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05-02-0188




 Side:ジャネス



 乗合馬車が突然止まったけど、理由はすぐに分かった。


 「お客さん達、すまないが頼む! 前からパルデオムに乗った盗賊がやってくる!」


 やっぱり盗賊だったようだが、あたし達の馬車を見てなぜ襲って来たんだろうね?

 乗合馬車だってのは見たら分かるだろうし、狙うなら商人の馬車だろう。

 どっちも幌馬車だけど、こっちのは四角の幌馬車だ。

 だから見て分かるだろうに、おかしな盗賊だねえ。


 そう思うも後ろから飛び出したあたしは、すぐに愛用の槍を持って敵を探す。

 すると馬車の前方から盗賊がやってくるのが見えた。

 パルデオムに乗ってる連中って事は、まずは足を潰さないといけないね。


 あたしはすぐに槍を構えつつ前に出る。

 すると飛んで前から出ていたマーヤが、【魔術】で盗賊を叩き落としているところだった。

 落としてくれるなら、あたしは始末して回るだけで済むね。

 そう思い落ちたヤツに一気に接近した。


 ここ最近はあたしも修行をしているからか、前に比べても【身体強化】は上手くなってる。

 なので、この程度の盗賊連中に負けたりなんぞしない。

 アッシュも出て来たし、ラブとラフィルも出て来たみたいだ。

 これであたし達が負ける事は無くなった。


 馬車から出る時に引っ掛かってモタモタしてた所為で殺される。

 そんな可能性も無い訳じゃないけど、流石に皆そんなマヌケじゃなかったね。

 かつての若い頃にそんな事があったんだけど、失敗なんて無い方が良いに決まってる。


 盗賊なんで大した防具も持ってないし、そんな奴らの鎧を貫けないほど鈍(なまく)らな槍じゃない。

 あたしは心臓の位置を一気に突き刺して抜き、そして距離をとって周りを見る。

 更なる敵を探すんだけど、その時には既にアッシュが最後のヤツに杭を投げるところだった。


 そしてラブは生かしたヤツを尋問している。

 上でマーヤが見張っているから逃げられない。


 ラフィルは死んだ奴らに一応の祈りを捧げ、その後は色々な物を探ってる。

 多分どこの誰かが分かる物を探してるんだろう。


 「どこにでもありそうな物しか持っていませんね? それに数も少ないです。

 普通は馬車を襲うなら二桁の数で襲うはず。にも関わらず五名しかいません。

 これはどう考えてもおかしいですし………盗賊ではない?」


 あたしも調べていくけど、誰でも持っていそうな装備しか無いし、他に特徴的な物も無い。

 ただの盗賊って感じだけど「ぐぁぁぁぁぁ!!!」って、向こうが聞き出すのを待つかな。


 あたしとラフィルは死体を全て探したけど見つからず、アッシュは金目の物を奪って異空鞄に入れるとラブに大きな声で聞く。

 ある意味で容赦が無いねえ。


 「ラブ、こいつらの血はどうする? 飲むなら早くした方が良いと思うが」


 「ここに生きている者が居るから、死体の方は構いませんよ。

 こっちの方が“新鮮”ですし」


 そんな会話を暢気(のんき)な感じでしているんだから、生き残った盗賊は気が気じゃないだろう。

 実際にラブが飲むかどうかは知らないけど、恐怖を与える役には立ったね。


 その後は更に聞き出すけど、アッシュは黙々と金目の物を剥いで、死体は黒い箱に入れて消していってる。

 あの黒い箱、大きさはそこまででもない。

 縦も横も高さも50センチくらいで、上が空いているだけの箱だ。


 しかしゴミを入れようとすると、その口部分より大きな物でも何故か入る。

 ただし魔力を流していないと入らないらしいけどね。

 あたしは怖くて触った事も無いって言うか、アッシュ以外に誰も触った事が無いんだよ、あの黒い箱。


 モンスターの死体なら喰われるから放っておいてもいいんだけど、盗賊の死体じゃ放っておくと勝手な悪評が作られかねない。

 なのでアッシュは丁寧に死体を消していってるわけだ。


 「武器とかぐらいしか売れそうな物は無いな。

 革鎧はくたびれ過ぎなうえ、一部にカビが生えていた。アレでは売る事も出来ない。

