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無銘〜怪異に堕ちた僕達〜  作者: ミリな所持金(ry
第三章 二回戦
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3-47 狗&ウー2

「『狡猾ナル者(スライ・ムーヴ)』。」


 ーー瞬間。

 ーー狸の姿が掻き消える。


「なにぃ……⁉︎」


 突然の光景にウーは動揺を隠せない様子だったが、キリコへのトドメの姿勢に入っているのでこれ以上の対応ができない。

 しかし、俺には爺さんが何をしたのか理(・)解(・)が(・)で(・)き(・)た(・)。


「ウー! 吹っ飛ばすぞ!」

「構わん! やれぃ!」


 強風を送り、ウーを上空へと押し上げる。ウーはその体勢のままキリコへ雷撃を繰り出したが、いつの間にかキリコの側にいた狸の杖によって妨害されてしまう。吹き飛ばされたウーは龍形態になり宙を漂う。すぐに側に駆け寄り、理解したことを伝える。


「ウー、端的に言うぞ。あの爺さん多分だけど認(・)識(・)を(・)阻(・)害(・)してやがる。」

「認識の阻害……?」

「ああ、姿は見えなくなってたけど風(・)の(・)流(・)れ(・)で(・)分(・)か(・)っ(・)た(・)。見えないだけでそこには居る。」

「なるほどな……。合点がいった。」


 ウーが体験した、意識を割いていたはずなのにそこに急に現れたり消えたりする現象。恐らくこの推察で間違いはないだろう。ウーも同感のようだ。


「おいおい爺さん! こそこそ隠れるくらい人様に見せられない人生でも送ってきたのか⁉︎」

「カカッ! 一回でバレてしもうたか! お主(んし)らは矢張り面白いのぅ!」

「狸ぃ……! 貴様はオレが屠る……!」

「姿も見えんのに、かの?」

「姿が見えなくてもやりようはいくらでもあるぜ、爺さん?」

「ほぉう……。それじゃあやってみせい!」

「言われなくともっ!!」


 狸の能力は複数を相手にしている時、もしくは対応策がない時は非常に厄介だが、今のウーには俺がいる。さっきまでは俺もウーも状況的に前に出ざるを得なかったが、タネが分かればこちらのものだ。

 まずは邪魔なキリコと菅笠から片付けるとしよう。


「ウー! 俺が攻め入る! フォロー頼む!」

「言われんでもやるわ!」

「……頼もしいぜ!」


 猛スピードで菅笠に近寄り、先に仕留める。狸はキリコの側に付いていて、距離が開いている今がチャンスだ。ウーの情報ならこの超近距離なら“空断剣(エアリアルスラスト)“は繰り出せない筈だ。


「ゼェア!!」

「『鎌鼬』っ!!」


 ウーの言う通り、菅笠は刀を振り抜くだけで技は繰り出さなかった。刀の振りに合わせて鎌鼬をぶつけて、体勢を崩す。


「ウー!」

「食らえぃ!!」


 ーードガァ!!


 体勢を崩し、ウーの放った雷撃を避ける間もなく菅笠は黒焦げの塊になる。念のため、鎌鼬をぶつけてしっかりとトドメを刺しておく。


「まず1人……!」

「あ、アンタぁ!! ……ガキどもぉおぉぉぉぉ!!」

「はっ! 山姥らしい様相になったではないか、売女!」

「ギィィィィィィ!! 殺すっ!!!!」

「ウー1人に返り討ちにあったのに、殺すは無理がありすぎるだろ婆さん。」

「煩い……! 煩い煩い煩いっ!!」

「ヒステリーとは醜いな、老婆。」

「確かに醜いのぅ。儂、コイツ助けるのやめようかのう。」

「狸ぃ! あたしらは仲間だろう⁉︎⁉︎」

「……仲間などと括るでない。あくまで協力関係なだけじゃ。」


 敵意にも近い視線をキリコに向ける狸。以前の通信で聞いていた通り、やはり根本的にキリコ・菅笠と狸は意識も性質も大きく異なるらしい。

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