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04-20-0145




 Side:アッシュ



 (殺して……殺して………殺して)


 「どういう事だ? なぜお前は死を望む?

 説明をしてくれ、訳が分からない」


 (私達は邪神様の加護を持つ、故に生贄。

 だから邪神様の欠片に耐えられた。

 でも、その所為で異形の姿になり意識が……)


 「という事は、まさか貴女は邪神の女官!?

 邪神の欠片とは<混沌の種>の事だな?

 それを無理矢理に使われたという事か」


 (あいつら、私達に無理矢理に。

 その実験の成れの果てが私達であり、その後も多くの実験がされた)


 「なんという奴らだ、腐りきっている!!

 こんな事が許されていいはずがあるまい!!!」


 (殺して、私達はもう疲れた。

 あなたの目を切ったのは謝る。でもあなたの力は普通の者の力じゃない。

 いつも感じていたからこそ分かる。あなたの力は小さいながらも邪神様の力。

 なら私を殺して、そして私の中の力を持って行って)




 「…………ぐっ………うぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」


 ドゴォォォォン!!!!


 私は見えていない目で見えている、先程見た奇怪(きっかい)な怪物の頭を正確に全力で潰した。

 まさか邪神の女官が殺されたのではなく、本当は実験に使われていたなど。

 そして異形のバケモノに変えられて今も生きているなど知らなかった。


 もちろん大半の者は知らないのであろうが、まさかこのような腐った事をやるのが神殿だったとは。


 たとえ神が許そうとも、私は絶対に許す気など無い。

 必ずや相応しい罰を与えてやるぞ。

 覚悟しておけ!!!


 私は自らの中にある憤怒をそのままにし、そして邪神の女官の果てにナイフを突き立てた。

 あまり良い事では無いが、それでも中の<邪神の欠片>を出さねばならん。

 私は出来得る限り傷つけずに取り出し、そして全てを吸収した。


 ドクンッ!!! ドクンッ!!! ドクンッ!!!


 心臓が爆発するかのような鼓動を繰り返すが、しかしそれもある程度で治まった。

 私の見ないのに見えている目。

 <内なる目>とでも呼ぼうか、その目の範囲が広くなったのと、それと気配が感じられるようになった。

 なんとなくの場所に何かが居るというぐらいだが、それでもコレは助かる。


 <邪神の欠片>を吸収すれば力が増すのであれば、やはり私は邪神となんらかの関りがあるのだろう。

 ここに飛ばされたのは良かったのかもしれん。


 奴らはここをゴミ捨て場だと言っていた。

 おそらくは他の変えられた者達も居るはずだ。

 ならば私はその者達を殺す事で助けよう。

 死という救いを与える。


 そう決意し、私は落としたランタンを拾うと、火を消してから異空鞄へと入れた。

 女官の死体をどうするかと思い、困って触れると突然光って驚く。

 しかし光の中で女官の死体はサラサラと崩れて消えていった。

 おそらくは浄化の女神が何かしらをしてくれたのだろう。


 私は浄化の女神に感謝を祈り、それが終わると再び歩き出す。

 今は目が切られていて見えないが、しかしその目で見る必要は無い。

 <内なる目>で見れば見えるのだから、わざわざ切られた目を使う必要など無いのだ。


 私はランタンを使っていた時より安心して進み、それぞれの場所を確認しながら進む。


 「何かしら食べられる物でもあればいいのだが………無いか。

 怒りは未だに腹の底で燻(くすぶ)っているし、これが無くなる事はないだろう。

 しかし生き残る事もまた考えねばならん。

 奴らに罰を与える為にも、必ずや脱出せねば」


 私は今一度気合を入れ直し、怒りを燃やしつつも冷静であるという状態に落ち着いた。

 そうして歩いて行くと、再び<邪神の欠片>を持つ存在を発見。

 私はその者に話しかけてみたのだが……


 「PITGREDFFBGTHYYTYHETG!!!」


 ピュンッ!!!


 いきなり鞭のような腕? を振って攻撃して来た。

 その後も何度か話しかけてみるのだが、全く返事は返って来なかった。

 もしかしたら完全に狂っているのかもしれない。


 私は会話をする事を諦め、<邪獄樹のタワーシールド>で鞭を防ぎながら接近。

 ブルーオーガの全力で<邪獄樹の棍棒>を振り下ろした。


 ドゴォン!!!


