第3話:『塔と中二と再誕フィールド』
ログイン即爆発、NPCに求婚、そしてプレイヤーから強制パーティ……。
シンは、初日から続く地獄のような日々に、早くも心が折れかけていた。
そんな彼の前に、中二病全開の「塔」のタロット、不破ミツルが現れる。
タロット同士の出会いは、新たなクエストと、さらなるカオスを呼び起こす!
翌日——
御神楽シンは、ログイン直後に爆発し、NPCにプロポーズされ、プレイヤーに恋人認定され……と、たった一日で三重の社会的死を経験した。
「俺、これ本当にゲームなんだよな……?」
現実の疲労がログアウト不可の仕様とともに蓄積し、脳内では“リセット”の2文字がちらついていた。
だがそれを阻むかのように、神代レイは無言でポーションを投げつけてきた。
「ほら、黙って飲め。次、クエスト受けるわよ」
「……まだ何かあるのかよぉ……」
あった。
しかも、ログインボーナスの如く地雷臭がする内容である。クエストボードにはこう書かれていた。
《新規マップ開放:再誕フィールド》
《対象プレイヤー:愚者(The Fool)・塔(The Tower)》
《任務内容:タロット交錯区域の調査と対話イベント》
「塔って誰だよ……あれ、なんか空間揺れてね?」
レイの隣、空気が裂けるように空間が歪んだ。
地面に巨大な塔型の魔方陣が出現し、そこから現れたのは——
「——我が名は、不破ミツル。塔を背負いし、再誕の観測者なり!」
銀髪に片目を隠した中二病全開の少年。左右非対称のコートに身を包み、両手には禍々しい魔導具。背中には“塔”のタロットが浮かんでいた。
「ちょ、お前どっから出てきた!? てかなんで爆発してるんだよ!?」
「これは“塔の現出”。世界が我が存在を理解するための咆哮だ……ふっ」
「中二病ってレベルじゃねぇぞ!?」
「黙れ、愚者。選ばれぬ者のくせに、混沌を招きし因果とは……」
「何言ってるか分かんねえけど失礼なこと言ってるのは分かったわ!」
ミツルの登場と共に、クエストログが強制更新される。
《イベント進行条件:対象者の相互理解》
《再誕フィールドへの強制転送を開始します》
《対象:愚者・塔・恋人(巻き添え)》
「え、まさか転送って……あれ!? 足元光って——」
「おい! 俺はともかく、なんでレイまで巻き込まれてんだよ!?」
「選択肢がないからに決まってるでしょ」
「そんなに当然のことみたいに言わないでくれ!」
突如、三人の身体を白い光が包み込む。
瞬間、耳鳴りのような音とともに景色がぐにゃりと歪んだ。
—再誕フィールド。
そこは、既存のマップとはまるで異なる異空間だった。
空は赤黒く濁り、崩れかけた巨大な塔が無数に突き刺さっている。空間全体にノイズが走り、時折、空そのものが“読み込みエラー”を起こしたかのようにバグりかける。
「おい、ここ絶対バグってるだろ!? 運営案件じゃんこれ!」
「違うわ。これは“選ばれし者の試練”ってやつよ」
「お前もだいぶ毒されてきてないか……?」
だが、ここで逃げることはできない。マップからのログアウトも不可能。足元には“調査開始”のカウントダウンが表示され、ミツルが得意げに腕を組んだ。
「ふふ……ようこそ、混沌の交差点へ。愚者よ、我らの因縁はここから始まる」
「いや、まだ会ったばっかだろ!?」
こうして、愚者と塔、そして巻き添え恋人による、最も理不尽な初クエストが、いま始まろうとしていた。
中二病の「塔」ミツルと、巻き添えを食らった「恋人」レイと共に、バグだらけの異空間「再誕フィールド」に転送されてしまったシン。
彼らはこの理不尽なクエストをクリアできるのか?
そして、この世界で一体何が起きているのか?
次回は、癒し系タンク「力」のタロット、陣内カエデが登場!
彼の筋肉が語り始める……!?
次回、『筋肉がしゃべるんですけど』、お楽しみに!




