3-46 狗&ウー1
俺とウーの前には例の3人がいる。“狸“、“キリコ“、“菅笠“だ。キリコと菅笠は正体も能力も分かっている。キリコはウーに任せて、俺が菅笠を抑えれば問題ないだろう。1番の難敵は……狸だ。コイツは能力も素性もわかっていない。警戒することしか選択肢はないが、妙な動きを見せたら対応できるようにする。
「ヒャハハハハッ!! いくよいくよイクよぉぉ!!」
「……参る。」
「カカッ! 昂るのは分かるが抜かるなよ!」
「こい、売女! オレが手ずから処してやろうっ!」
「モリゾーみてぇなお前! お前の相手は俺だ!」
ウーは上手く雷と鉄パイプを使い、キリコを翻弄している。鉄パイプに電流が流れているのを警戒してか、キリコの回避がかなり大きい。
一方、菅笠はキリコが離れたタイミングで技を繰り出そうとしている様子だったが、俺が適宜入れている妨害のせいで上手く攻撃できないでいるようだ。
狸は周りを縦横無尽に駆け回っている。こちらの警戒が薄れた瞬間を狙っているのだろう。背後を取った時に攻撃をしてきているが、俺には通じない。風の流れで位置は把握済だ。
「ギィィ……! 鬱陶しい男になったねぇ、小僧ぉ!」
「はっ! 言ったであろう、貴様程度相手ではないと!」
「『空断』ーー」
「『鎌鼬』っ!!」
「⁉︎ 小癪な……!!」
「クカカッ! 手玉に取られておるのう!」
「笑ってんじゃないよ、狸! アンタも手伝いな!」
「……キリコ、今、儂に命令したかの?」
怒ッ、と狸からのプレッシャーが増す。あまりの気迫に全員が一瞬動きを止めてしまう。
「ち、違うよぉ、あくまで協力要請さぁ!」
「……言葉には気を付けんとのぅ、背後からバッサリ、なんてことになるのは嫌じゃろう?」
「……狸、落ち着いてくれ。」
「焦っておるのはお主らじゃろう。儂は少し腹が立っただけじゃ。」
(この2人がこれだけ恐れているってことは……狸の能力は相当強いんだろうな……。)
「何を呆けている!」
「ギャアッ!」
狸に意識を割いていたキリコの頭部にウーの鉄パイプがヒットする。成人男性の全力振りだ、老体に鞭打つどころの騒ぎじゃないだろう。
「グウゥゥゥ……! 『斬々舞々』ッ!!」
「風よ!!」
キリコの繰り出す武器を風で吹き飛ばす。大型のものはウーが雷撃で撃ち落とす。
「売女! 貴様の技はもう通じん! 疾く消えよ!」
ウーは人差し指と中指を伸ばし、拳銃のような形の手を作り、構える。トドメを刺すつもりだろう。
「……キリコッ!」
「行かせるかよ! 『空』っ!」
キリコの元に駆けつけようと走り出した菅笠の動きを“空“で封じる。あとは狸の出方次第だ。
「……やはりお主ら2人には荷が重すぎたか。儂の技を使うとするかのぅ。」
杖を地面にぶつけてコンっ、と鳴らし狸が技を放つ。
「『狡猾ナル者』。」
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