3-50 狗&ウー5
「ーー『百鬼夜行』。」
唯一聞き取れた言葉を認識した途端、狸の周りに朧げな、幻影のような異形の姿が現れる。サイズは小型〜中型とバラバラだが、その数は10はゆうに超えるだろう。
「なっーー!」
「……小僧共、儂が1人でおると思っておったじゃろ? これでも儂は妖怪の“総大将“が元になっておるからのう、これくらいは訳ないわい。」
“認識阻害“に“総大将“……? まさか……!
「爺さん、アンタ“ぬらりひょん“か!」
「カッカッカッ! その通りじゃ!」
ーーぬらりひょん。
いつの間にか家に入り込み、家の者に家主であるかのように認識させる。または自身が居ることを認識させないこともある妖怪。妖怪の総大将と例えられることもあり、実際に百鬼夜行を率いていたという話も伝承として残っている。
「……やっぱり大物じゃねえか……!」
「クカカッ! 他を片付けて、儂を最後に残しておいたのは正解じゃったが……捌ききれるかのう?」
「……知れたこと、何が来ようと関係ないわ!」
“ぬらりひょん“こと狸の杖の動きに合わせて、異形共は各々構えをとる。
「ーー進軍せよ! 蹂躙じゃ!」
狸の言葉を皮切りに、異形共が襲いかかってくる。空を飛ぶ者はウーの雷撃で撃ち落としてもらい、俺はウーと自分に近づく敵を鎌鼬で蹴散らす。大型の異形が居ないのは不幸中の幸いだった。しかし、狸から意識を逸らした途端、狸の姿が消える。この乱戦の中では、風で奴の場所を掴むのは難しい。
「ウー! 空に避難してくれ!」
「承知した! 貴様はどうする!?」
「俺が狸を見つけ出して相手をする!」
ウーの周りに風の壁を張り、ウーが上空へ行くのをサポートする。空飛ぶ異形はウーに向かっていったが、それ以外は俺に向かって突撃をしてくる。風の刃で足や首を刎ねるも、敵の数は一向に減る気配がなく、延々とこちらに攻撃を仕掛けてくる。
「ゴキブリ並みに大量に出てきやがって……! まとめて潰してやる!」
上空から空気の塊を地面に向けて叩きつけ、敵の動きを封じる。異形共は動きが止まり、今はウーの雷撃で数を少しずつだが減らしている。
「ーー隙あり、じゃ。」
……いつの間にか背後に忍び寄っていた狸が杖を大きく振り上げる。いいぜ、その攻撃食らってやるよ。ただ、それをしたが最後、お前も戦闘不能になるぜ、爺さん!
僧帽筋・鎖骨辺りに狸の杖が叩き込まれる。即殺レベルの攻撃じゃなくて助かったぜ。
「ぐぅ……! ……でも爺さん、これで詰みだぜ?」
「なにっーー!?」
「止まりなぁ! 『絶破』ぁ!!」
いつもお読みいただきありがとうございます。
つまらないと思いましたら☆1、面白いと思っていただけたら☆5評価をいただけると嬉しいです。いいねを貰えると執筆意欲が更に湧きます!
感想欄にてご意見もお待ちしておりますので、御指摘、感想をいただけると幸いです。




