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無銘〜怪異に堕ちた僕達〜  作者: ミリな所持金(ry
第三章 二回戦
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3-58 猿、犬……?

 全身が真っ白な犬が大猿の傍らに鎮座する。前足にはグルリと巻かれるように苦無が装備されている。並んでいるところを見るに、あの大猿の仲間なのであろう。


「お、おせぇよ! ”ハク”!」

「単独行動するお前が悪い。だから『あの方』にも冷遇されるのだ、”孫(ソン)”。」


 新しく現れた大型の白犬。見た目の通り、名は”ハク”といい、そして先ほどからいた大猿は”孫(ソン)”という名らしい。猿に犬、この調子では雉も現れそうな勢いだ。


「ふん。獣(けだもの)が2頭に増えたか。」

「獣とは聞き捨てならんな。これでも知性を持ち以前は人間だったのだが?」

「そうだそうだ!」

「訂正しよう、1頭の獣と会話の通じる相手だな。」

「うむ。正しい訂正だ。」

「おい! オレが獣のままじゃねぇか!」

「貴様は獣であろう? 何か文句でもあるのか?」


 元々キツい目付きを更にキツくし、孫を睨みつける。すると孫はハクの後ろに隠れるように下がる。体格差で微塵も隠れてはいないが。


「ウー、もふもふ! もふもふだよ!」

「紅狐よ、もふもふだとしてもあれは敵だぞ。」

「飼おう!」

「……だそうだが?」

「お嬢さん、すまんが私は飼われるつもりはないよ。それに目的はこの大馬鹿だ。すぐにお暇しよう。」

「そんな……”わたがし”……。」


 紅狐、既に名前まで考えていたのか……。それにしてもわたがしとは言い得て妙だな。流れる毛並みは美しく、白と表現したが銀のように輝いても見える。


「プッ……! ハク、オメェ”わたがし”って名前にされてんぞ! ギャハハハハ!」


 紅狐の名付けを聞いた孫がハクの後ろでゲラゲラと笑い始める。非常に不愉快だ。


「獣ぉ……貴様、紅狐の名付けを笑ったな……?」

「えっ……!? いやぁそんなつもりじゃ……!」

「迎えに来てやったが図に乗っているようだな……置いて帰るか。」

「ちょ……! ごめんなさいハクさま! 置いていかないで!」


 会話から力関係を見るに、どうやらハクは孫よりも上らしい。見た目としては明らかに孫の方が強そうではあるのに、ハクの一挙手一投足に孫は踊らされている。そもそも犬と猿は仲が悪いのではないのか?


「……冗談だ。私まで『あの方』に叱られたくはないからな。」

「えっ、もしかしてオレ怒られるの確定してんの?」

「当たり前だろう、『あの方』の指示を無視した挙句敵に囲まれるなど失態以外の何物でもないだろうが。」

「やだやだ! ハクさま助けて!」

「知らん。」

「ほう。ではそっちの獣を締め上げて『あの方』とやらのことを聞かせてもらおうか。」


 度々挙がる『あの方』という者。恐らく此奴等のリーダーであろう。3vs2になってしまったのは予想外だが、やることに変わりはない。これ以上仲間を呼ばれる前に片を付けるまでだ。


「このバカ猿は喋りかねんからな。仕方あるまい。孫よ、力を貸そう。」

「ハクさま素敵! 感謝感謝!」

「……1ミリも感謝が伝わってこんのだが。」

「戯(じゃ)れ合うのもそこまでよ。こい! オレが相手をしてやろう!」

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