 その一撃で頭が潰れた敵は即死。

 どうやら上手く一撃で殺せたようだ。


 長く苦しめる気は無い。

 そして治してもやれない以上は、最速で命を奪うのが一番彼女達にとっての救いだろう。

 私は浄化の女神に祈りながら女官だったであろう者の死体に触ると、みるみる体が崩れていった。


 そして<邪神の欠片>だけが残ったので、私はそれを吸収する。


 ドクンッ!! ドクンッ!! ドクンッ!!


 ステージ4よりも明らかに女官達の持っていた<邪神の欠片>の方が強い。

 それだけ強い力を秘めているのだろうが、それはつまりステージ4を超えているという事になる。

 彼女達をステージ5と定義しても、そんな者を実験で生み出した畜生どもがいるのだ。

 しかも神に仕える女官を使って。


 再び憤怒が腹の底から噴き上がってくるくるが、それを無理矢理に抑えて進む。

 それなりの距離を歩くと上に上がる階段らしき物があった。

 不思議だとは思うが、そうなるとここは掘られた洞窟という事になるな。


 私は一度最初の場所に戻り、今度は行っていなかったもう一つの方の道へと向かう。

 こちらはまだ調べていなかったので先がどうなっているのかは分からない。

 こちらにも女官が居て、先程のが出口に繋がっている場合は忘れる事になる。

 それは駄目だ。


 そう思いながら進んで行くと、先には広い部屋みたいになっている場所があった。

 そしてそこには大量の邪獄樹が捨てられていた。

 元は何かだったのだろうが、全て破壊されている所をみるに像か?

 あそこで見た邪神の像が捨てられているのかもしれない。


 私が祈りつつ触れると、それらはボロボロと粉の様になって消えて行った。

 それと共に魔力が減少している事に気づいたが、もしかしたらこれは加護の力による物なのかもしれない。

 私は浄化の女神に祈りつつ消していっていると、一番下には棒が一本あった。


 いや、よくよく確認すると杭だ。

 いったい何故こんな所に杭があるのか分からないが、何故かこれは消えずに残っている。

 私は妙に長い、2メートルぐらいの杭を持って行く事にした。

 もしかしたら武器として使えるかもしれないし、最悪は投げてもいいだろう。


 おそらくは邪獄樹を使っているのだろうし、それなら十二分に突き刺す武器としては使える物だ。

 私は手に入れた杭を杖の様にして使いつつ、邪獄樹が捨てられていた場所を丁寧に確認していく。

 結果、これ以上は何も無いようなので進む事にした。


 像を壊したという意味でもゴミ捨て場と言っていたのかもしれない。

 いや、色々な意味で“ゴミ捨て場”なのだろう。

 再び憤怒が湧き上がって来るが、それでも抑えて歩き出す。


 階段まで戻って来た私は、その階段をゆっくりと上がっていく。

 上に何が居るかも分からないし、階段が滑りやすいかもしれない。

 慎重に上って行った私は、上の階の入り口付近を調べる。


 (階段のある部屋は特に異常なし。

 もしかして、ここは相当に深い場所なのか?

 モンスターすら居ないというのは、彼らにとっての食料すら無いという事を意味している。

 多少の<焼しめたパン>はあるが、それを食べていると、すぐに食料が無くなるだろう。

 水も含めて困った事になった)


 そう思いつつ進んで行くと、何やら焚火? のような事をしている存在を発見。

 しかし、あれはいったい………


 「ITERGTTY? FGNHTEBR。

 ………ゴホ、ゴホっ! あーあー………聞こえるかな?」


 「え? ええ、聞こえます。

 聞こえますが貴方はいったい………」


 「私は旅をしている者だ。色々な旅をね。

 それはともかく君は………目を怪我しているのかい?

 その割には普通に歩いて来たような……」


 「色々とありまして………っと、私の名前はアッシュです。

 貴方は?」


 「私はリビョルシエヌラトモエド。

 ………って、君の言語だと言いにくそうだね。

 リビと呼べばいい」


 「はあ………リビ殿は今、私の言語と言いましたが、それはいったいどういう事で?」


 「うん? ああ、なる程。この星ではまだ理解されていないのか。

 私は君の言語でいうところの神だと言えば分かるかな?

 実際には高位次元存在なのだがね」


 「は? ………神様?」


 「そうだとも。

 ああ、敬うのは無しで。そういうの面倒臭いから」


 「ええっと……分かりました」


 目の前に神様が居るとは………いや、訳が分からん。


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