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03-31-0111




 Side:アッシュ



 甲殻を外し終わった私は鞄に詰め込んでいく。

 そして残った死骸の中から<混沌の種>を取り出して確認する。

 するとやはり王都の地下で見た、小さいながらもおかしな色の<混沌の種>と同じ物だと分かった。


 「やはりステージ3だな。

 ここから大きくなるとステージ4なのだから、これはステージ3と4の間ぐらいか?

 ま、さっさと消してしまおう」


 そう言って私はステージ3後期とも言える<混沌の種>を吸収する。

 やはり何らかの効果があるのか、私の体が少し活性化された。

 最初に感じた時は大きく感じたものだが、実際にはそこまで大きく活性化されているわけじゃない。

 初めてだったから余計に強く感じたのだろう。


 それでも体が活性化され、感覚が鋭くなっている事に変わりはない。

 そして今までよりも体が思い通りに動くのも間違いないのだ。


 それに………目や耳が良くなっている気もする。

 鼻は元々だが、目や耳も変わっていると思う。

 あくまでもなんとなくだが。


 「本当に<混沌の種>が消えた………。アッシュは大丈夫なのかい?」


 「何の問題も無いな。

 そもそも何故か私に触れていると消えるのだが、その理由も全く分かっていないのだ。

 <邪獄樹の棍棒>を持っても問題ない事から、私は触れている物を浄化するのではないかと思われるらしい。

 あくまでも予想であって本当かどうかなど分からないが」


 「まあ、<混沌の種>に触れたら消せるっていうのも意味が分からないしね。

 そんなのはアッシュだけなんだから、誰もその理由までは分からないだろ」


 「一説には邪神の生まれ変わりとも言われておるの。

 邪神とは邪気を集める神で、その御蔭で<混沌の種>が下界に撒き散らされずに済んでおったらしい。

 だが邪神は邪気の重さに耐えられぬようになり、結果として神々にその身を砕かれたそうだ」


 「私もそれは聞いた。

 神々も砕きたくなどなかったそうだが、それしか邪神を救う方法は無かったらしい。

 結果として邪気を集める神である邪神が居なくなったのが、今の我々が生きている下界なのだそうだ。

 私に言われても困るがな」


 「そりゃそうだろうさ。

 いきなり神の生まれ変わりとか言われても、言って来たヤツの頭がおかしいと思うくらいじゃないかい?

