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 Side:アッシュ



 私とラフィル殿は必死になって探したものの、特に壁になって塞がれている部分を発見できなかった。

 手で叩いたりして調べてもみたが、誰かが作ったと思(おぼ)しき壁は見当たらなかったのだ。

 となると後は天井か………地面?


 「そういえば地面を全く調べてなかったな。

 天井と地面をもう一度調べてみましょう」


 「そうですね。

 諦める訳にもいきませんし、もう一度調べてみましょう。

 何か発見できるかもしれませんし」


 私はラフィル殿とそう話し、再び立ち上がって調べていく。

 流石に疲れたので座っていたのだが、そのままという訳にはいかない。

 ここから先がまだあって休んでいるならいいのだが、今は外への道を探さなければいけない時だ。


 その後も私とラフィル殿は調べたが見つからず、仕方ないので岩の層の地底池まで戻った。

 途中でトイレ用に掘った所で済ませ、地底池まで戻ると水を飲む。


 「ふぅ………生き返るようです。

 思っているよりも喉が渇いていたのかもしれません。

 お返しします」


 「ええ、それとコレをどうぞ。今のところ食料はその2つしかありません。

 丸い方は、それ一つで一日食べなくても大丈夫な物です。

 リビ殿から頂いた物ですから、おそらくその通りの物でしょう。

 焼しめたパンは何かを食べないと納得できなかった場合ですね」


 「これ一つで、一日食べなくても大丈夫とは………凄いですね。

 流石は異なるとはいえ神様がくれた物ですか」


 「ええ。私もそれを食べて昨日は寝ましたので。

 ここは石というか岩が主体の場所ですから、余程の事がなければ襲われたりしません。

 何より今のところは全滅させています。

 2人とも寝ていても、おそらく襲われる事は無いかと」


 「ですね。流石にゆっくりと寝て疲れをとるべきでしょう。

 石の床ですが、それでも寝られるだけマシというものです。

 これが野宿なら、いつ襲われるか分からないという恐怖で眠れないところでしたよ」


 外への出口が見つからなかったものの、そこまでラフィル殿も暗くなっているわけではなさそうだ。

 これなら明日も大丈夫そうだな。自分で追い詰めておかしくなられても困る。

 せっかく助けられたのに、閉じ込められて狂って死ぬなど勘弁してもらいたい。


 私は水を飲んで丸い物を食べた後、体や服に武器などを綺麗にして横になった。

 後は寝るだけなので、さっさと寝てしまおう。

 モンスターの事を考えたら、昨日よりも遥かに安全だ。




 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ラフィル



 ………どうやらアッシュ殿は寝たようですね。

 これなら音をさせずに起き上がればいいでしょう。

 そこまで難しい事ではありませんし、おそらくは気づかれないと思います。


 私はゆっくりと慎重に起きあがり、そしてなるべく音をさせないように動きます。

 そして地底池の部屋を出ると、胸を撫で下ろしました。


 「ふぅ……ここまで離れれば大丈夫でしょう。

 やれやれ、今までならこんな苦労もなかったというのに………」


 私がアッシュ殿から離れたのは簡単な事です。

 いえ、簡単というか難しい事なのですが、私に何故か付いている男性のアレがですね………大きくなったままなのですよ。


 流石にコレは鎮めないといけないのですが、今はなぜ男性の性欲がああも強いのかちょっと分かった気がします。

 コレを治めなければ寝る事も儘(まま)ならないなど……こんな体にでもならなければ知る事も無かったでしょうね。


 とにかくさっさと処理してしまいましょう。

 私とて五児の母でもあったのですし、当然男性を知らないような者ではありません。

 まあ、相手は神殿の者でしたし人間だったので、寿命が来てあっさりと死に別れましたけどね。


 その後は男性と結婚する事も無かったのですが、体の関係自体はそれなりの男性とありました。

 なので性を知らないような愚か者ではありません。

 が、男性のアレが付かないと男性の性欲は分からないのでしょう。

 ここまでだとはね。


 …

 ……

 ………


 「…………ふぅ。

 しかしアレですね? 玉が無いからか出るという事は無いようです。

 となると………私の体はあくまでも女性が主体。

 にも関わらずコレが付いていると。

 全くもって意味が分かりませんが、私の種族はどうなっているのでしょう?」


 本当に新種族なのかもしれませんが、そうなると私は新種族の原種という事になりますね?

