3-56 敵はどこ?
神への報告を終え、紅狐は実際に炎の大剣を召喚していた。小柄な彼女に不釣り合いな大きさの剣。武器の形としてはツヴァイヘンダーに近いものだろう。
「おー、かっこいい。」
「紅狐さんの剣、強そうですね!」
「……紅狐よ、それはちゃんと振れるのか?」
炎でできているため、重さは無いだろうが大きい分取り回しとして気になったので念のため確認をしてみる。
「ばりちょろ。」
ーーブォン!!
持ち手の部分を器用に調整して角度を変え、演舞のように振り回す。
「ほぉう……見事なものだ。」
「すごいです……。」
「まだまだ。」
そう言い、剣の切先を握ったかと思うと、剣が真ん中から2つにわかれ、今度は2本の短剣に変化する。なるほど、近距離1つとっても複数パターンを用意するとは流石だ。
「良いではないか。メインで使うのはどちらだ?」
「おっきい方。デカいは強いーーあっ。」
振り回している最中にオレが声を掛けたせいで集中力を欠いたのだろう。紅狐の手元から剣が両方ともすっぽ抜ける。そのまま目の前の雑木林に剣が吸い込まれる。
「ーーあっづうぅぅぅ!?!?」
剣が飛び込んだ先から大声が響く。草木をかき分け、声の主が姿を現す。
ーー大猿。
ーーそう表現するのが最適だろう。
体躯は2mを超え、全身は毛に覆われている。そしてサル目らしい爪と牙。全面が紅潮したような顔。どう見ても猿だが、大きさが規格外である。……耳の上、頭の一部がハゲているが。
「……やっちゃった。」
「紅狐、一本釣りだな。良くやった。褒めてやろう。」
「お猿さん、火傷しましたか? 大丈夫ですか?」
三者三様の反応を示す。オレとしては敵を釣り出したのだから良い働きだと思うが、紅狐と幼女は違うらしい。
「おいおいおい! 人様に火をぶつけるたぁどういう了見だ! ガキども! 火遊びなんてしてんじゃねぇよ!」
ただでさえ赤い顔を真っ赤にして“大猿“が叫ぶ。喧しい。キンキン耳に響いて不快だ。
「おサル、ごめん。」
「ごめんじゃ済まねぇだろうが! 何考えてやがんだ! オツムにいく栄養全部胸にいってんのか! このバカ女!」
「……おい類人猿。今紅狐に喧嘩を売ったか……?」
ーーバチバチッ。
ーー握る鉄パイプに電流を流し、大猿に問う。
「あん? なんだテメェーー」
「もう一度聞くぞ類人猿。今、紅狐に、喧嘩を売ったのか?」
「う、ウーさん落ち着いて……!」
「幼女、下がってろ。」
ーー1歩、前に踏み出す。
「な、なんだよテメェ……そっちから来たのになんでキレてんだよ……。」
「御託は良い。答えろ。答えねば……。」
ビュン、と鉄パイプを前へと振り下ろし、大猿に吠える。
「貴様を殺す。答えても次第では殺す。」
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