04-31-0156
Side:アッシュ
私は曲がり角の先の壺型モンスターに近づいたのだが、そこは曲がり角であり、そして横の壁から針が撃たれた。
曲がる方向は左であり、左手に盾を持って進んでいたからいいが、右だったら直撃していただろう。
やはり罠のような曲がり角があったようだ。
私はそちらの方に素早く向いて防いでいくが……
「「GYAN!! GYAN!!」」
どうやら今回は口伸び狼が2匹いるらしい。
私は盾を構えつつゆっくりと近寄って行き、ある程度の距離まで近寄るとタイミングを計る。
そして今だと思った瞬間、【身体強化】をして斧を投げた。
ドゴォッ!!
狙いを過たずに刃が直撃した口伸び狼は、頭に斧が突き刺さったまま吹き飛び倒れた。
私は素早く棍棒を取り出すと、後は針が飛んでこなくなるまで待つ。
そして終わったタイミングで攻めて来た口伸び狼に対し、シールドバッシュとカチ割りのコンボで殺害。
斧を回収する。
「斧を投げるかは迷ったが、上手く直撃してくれて良かった。
駄目なら強引にでも針が飛んでくる内に始末しなきゃいけなかったぐらいだ」
一対一だからこそ今まで怪我も無く勝ってきているが、2匹に増えると相当の不利を抱え込む羽目になる。
特に口が伸びて来る噛み付きは素早く力も強い。
あの噛み付きをを交互に繰り出されると、こちらとしては防戦一方にならざるを得ないんだ。
なので針で動けないうちに始末しておきたかった。
上手くいったのは良いのだが、毎回上手くいくとも限らないのがなんとも……杭で戦った方がいいだろうか?
アレも邪獄樹で出来ているようだし、耐久力は十分にあるはず。
それにアレの方が投げやすい。
「そうだな。投げるのは杭にする、か!!」
私は戻って壁の壺型モンスターを始末していく。
そして終わったら、新たに撃って来た方の壺型モンスターへと接近。
今度は右への曲がり角なので、私は右側を向いて盾を構えつつ左に移動する形で体を出す。
少し待っても針は飛んでこなかったので、壁の壺型モンスターを斧で殺害していった。
なかなかに厄介だが、それでも怪我をしてからじゃ遅い。
なので慎重に進むのだが、毎回コレだと疲れるな。
心の中で愚痴を言いつつも全て始末し、そして曲がり角の先へ。
すると階段を発見したが、その近くに地底池も発見した。
下の地底池もそうだったが、何やら草が生えているようなのだ。
色が分からないのでアレだが、食べられる物なのだろうか?
私は食べないが、口伸び狼が何を食べているのか気になったので少し考えてしまった。
おそらくこの草か、それとも壺型モンスターを食べているのだとは思う。
その割には針を飛ばされて悲鳴を上げていたが………本来なら口伸び狼には針を撃たない?
「少し前に邪気で生きていると考えた事があるが、同じ邪気で生きている者には危害を加えない。とかか?」
どうしても口から言葉が出てしまうが、モンスターも居ないので大丈夫だろう。
むしろまだモンスターが居た先程の方が危険だ。
その割にはモンスター達は私の言葉が聞こえても気にしていない感じだった。
アレはなんだろう?
「耳が聞こえていないって訳でもないし、声が出せないという訳でもない。
現に私に対して吠えていた以上、言葉というか合図ぐらいはあるはずだ。
ならば普通に耳は聞こえていないとおかしい」
耳が聞こえないなら、そもそも声を上げる必要も無いのだ。
にも関わらず声を上げているという事は、普段から使っているということ。
なら聞いた事も無い音に警戒するのが普通のはず。
その割には警戒していたような感じは無かったし……変なモンスター達だな?
こんな場所にいるからこそ、モンスターもおかしな事になっているのだろうか?
