↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/196

03-28-0108




 Side:アッシュ



 私達はジャネスがいう空洞の奥へと進んで行く。

 とはいえジャネスも奥がありそうな所を見ただけだ。

 先を確認したわけでもないので、果たして本当に先があるのかどうかは分かっていない。

 なのでこれから調べる必要があるのだが……


 「どうやら普通に先があるな?

 ここからロックセンチピードかストーンボールは来ていたんだろうか?

 それとも偶然にどこかから出てきたか」


 「最悪はアースワームの巣があったという形じゃの。

 ワシなら即座に逃走するが」


 「そういやアッシュもロッドンも打撃系の武器か。

 一応短剣なんかは持っちゃいるけど、メインの武器が打撃系じゃねえ。キツいと思うよ。

 あたしが左手を使えるなら問題なかったんだけど、今は無理だし。

 こう見えて、あたしは一応<剛槍のジャネス>と言われてるんだよ?」


 どうやらジャネスには二つ名があったらしい。

 そして、それを聞いて納得するロッドン。

 どうやら聞いた事があったみたいだ。


 「ジャネスと言う名に聞き覚えがあったのじゃが、そなた<剛槍>だったのか。

 わざわざ鍛冶師に特注の槍を作らせた者がおり、総鋼鉄製の槍を振り回す女がおると聞いた事がある。

 まさかその<剛槍>が今や左手が使えんとはのう」


 「情けない話だけどね。

 それでも槍が使えないなんて、あたしが一番納得できないのさ。

 まるであたしがあたしじゃなくなっちまうみたいで、どうしても許せないんだよ。

 だから仲間に「剣を使えば?」とか言われたけど拒否して解散したんだ」


 「お前さんのチーム解散したのか。

 鉄級の上位チームとして有名だったと聞くが、二つ名持ちが離れたのは大きかろうな。

 主力が抜けた事になる」


 「自惚(うぬぼ)れじゃないけど、あのチームはアタッカーにあたしが居るから成り立ってた部分はある。

 だからよっぽど良いのを入れないとキツいだろうね。

 あたしが自分の代名詞である剛槍でなんとかしてきたんだし」


 その話の最中に何かが蠢(うごめ)くような音が聞こえてきた。

 それも「カツカツ」という音が何重にも重なっている感じで聞こえる。

 音自体あまり聞かない音なので不思議に思いながら進むと、そこには絡まりながら大量に蠢(うごめ)くロックセンチピードの群れが居た。


 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?!?!」


 ジャネスが絶叫を上げて逃走したものの、それに気づいたロックセンチピードがこちらに向かってくる。

 その光景は私をして嫌だと思える程だったので、ジャネスが絶叫を上げて逃げるのは分からなくもない。


 どのみちこの場のロックセンチピードは殲滅する他なく、私達は倒す必要がある。

 私は腕盾を構えながら待つと、すぐに群れたロックセンチピードと接敵。

 噛み付きに来たので【身体強化】を使って殴りつける。

 すると「ドガッ!」という音と共に左に飛んでいった。


 絡まっている連中も丸ごと飛んで行ってくれる為、私は後ろから来る敵に集中。

 既に<邪獄樹の棍棒>は振り抜いた状態から戻していたので、いつでも攻撃できる。

 再び数匹絡んだが噛み付きに来たので、私は頭を殴りつける。


 ドゴッ!


