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無銘〜怪異に堕ちた僕達〜  作者: ミリな所持金(ry
第三章 二回戦
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3-51 ぬらりひょん

「止まりなぁ! 『絶破(ぜっぱ)』ぁ!!」


 狸の杖をガッチリと掴みながら、絶破を発動させて狸の足を地面に固定する。


「グヌッ……! 足が……!」

「捕まえたぜ……! これで見(・)え(・)よ(・)う(・)が(・)見(・)え(・)ま(・)い(・)が(・)関(・)係(・)な(・)い(・)よ(・)な(・)ぁ(・)?」

「小僧……まさかっ!?」

「そのまさかだよ! ウー! 殺(や)れ!」

「狗……!」

「早くしろ!」

「……すまん。」


 バチバチ、と音を立ててウーの周りに電流が走る。ウーの『轟雷(ごうらい)』の合図だ。


 ーーこれが俺の作戦。

 ーー俺が片付けるというのはブラフ。

 ーー敵(・)を(・)俺(・)ご(・)と(・)片(・)付(・)け(・)り(・)ゃ(・)い(・)い(・)。


「離せっ……! お主(んし)まで死ぬぞ!」

「それも織り込み済みだよ……! 1人じゃ寂しいだろ、一緒に逝ってやるよ!」

「や、やめんかっ! やめろぉぉぉぉ!」


 先ほどまでの威圧感も余裕さも無くなり、みっともなく騒ぎ立てる狸。まあそんなに騒いでも絶対に離さないけどな。


「ようやくいいツラ見せてくれたなぁ、爺さん。よく似合ってるぜ! 黄泉への旅路と洒落込もうぜ!」

「やめーー」

「ーー『轟雷』っ!!」

「ーー『鎌鼬』っ!!」


 ーー轟音が響く。

 ーー轟雷の痕には黒焦げの狸と俺。

 ーーあまりの威力に2人とも伏したまま動けない。


「これで……一回、戦線離脱か……。」

「……小僧……。」

「仲良く戦闘不能だな、爺さん……。」

「……。」

「狗っ!!」


 上空から降りてきたウーが人型に戻り声をかけてくる。狸の生み出した異形は全て煙のように掻き消えたようだ。


「おう……お疲れさん……。」

「莫迦者が……!」

「俺1人の犠牲で3人討ち取れたんだ、上々だろ……。」

「紅狐と幼女はどうする……!」

「……ウーが守るんだろ? ……信じてるぞ……。」

「……当たり前だ、だから早く戻ってこい……!」

「……おう。」


 ーー俺と狸の足元から粒子が舞う。


「カカッ……小僧共……本当に良い仲間じゃのう……。」

「そりゃ……どーも……。」

「儂とは……大違いじゃな……。」

「爺さん……あんた……?」

「朧げじゃが……また記憶を思い出したわい……。」


 狸はポツポツと断片的な自分の人生を語り始める。

 ……自身が裏組織の首領であったこと。仕事として人を殺していたこと。ある日側近に裏切られて瀕死になっていた時にここに飛ばされたこと。……そして、大事な孫娘が居たこと。


「顔も……名前も思い出せんが……無事じゃといいんじゃが……。」

「アンタとは……ちゃんと距離を取らせてたんだろ……?」

「分からん……。」

「今のアンタから察するに……多分以前のアンタならそうしてた……と思う。……なら生きてんだろ。」

「そうか……そうか。……なら……安心……じゃな。」


 ーーもう胸の辺りまで消えている。

 ーー残り時間はわずかだ。


「ウー……俺が戻るまで……絶対に紅狐とあーちゃんを守れよ……。」

「ああ……!」


 ーーそうして。

 ーー俺の意識は途切れた。



 ーー狗:HP0/80。

 ーー『絶破』ペナルティにより体力減少。

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