3-59 ハク&孫1
オレの声を皮切りに、ハクと孫が動き出す。
ーー孫:HP115/130。
ーーハク:HP85/90。
「「ヴオォォォォォ!!」」
両名、同時に咆哮を放ちながらこちらに向かって駆け出す。ハクはジグザグと走りながらオレに向かって。孫は……一直線に紅狐と幼女の方向に向けて走り出している。
「獣ぉ!! 行かせるかぁ!!」
孫の進行方向に雷撃を放つ。しかし孫は避ける気配すら見せない。
(避けんだと……!? 一体何を考えーー)
「キィィィィエェェェェ!!」
孫は雷撃に向けて大声を放つ。すると何故かまた雷撃は弾かれたように、孫の背後へと着弾する。
「なにっ!?」
「へへっ! バーカバーカ!」
「バカはあなた。燃え上がれ、『狐火』っ!」
オレの陰に隠れ、紅狐が密かに設置していた『狐火』で大猿は燃え上がる。
「うぉぉぉぉぉ!? あっぢぃぃぃぃ!!」
「くだらんことをしてるな、孫!」
“ハク“が一声吠えたかと思うと、“孫“を包んでいた炎が跡形も無く消え去る。吠えで炎が消えるだと? どんな絡繰だ?
「“わたがし“、なかなか強い。」
「それはどうも、私はハクだがね。」
狐火の設置を警戒したのか、ハクは進行方向を紅狐に変えようとする。しかしそんなことはオレが許さない。
「馴れ馴れしく紅狐に近寄るな、痴れ者が!」
雷の槍を放ち、ハクが避けた先目掛けて帯電させた鉄パイプを振り下ろす。しかしハクも避ける気配は見せない。
(此奴もかーー!)
「ヴォン!!」
低い威圧のような吠えで、鉄パイプが弾かれたように戻される。そしてオレの隙を突き、ハクは前足に着けている苦無を牙や前足で抜く動作などを見せず、まるで苦無が勝手に動いているかのように動き、こちらに放つ。無論そのような直線的な攻撃が当たるわけもなく、鉄パイプで叩き落とす。
「当たらんわ!」
「当たらなくて構わん。お前の行動が制限されれば充分だ。」
「なにっ!?」
「オレサマが叩きのめすからなぁ!」
いつの間にか真横の至近距離に迫っていた孫が、爪を立てて振り抜こうとしている。クソ、先程のハクの攻撃は目眩しかーー!
「『攻の型、水龍』っ!!」
龍形態に戻り避けようと頭をよぎったが、幼女の技に驚き、回避するためハクと孫は一歩退く。
「すまん幼女。助かった。」
「わたしも戦うって言いましたから……!」
「あーちゃんナイス。ウー、もっと気をつけて。」
「……すまん。」
紅狐に叱られてしまった。なんと情けない。己の不甲斐なさに恥ずかしくなる。
「しかし……彼奴ら2人は厄介だな。先ほどから何を仕掛けてきているのかがさっぱり分からん。」
「確かに。“音“か“衝撃波“?」
「“振動“かもしれん。或いは音と衝撃両方かもしれんな。」
雷撃も鉄パイプも弾き、炎も消し去る咆哮。正体が未知数すぎて下手に攻撃に打って出るのが困難だ。
「孫。奴等の系統、雷と炎と水だ。」
「だな。やりにくい。」
それは相手も同様のようで、能力の当たりはつけられたが、決め手にかけるといった様子だ。
「孫。『アレ』を使え。」
「え〝? ハク様マジで言ってんの?」
「当たり前だ。早くやれ。でなければ此方がジリ貧になる。」
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