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第2話:『NPCが俺にプロポーズしてくる件』

ログイン即爆発で指名手配され、必死に逃走するシン。


逃げ込んだ先で彼を待っていたのは、まさかの「NPCからのプロポーズ」だった!


さらに、選択肢を強制的に決定する“恋人”のスキルを持つプレイヤー、神代レイが登場。


混沌はさらに加速する!

「ログアウトできないんですけどぉぉぉぉ!?」


指名手配状態のまま草原を逃げ出した御神楽シンは、HPバーが点滅するのも気にせず全力疾走していた。


背後では町のガードNPCたちが、「愚者確保!」と叫びながら、規則正しい隊列で迫ってくる。


「いやいやいや、あの爆発は不可抗力だっての! 俺、スキルのこと何も知らなかったんだってば!」


だが、スキルログにはしっかりと“自動発動”の文字が記録されており、弁解の余地はゼロ。この世界では、ログがすべてを証明する絶対の証拠なのだ。


足元に罠らしき光が見えた。だが避ける暇もなく、爆音と共に草が舞い、シンは空中に跳ね上げられた。


「おのれ愚者……!」「即刻確保せよ!」


ガードたちの追撃を受けながら、シンは近くに見えた大きな屋敷へと転がり込むように突入した。


重厚な鉄製の門、彩り鮮やかな庭園、そして妙にキラキラした外壁。そこはどう見ても、庶民が足を踏み入れるには場違いな豪邸だった。


「失礼しますっ! 今、ちょっと命の危機でしてっ! しばらく匿ってくれるだけでいいんでっ!」


しかし、そこに立っていたのは——


ブロンドの巻き髪に、煌びやかなドレスを纏った少女。瞳は真剣そのもの。手には、何故かブーケ。


「御神楽シン様……どうか、わたくしとご結婚くださいませっ!」


「はぁあああああ!?!?!?」


脳内に衝撃が走る。爆発どころではない。だが容赦なく、システムログは追い打ちをかけてくる。


《スキル発動:愚者の連鎖》

《イベント変異:NPCの恋愛フラグ強制発生》

《NPC感情値:MAX》


「いやいや、どんなバグだよこれ!?」


少女の名はエリザ=ローズバレル。王都でも屈指の名門貴族NPC。サブクエスト終盤の“愛と誇りのシナリオ”でようやく仲良くなれる、高難度好感度イベントの筆頭だ。


「お初にお目にかかります。わたくし、運命を見てしまったのです。貴方が爆炎の中から立ち上がるその姿……それはまさに、愛の到来としか思えませんでしたの!」


「それ、絶対違うからな!? あれ爆発事故だからな!? ただのスキル誤爆なんだってば!!」


使用人たちがぞろぞろと集まってきた。祝福の言葉を口にしながら、シンの身体を測り始める者、婚礼衣装のカタログを広げる者、婚約指輪のサンプルを持ってくる者まで現れた。


「いやだから違うってば!! これはただの逃走中の一時避難で——あっ、ちょ、それ耳測らないで!」


《ステータス異常:愛されすぎ(解除不可)》

《新称号獲得:“貴族令嬢の心を射止めし爆炎の男”》


「冗談だろ……? これ、マジでイベント化してるのか……?」


その時だった。


「やれやれ、愚者にしてはモテるじゃないか」


冷たい声が響いた。


振り返ると、そこに立っていたのはひとりの少女。黒髪のポニーテール、鋭い視線。軽装のアバター装備。その背中に浮かぶのは、“恋人”のタロット。


「お前が“シン”か。神代レイ、って名前、覚えとけ」


「えっ、いやちょっと待って、今こっちが地獄真っ只中なんだけど!?」


「さっさとパーティ組むわよ。選択肢? ないわよ?」


そう言った瞬間、選択肢ウィンドウが現れる前に強制的に“はい”が選ばれる。


《強制パーティ結成:神代レイ+御神楽シン》

《スキル効果:選択肢自動決定》


「おい、なんだこれ!? プレイヤー間ですら自由がないのかよ!」


「“恋人”ってそういうスキルなの。諦めて」


こうしてシンは、

NPCの婚約者にされ、プレイヤーには恋人認定され、選択肢を奪われる——


まさに社会的死スキルの真骨頂を、全身で体験するのであった。


そして、ナレーションは言う。


「ここに一人の“愚者”が、愛と自由を同時に奪われたああああ!!」


「やっぱりお前が一番うるさいんだよおおおお!!」

NPCに求婚され、その場を逃げ出すことも叶わず、さらにプレイヤーにも選択肢を奪われる……。

最弱のはずの「愚者」のスキルは、シンの平穏を徹底的に破壊していくようです。


しかし、選択肢を奪う「恋人」神代レイとの出会いが、物語をどう動かすのか?

そして、次なる仲間は、中二病の「塔」!?


次回、『塔と中二と再誕フィールド』、お楽しみに!

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