 そんなヤツの話なんて聞く気にならないしね。

 唯の詐欺師だと思われて終わりだよ。……あのパワーと肌の色を見てなければね」


 「私は【身体強化】をすると肌の色が変わる。

 それは伝えたが、アレはパープルオーガと呼んでいる形態だ。

 私は自分の種族が何なのかを知らないが、オーガだサイクロプスだと闘技場で言われていた。

 なので最初の【身体強化】である肌が赤くなるのをレッドオーガと呼んでいたんだよ」


 「それで紫のアレをパープルオーガと呼んでるのかい。

 とはいえオーガ族の体が【身体強化】で赤くなるなんて事は無い。

 となるとサイクロプスかと思うけど、アッシュの目は2つだ。

 この時点でサイクロプスはあり得ないね」


 「結局はアッシュの種族が分からんというのと、分かる意味もあまりないという事じゃ。

 本当に邪神の生まれ変わりなら、そもそも種族を考えたところで無駄でしかなかろう」


 「確かにね。

 それで………このロックセンチピードの死骸、どうする?」


 散々倒してきたのが散らばっているが、コレの掃除は後だ。

 やらなきゃいけない事がある。


 「コレの掃除は後にしよう。

 それよりロックセンチピードの巣になっていた場所には先があった。

 そっちへと行こう」


 そう言って私は先へと進んで行く。

 実はチラリとだけ見えていたんだが、ロックセンチピードの巣の先にストーンゴーレムが見えていた。

 それもおかしな色のストーンゴーレムが。

 おそらくはアレも………


 私達はロックセンチピードの死体がある空洞を歩き、そしてロックセンチピードの巣があった場所まで来た。

 そしてその先をランタンで照らすと………やはりチラリと見えたストーンゴレームがそこに居る。


 「コレはストーンゴーレムではない。

 まさかガーゴイルが居るとは思わなんだわ。

 しかもこの大きさと色、どう考えてもステージ3じゃぞ。

 じゃが先程とは違い、まだステージ3の初期じゃ。この大きさではな」 


 「ステージ4の後期って可能性は?」


 「だったらもっと意味不明で頭を狂わせる色をしておる。

 これの色はまだまだ弱い。

 見ていても先程よりおかしさは感じぬであろう?」


 「確かにそれはそうだね。

 さっきのは目が離せないようなおかしさが多少はあった。

 けど、コレからは感じない」


 「先程ので少し慣れただけかもしれんがな。

 それでも、この色でステージ4の後期という事は無い。

 今の内にこのガーゴイルも始末して<混沌の種>を消しておかねばならんな」


 「あたしは先程の戦いとは違って、全く役に立てそうにないよ。

 石じゃ火は効かないし」


 「ワシの【土魔法】も同じじゃ。効かせる事は出来るが、大して効かん。

 それよりもアッシュ、一気に攻めて後ろの翼を壊せるか? アレを片方でも壊せば飛ぶ事は出来ん。

 元々ここは狭い洞窟内だが、それでもあの翼を使われるのは鬱陶(うっとう)しいのでな。頼む」


 「了解だ。一気に行く」


 私はロッドン殿に言われた通り、翼を狙う事にする。

 飛ばずとも、アレを使って攻撃されれば面倒極まりない。

 なので先に壊しておく事には賛成だ。


 私はある程度離れた距離から戦いを始める事を2人に言う。

 そしてパープルオーガになると一気に加速し、3メートル手前辺りからジャンプ。

 そして空中で振りかぶり、ガーゴイルとやらの左の翼に全力で攻撃を加える。


 ドゴォォォン!!!


 「!?」


 ガーゴイルは喋れないのだろうが、攻撃を受けてすぐに動き出した、おそらくは余程にマズい攻撃を喰らったと思っているのだろう。

 慌てているような印象を受ける。


 「いいぞ、アッシュ。ガーゴイルの翼も十分な凶器じゃからのう!

 アレが開始すぐに片方無くなるだけでどれだけ楽か」


 「とにかく焦るんじゃないよ! ガーゴイルとの戦闘は腕や足を壊す事だ。

 いきなり胴体を狙っても上手くいかない! 気を付けるんだ!」


 「分かった! ありがとう!」


 ストーンゴーレムもそうだが、やはりまずは手足を潰して敵の弱体化を図らないといけないんだな。

 小さいといきなりの攻撃で完封できるんだが、このガーゴイルは大きい敵だから無理だ。


 ドスンドスン……ブォン!


 「おっと、そんな攻撃には当たらないな」


 「そうりゃぁッ!!」


 ドゴッ!!


 ロッドン殿の攻撃が足に当たったが、ガーゴイルはそれを無視して私に攻撃をしてくる。

 一撃で翼を破壊されたのが余程に腹立たしいのか、それとも危険視しているのか。

 どちらかは分からないが、ロッドン殿など完全に無視している。


 「ワシを無視するとはいい度胸をしておるのう。喰らえぃ!!」


 ドゴォン!!


 「!?」


 ロッドン殿が【身体強化】をしたのか、2度目の攻撃はかなりの威力だった。

 ガーゴイルの右足を攻撃したのだが、そのダメージが大きかったのかロッドン殿の方に向くガーゴイル。

 しかし私を無視してもらっては困るな。


 私達はガーゴイルを挟んでいた為、どちらかに攻撃しようとすると、必ず一方に背を向ける必要がある。

 そして隙を見逃す私ではない。


 「ぬん!!!」


 ドゴォン!!


 「!?」


 「うぉぉ!? 退避じゃーーっ!!」


 …………ドガーン!! パラパラパラパラ………


 ブルーオーガとなっての攻撃は、ロッドン殿の攻撃した場所と同じ所を正確に殴った。

 その御蔭もあり、ガーゴイルの右足を関節部分から粉砕。これで一気に流れはこっちになったな。


 後は胴体を殴って破壊してしまうだけだ。

 ここが丁度行き止まりであり、これ以上は空洞の中に何も無い。

 こいつが最後の敵でもある。

 とっとと終わらせよう。


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