 碌に手入れもしていないようだ。

 盗賊らしいとは思うが……」


 「まあ、盗賊連中なんてそんなものと言えば終わる話さ。

 それよりも「ぐぅぇ」残るは……って、終わらせたかい。

 となると話が聞けたかな?」


 あたしとアッシュはラブ達に近づくけど、ラブは特に血を飲む気は無いみたいだ。

 それを聞いたアッシュが調べ、駄目だったのか装備や服を着たままの死体を黒い箱に放り込む。

 そして終わったら異空鞄に仕舞い、乗合馬車へと戻った。


 「御者さん、盗賊の塒(ねぐら)までついてくるのと、このまま進んでいく。どちらにしますか?

 ぼく達は盗賊を殲滅に行きますが……」


 「私は危ない事には近づかないようにしてますんで、このまま行かせてもらいます」


 「分かりました。

 おそらく盗賊は出て来ないと思いますが、気を付けて」


 「ええ。それじゃ」


 そう言って乗合馬車は行っちまったけど、あたし達が盗賊の所に行くのは何故かね?

 わざわざ退治せずとも誰かがやると思うんだけど………


 「ラブ。盗賊を殲滅するのは構わんが、理由はあるのか?

 横取りだと言ってくるのが居ないようにしたいのだが……」


 「それはちょっと分かりません。ですが盗賊達は女性ハンター数名を捕まえたらしいんです。

 結構な盗賊が殺されたらしく相当に酷い目に遭っているらしいので、早く助けに行った方がいいと思いまして」


 「なるほど、そういう事だったのか。それならすぐに行った方がいいな。

 盗賊どもの塒(ねぐら)はどこだ?」


 「あっちです。

 実はここからあまり遠くなく、さっきの連中はおこぼれに与(あずか)れなかった腹いせに襲って来たと言っていました」


 「だから、まだその女性達は生きているはずなのよ。

 なら助けるのを優先しないとね」


 「ならば急いで行きましょうか。

 これで間に合わなかったとなるのも嫌ですし、後味の悪い事になってしまうのも業腹です」


 「それじゃ、走って行くか。全力ではなくとも急ぐべきだ」


 アッシュがそう言い、あたし達は走って近くの森の中へ。

 そのまま走って行くと、アッシュが合図をするので止まる。

 何かと思ったら盗賊っぽいのが居るらしい。

 アッシュは目を瞑(つむ)ってるから、<内なる目>で確認したんだろうね。


 「私が近づいて一気に殺すわ。敵はどこ?」


 「あっちだ」


 アッシュが指さす方向には、確かに盗賊っぽいヤツが居た。

 マーヤが上を飛んでいき、その盗賊の頭に【魔術】を放つ。

 おそらくは【魔通矢】というヤツだろう。

 遠くに見えていた盗賊が倒れたので死んだらしい。


 あたし達は盗賊が死んだのを確認したので近づく。

 すると、その盗賊の近くに洞窟の入り口を発見。

 本当に近い場所にあったんだねえ。


 「こいつ出て来てオシッコしてただけだったわ。

 御蔭で簡単に殺せたけど、ここからは簡単じゃないわね。

 厄介な事に閉所だし、気を付けないと妙な攻撃を喰らいかねない」


 「私が【集魔法】で援護しましょう。仮に煙を使われても一ヶ所に集められます。

 特に敵の近くに集めれば毒などを返せますし、使ってくれた方が都合がいいかもしれません」


 「そういう意味では本当に反則だね、【集魔法】は。

 使い勝手が良すぎる」


 「その代わりに攻撃などは出来ないのですから、一長一短でしょう。

 確かに汎用性は高いと思いますけど」


 「それより行くわよ。その死体は放置で構わないでしょ」


 「そうだな、慎重に行こう。足音に気をつけてな」


 アッシュも言ったけど、意外に洞窟の中って音が通るんだよね。

 だから注意しないと中の奴らに侵入がバレちまう。

 出来るだけ見つからないように殺していきたいもんだ。


 どれだけ中に居るか知らないけど、被害に遭っている女達が減らしたんだ。

 そこまで多くは残ってないだろう。


 素早く殺していけば間に合うはずだ。

 まだ入口だから何も聞こえてこないんだろうしね。


 流石にもう殺された後って事は…………無いと思いたい。


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