水を綺麗にして飲みながら休憩をし、下らない事を考えつつ休む。
もちろん周囲の警戒はしているが、階段から下りて来る以外にモンスターから襲われる可能性は低い。
アースワームとかいうアレが突然出て来る可能性もあるが、ここは大半が石なので来るのは難しいだろう。
少し休憩した後、立ち上がった私は階段を上って行く。
次の階層も緊張感を持って進まないといけない。
そう思って進んで行くと、上の階は通路一本だけだった。
モンスターも居ないので私は盾を構えて歩いて行き、そしてその先にあった階段を上がる。
すると、地面の感触が変わった。
ザッ、ザッ
「これは明らかに土だな? となると石の層を越えて土の層までやってきたのか。
出口は近いと共に、もしかしてここは山の中? 鉱山の時と似た感じがする」
何と説明すればいいか、雰囲気というか臭いがそれっぽい感じなのだ。
だからおそらく間違ってはいないと思う。
とはいえまだまだ地下が続く以上、気合を入れて頑張らないとな。
ここからは先程までと違っており、どんなモンスターが出て来るかは分かっていない。
それだけに緊張感と集中力を持って進もう。
新しい場所だと喜んでもいられない。
私は気合を入れつつ盾を構えて歩みを進める。
するとすぐに生きている者を発見したが、それは天井に居るコウモリだった。
そのコウモリは私を見つけたのか飛んできたが、口伸び狼よりは圧倒的に遅い。
なので飛んでいるコウモリを【身体強化】を使った攻撃で叩き落とした。
その一撃であっさりと死んだが、コウモリ自体はそこまで強くはならないだろう。
もし強いならその分だけ体が大きく重いだろうし、そうなれば飛ぶ事など出来ない。
つまり飛べるという時点で、そこまで強い体は持てないはずだ。
私は6匹いた全てを叩き落として一休みしていると、大きな鼠が現れた。
モンスターかどうかは不明だが、私の方を気にしつつ頻りに落ちているコウモリを見ている。
つまりコウモリが食べたくて仕方ないのだろう。
どうするか………と思っていると、突然地面からアースワームが飛び出してきて鼠を咥える。
そして鳴く鼠を無視して噛み付き、何度も噛み付いて口の中で潰す。
その後に飲み込んだようだが、その様子は見えていた。
そのアースワームは私の方を窺っているので、おそらくコウモリを狙っているのだろう。
ネズミの次はミミズかと思いつつも、コウモリが終わったら私を狙ってくるのは考えなくても分かる。
なので私は盾を構えて突っ込む。
アースワームは私に対して口を八つに開いて噛み付きにきた。
それに対し私は盾で防ぎつつ押し、相手の口を出てきた穴をより後ろにやると、出てきた穴と繋がっている胴に斧を振り下ろす。
その一撃でアースワームの体は切られ、体液を派手に撒き散らしていく。
私に少し付いたもののバックステップで離れ、盾を構えて警戒する。
切られたミミズの上半身はウネウネと動き回っていたが、最後には水分を失くして縮んだ後に動かなくなった。
おそらくはこれで勝利だろう。
私は「ふーっ」と息を吐きつつ周りを把握し、モンスターが居ない事を確認してから進む。
それにしてもモンスターが多いな。
そこまで強くないものの、ここからは敵が増えるかもしれない。
面倒だなと思いつつ先へと進もうとすると、凄い音と共に何かが接近してきた。
ドドドドドドゴッ、ドタン!
私はすぐさま盾を構えて様子見をすると、通路の奥からやってきたのは触手が大量に生えたキノコのような者だった。
どうやら元女官で間違いないようだが………
「EVGNHNWRBRBRTHNE!!!!」
その元女官は凄い速さで近づいて来ると、触手の先端を八つに分かれさせ、地面で死んでいたミミズを喰らい始めた。
私は今の内に攻撃するべきかと考えたが、まずは声を掛けてみねばと思い出し、無駄だろうと思っていても確認を始める。
食事をしている相手に。