 「アッシュ。ここはワシも加勢するし、ゆっくりと下がりながら戦うぞ。

 この数で一気に攻めてこられたら勝ち目がない。

 幸い統率者はおらぬようなので、下がりながら戦えば入り口までに殲滅できる」


 「了解だ!」


 私は後ろに下がりつつもロックセンチピードを殴りつけていく。

 上手く2匹ほど巻き込めればいいが、大抵は1匹だけだ。

 それでも1匹が飛ばされると、他のロックセンチピードも引っ張られるので、攻撃後の隙を狙われる事は無い。


 それにしてもロックセンチピードが絡んでいる、このムカデ団子。

 思っている以上に厄介であり、簡単に数が減らせそうにない。

 ロッドン殿が下がりながらと言うくらいだからな、それだけ減らしにくいのは仕方ないんだろう。


 私とロッドン殿はゆっくりと下がりつつも、1匹1匹を確実に殴りつけて吹き飛ばす。

 それで死亡していくのだから、確実に数は減らせている。

 問題は空洞以上に後退すると、2人並んでは戦えないという事だ。


 普通のロックセンチピードは、一瞬の強化で十分に殺せる程度でしかない。

 なのでそこまで魔力も消費しないのだが、数が多いので殲滅までに時間が掛かる。

 流石に魔法が使えない私は、1匹ずつ着実に殺していくしかない。


 こんな事ならマーヤに【魔術】を習っておけばよかったが、一朝一夕で使えるようになる物でもないなと思い直す。

 なので、ここでの戦いには間に合わなかっただろう。


 素早く敵を殴っては、その振り切った棍棒をすぐに戻しつつ下がる。

 それを繰り返す事で敵の数を減らしながら、私とロッドン殿は空洞の入り口付近まで来た。

 それでもまだまだ来るのだから、どれだけロックセンチピードも繁殖していたんだ?


 「ロッドン殿。先に空洞の入り口に入ってくれ!」


 「すまん、アッシュ。ワシは先に下がらせてもらう。

 流石に腕が上がらんようになってきたわ。虫を捨てたりで疲れとったらしい」


 ロッドン殿はそう言うと、空洞の入り口から坑道の方へと行ったので、私は素早く空洞の入口へと後退。

 ここで通さないように立ち塞がる。

 そうする事によって、ロッドン殿を狙っていたロックセンチピードを後ろに通さないようにした。


 立ち塞がっている私に噛み付きにきたものの、私はソイツをブン殴ってから後退。

 少し下がったら、また待ち構える。

 何度繰り返したか分からないが、それでも敵を殲滅するまで続けるしかない。


 再び気合を入れて覚悟を決めた私は後退しつつも着実に殺していく。

 坑道だと壁に叩きつけられるからか、確実に死んでいるのがよく分かる。

 今までのは吹き飛んでしまう為、死んだのか気絶したのかの把握が出来なかった。

 そんな事をしている余裕も無かったので余計だが。


 しかし、今は壁に叩きつけられているのが見えるので分かりやすい。

 ついでにそいつに絡んでいたヤツが離れ、別の奴らに絡んで行くのも見える。

 まだまだ終わりそうにないな。


 「まだ絡んでいるムカデ玉があるから終わらないが、いったいどれだけ居るんだ? そして何故これだけの数が維持できる?

 モンスターといえども全く食わずに過ごすなんて無理だ。

 となるとこいつらは何かを食べていたわけで……」


 <悪食>を喰っていたとしても、アレだけの量の<悪食>が居た。

 もしかして<悪食>の増える量の方が、ロックセンチピードが奴らを喰うよりも早かったのか? だから増える一方だった。

 そう考えると、一応辻褄は合うな。


 本当の所は調べないと分からないのだが、そんな事などしていられないので殲滅だ。


 なんとか頑張って後ろに下がりつつも殺しているが……打ち止めか? ムカデ玉が2つにまで減っている。

 残りが少ないなら何とかいけるか。


 私は更に気力を奮い立たせてロックセンチピードを倒していく。

 統率者が居ないのは助かるが、それは先に倒していたからだというだけだ。

 むしろ先に出て来てくれて良かった。

 この量と一緒に出て来たら、致命的な傷を負っていたかもしれない。


 それが無かっただけでも、幸運だったのだろう。

 結構な疲れを感じているが、それでも死にかけるか死んでしまうよりは遥かにマシだ。

 疲れるだけで済むのであれば、誰だってそちらをとるだろう。


 後ろに下がりながらロックセンチピードを倒していると、ロッドン殿とジャネスが戻ってきたらしく声が聞こえてきた。


 「すまない、アッシュ! あまりに悍(おぞ)ましくて気づいたら逃げてた!」


 「アッシュ、ようやくジャネスを捕まえる事が出来たわい。

 【火魔法】なら一気に殲滅出来る!」


 「残りはそこまで残ってないが、私も疲れた。

 なのでジャネス、頼む!」


 「任せときな。

 逃げちまった分は、きっちりお見舞いしてやるよ!!」


 私がロックセンチピードを殴ったタイミングで、ジャネスが横から前に出た。

 どうやら【火魔法】を使うらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。