3-41 恐怖ノ宴
「紅狐サン……アレハ……。」
「かなりまずい。身動き一つとれなかった。」
具体的に何をされたのかはわからない。だが一時的にしろ、我々の動きは完全に封じられた。口は動き、音は聞こえ、Queenとヴィナスの動きは目で追えた。
「行動阻害カ……?」
「多分。あーちゃん、どう思う?」
「ふぇ……? き、気が付いたら動けなくて、いつの間にか動けるようになってました……。」
(ふむ……。制限できる時間はさして長くはない、と。ただ発動までが早く、回避は間に合わなそうだ。それに……複数人同時に仕掛けてくるとなると厄介極まりないな……。)
今はお互い30m程離れ、睨み合いの状態になっている。状況としては可もなく不可もなく、といった感じだ。
ーーHP:40/80。
ーー紅狐:60/100。毒。
ーーああああ:65/70。
……マズいな。こちらの体力が心許なくなってきている。相手の体力は……。
ーーQueen:70/100。炎上。
ーーヴィナス:75/90。
状態異常が入っているが、大したダメージソースにはならないだろう。既にヴィナスが水を放ち、炎上を打ち消そうとしている。
「お姉ちゃん! 大丈夫かにゃ⁉︎⁉︎」
「う……ううぅぅぅぅ……!」
「お姉ちゃん、新しいマスクにゃ!!」
顔を焼いたことによりマスクも一緒に焼け落ち、彼女の口元が露わになる。耳の付近、奥歯が見えるところまで口は裂けており、断面は薄皮だけが張っている状態なのだろう。肉がうっすらと見えている。元の顔が綺麗であったのならばあの状態は看過できないのも納得だ。
「可哀想……。」
同じ女性として、思うところがあるのだろう。紅狐さんが痛々しい表情を浮かべながら独り言ちる。
「……狐ぇ! 今お姉ちゃんをバカにしたにゃ⁉︎⁉︎」
紅狐さんの呟きを聞き、ヴィナスが反応を示す。
「違う。治してあげたい。」
「出来もしにゃいことを言うにゃ!!」
「ヴィナス……元々紅狐サンノ所為デハナイ。噛ミ付クナ。」
「五月蝿いにゃ! お前達にお姉ちゃんの苦しみがわかるにゃ⁉︎⁉︎」
そうヒステリックに叫び、ヴィナスは続ける。
ーー元々Queenは容姿端麗な美女だったらしい。
ーーその見た目を悪用するほどに。
結論としては、彼女は詐欺などを行ったことによりここに送られたらしい。“罪“の元であり、自身のアイデンティティである『美貌』を奪われて。
「お姉ちゃんは……お姉ちゃんは元に戻るために戦ってるにゃ! ウチにも優しくしてくれて……絶対、誰にも邪魔させにゃいにゃ!」
そう言い切り、ヴィナスはお札を3枚構える。
「……ウチの能力は『陰陽術を操る力』にゃ。これから技を出すから全力で抗うにゃ!」
陰陽術……! なるほど、ようやくヴィナスの唱える『急急如律令』の意味を思い出せた。陰陽道では術を使う際にこの文言を言う必要があった。
「急急如律令!!!!」
「紅狐サンッ!! アーチャン!!」
「『炎陣』っ!!!!」
「『攻の型、水龍』っ!!」
「ウオオォォォォ!!!!」
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