女性達の嬌声が直撃してくるのです。


 必死に聞こえないフリをしつつ、意識を逸らそうとしているのですが………

 男性の本能というのは本当に強いとしか思えません。


 むしろ男性はこれほどまでに強い本能を、自ら抑制して生きているという事です。

 とんでもないと思うと共に、もっと男性に対する理解があっていいと思えますね。


 これは体験した者にしか分からないのでしょう。

 男性に生まれたからこそ耐えられるし、抑制できるのだと思います。


 それでも出来ない者が暴走したりして犯罪を犯しますが、それも仕方ないと思えてくるほどに強いとは知りませんでした。

 もちろん犯罪は良くないと思いますが、これほどの生殖本能に晒されるという事への理解は必要でしょう。


 アッシュ殿が合図を出します。

 その時が来るまでのわずかな間に、気持ちを切り替えて準備。

 そして合図が終わったアッシュ殿は部屋に突入。


 先ほど話していた盗賊頭の左腕を棍棒で殴り、左に居る盗賊の体を杭で突き刺します。

 そのまま杭は放って前へ。


 女性達を犯している盗賊の頭を棍棒で一撃。

 左手は新たに出した斧で、別の盗賊の頭をカチ割りました。

 暴虐の嵐が吹き荒れるかの如く、右手の棍棒と左手の斧が盗賊を皆殺しにしていきます。


 「うがぁぁぁぁぁぁっ!?

 くっそ、テメェらそいつを殺せぇ!! 今すぐにだ!!!」


 盗賊頭がそう叫びますが、女性を犯していた男は多くありません。

 その叫びが終わる頃には、最後の一人をアッシュ殿が棍棒でカチ割っていました。

 そして盗賊頭の方に向かって歩きます。


 「殺せも何も残っているのは貴様だけだ。覚悟は出来ているな?」


 「なっ!? く、くそ! ワシが誰か分かってんのか!?

 泣く子も黙る<暴虐の嵐>の頭だぞ!!」


 「さっきこの部屋の中で暴虐の嵐が吹いたけど、それは貴方達じゃないよね?」


 既に盗賊頭しか居ないので、私とラブ殿は部屋の中へと入りました。

 先ほど声を掛けたのはラブ殿です。


 私は犯されていた女性達に近寄りますが、あまりに酷い惨状に目を背けたくなります。


 「あははははははは……!!」


 「おねえちゃん! おいていかないで、おねえちゃん!!」


 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 「くすりぃ! ふわーでどーん!!」


 「くひひひひひひひ……貴女が神ですかぁ?」


 禁制の薬を使われたのでしょう、完全に壊れています。

 最早どうやっても………? いえ、マーヤ殿なら治せるはず。


 【生魔法】使いの、それも妖精族です。

 更にはアッシュ殿という大きな魔力もある。

 それなら治せるはずですから、後で頼みましょう。


 今は大変ですが、この女性達がおかしな行動を始めないように監視しなければ。

 薬で狂わされた者の中には、自殺してしまう者も居るのです。


 前後不覚で狂っている為、自分が何をしているかすら分からない。

 気づけは部屋の中で死んでいた、などという事が過去にありました。


 流石にこの子達は助かる可能性があるのです。

 こんな盗賊の塒(ねぐら)で死なせるわけにはいきません。


 「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 「死ぬのが嫌なら、貴様は兵士に突き出してやろう。両手を潰した状態でな。

 それなら自殺も出来んし、飯は狼のように顔を突っ込んで喰えばいい。

 それなら死なんだろ」


 「くそがぁ!! てめぇ、絶対にブチ殺してやるからな!!」


 「出来るならばやってみせろ。

 その両腕で何が出来るのかは知らんがな」


 まあ、何も出来ませんね。

 両腕を潰されている以上はどうにもなりませんし、そんな状態で誰かに復讐を頼むなんて事も出来ません。

 見捨てられるか、それとも今までの事で復讐されるかぐらいでしょう。


 盗賊頭が盗賊団を失ったのです。

 自分の命すら守れません。


 「ラブ殿。すみませんが、マーヤ殿を連れて来て下さい。

 おそらく【生魔法】であれば、壊れた彼女達を助けられます」


 「分かりました。すぐに行ってきます」


 タッタッタッタッタッタッ………


 ラブ殿はすぐに走って表に行ってくれましたので良かったです。

 私はここを動く事が出来ませんし、アッシュ殿は盗賊頭を監視する必要があります。


 しかしどうやって連れて行く気でしょう?

 アッシュ殿には異空鞄が……


 「ラフィル、すまないが後で異空鞄を預ける。背の大きいヤツだ。

 私はコイツを担がねばならんが、おそらく触れるとコイツは壊れるか発狂する」


 「でしょうね。悪徳さを鑑(かんが)みてもそうなるでしょう。

 しかしそれでは困るという事ですね? 証言をさせねばならないので」


 「そうだ。だから頼みたい。

 おそらくラフィルなら背負っても問題ないだろう。

 邪神の加護が今でもあるんだし」


 「………おそらく大丈夫だとは思いますが、駄目なら浄化をお願いします」


 「分かっている。

 とはいえ浄化の女神がくれた物だろうから、そこまでの事にはならないだろう。

 おそらくだが」


 私もそう思いますが、可能性として考えておかねばなりません。

 おかしな事にはならないでしょうけれど、浄化の女神様もアレなようですので、用心するに越した事は無いのです。


 「盗賊どもの殲滅は終わったみたいだけど、なんか禁薬で狂った奴らが居るんだって?」


 っと、マーヤ殿が来られましたね。

 おそらくは治せるはずですし、アッシュ殿の魔力を借りれば複数でも大丈夫でしょう。


 「こいつらが………って、エフィシアじゃないか!?

 サンディ、オーファル、それにギンリカ。

 っと、こっちのは分からないけど、まさか元チームメンバーがこんな事になってるとはねえ……」


 「あらら、ジャネスの元チームメンバーだったのね。

 ま、とりあえずー…………うん、治せそうね。

 アッシュー、魔力が足りないからお願い」


 「魔力の供給は問題ないぞ、碌に使ってないからな」


 「というより使えなかったんですけどね。

 感知されてバレても困りますから。

 だからこそ暗闇の中で暗殺して回ったんですし」


 「なんだと!?」


 「仲間に期待していたのか?

 ここに来るまでの部屋の中の者は全て暗殺してある。

 盗賊団で生き残っているのはお前だけだ」


 「………」


 盗賊頭が愕然とした表情をしていますが、まさかここまで来ている私達が邪魔者を始末していないと思っていたのでしょうか?

 ……いえ、仲間が生きていて助けてくれる。そう思い込みたかったのでしょうね。


 「ほいほーいっと。

 なかなか厄介な薬を使われてるっぽいわねえ。

 治せるけど」


 「<ガットラの葉>と<イヴォスの粉>とか言っていたぞ。

 どんな危ない物かは知らんが」


 「それ最悪のヤツじゃない。

 どっちか片方だけでも心を壊しかねない危険な物よ。

 まさか両方を混ぜて飲ませたの?

 そりゃこの子達が壊れるはずだわ」


 「そこまで危険な物だったのか。

 こいつらは<暴虐の嵐>とかいう盗賊団らしいが、どうやら裏の組織の連中と関わりがあるようだ


 「なるほど、それで生かしてんのかい。なら仕方ないねえ。

 元仲間とはいえ散々ヤってくれたんだ。

 たっぷりと地獄を味合わせてやりたかったんだけど……」


 「………」


 ジャネス殿の迫力に怯(おび)えていますね。

 それだけの殺気を向けていますので、当然なのでしょうが。


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