 それはそれでどうなのかと思わなくもないですが、なってしまったものは仕方ありません。


 「仕方ないのはいいのですが、相手がどの種族なら妊娠出来るのかはサッパリですね?

 と言いますか、そもそも子供が出来るのでしょうか?

 出来ないなら出来ないで構わないのですが、分からないのが何とも…………おっと、まだですか。

 男性の性欲というのは本当に強いですね」


 ここまでとは思いませんでしたが、通りで若い頃の亡き夫が何度も求めて来たはずです。

 コレでは眠るのも大変でしょう。

 男性は楽なものだと思っていましたが、どうやらそうでもないようで……


 「まあ、今ごろ分かっても遅いのですがね。

 それはともかく本当に大変です。ここまでとは思っていませんでした。

 明日以降は大丈夫でしょうか? コレが続くとマズいです。

 毎日のように寝所から抜け出す訳にはいきませんし……」


 そんな事をしていたら何(いず)れバレるでしょうし困りました。

 が、今は考えを横に置いて、とりあえず完全に解消してしまいましょう。


 …

 ……

 ………


 完全に解消し終わった私は、地底池の部屋まで戻ってきました。

 今は寝ていた場所に再び戻ってきています。


 アッシュ殿は寝ていたようですのでバレてはいないでしょう。

 おかしな臭(にお)いもしませんしね。

 そもそも出る物が無いんですし。


 とりあえず治まったので楽になりました。

 なので寝てしまいましょう。

 明日は明日で何とかすればいいだけです。


 男性がアレの後で何だか投げやりになるのも分かりますね。

 なんかもう色々な事がどうでもよくなりました。


 それじゃあ、おやすみなさい。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:アッシュ



 昨夜はラフィル殿が寝ている部屋を抜け出していたが、何をしていたかは帰って来た時にすぐに分かった。

 なので私は寝たフリをし続けたのだ。


 流石に指摘するわけにもいかんからな。今の関係がおかしくなっても困る。


 ラフィル殿は理解していないのだろうが、女の発情した臭(にお)いがするのだから分からないはずが無いのだ。

 ラフィル殿は女であり嗅(か)ぎ慣れているからこそ気付かないのだろう。

 私は男だから簡単に分かるが、そういう意味では女性も自分の臭(にお)いには鈍感という事だ。


 それはともかく、私は下らない事など言わずに水の用意をする。

 食事は眠る前にとっているので問題無く、未だにお腹が空いたという感覚も無い。


 水の用意をして飲んでいると、ラフィル殿が起きた。


 「おはようございます。私にも水をお願いできますか?」


 「ええ、少し待って下さい」


 私は水を綺麗にする魔道具で水を入れていく。

 そこまで時間もかからず一杯分が入ったのでコップを渡し、飲むのを見つつ今日の予定を話す。


 「今日は他の階というか、上から二番目の階を重点的に探したいと思いますが………いいですか?」


 「ええ、構いませんが………一番上ではないと考えているのですね?」


 「それもありますが、一番上の階が出口に繋がっているという発想が間違っているのではないかと。

 上は元々あったか、後で拡張したのではないかと思いましてね」


 「確かにあり得ないとは言えませんね。

 どのみち外に繋がっている道を探すしかないのです。

 全て探すつもりで動くしかないでしょう」


 「ええ」


 出来れば早く見つけたいが、焦っての見落としが一番怖い。

 なので焦らず着実に探そう。


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