3-40 纏
「変貌せよ……『纏』っ!!」
技名を唱えた途端、身体が違う物質へと変わっていく。豪ッ! と音を立て、飛んできたお札を焼き尽くす。
「グ……オオォォ!!」
「にゃ……⁉︎⁉︎」
ーー全身から炎が燃え上がる。
ーー今や肉体はなく、炎そのものに変化した。
これが最後の技、『纏』だ。5分間自らの身体を全て炎へと変換し、物理的な攻撃を無効化する。ただし、弱点が無いわけではない。水や雷といった属性攻撃はダメージが増加する。
そして何より使用回数の制限だ。この技は神に勝手が良いと判断され、二回戦中2度しか発動できない。出来ればまだ温存しておきたかったが、この状況では切らざるを得ない。
「ひ、人型の……炎にゃ……?」
「アア、今ヤ私ハ炎ト成ッタ。」
発声器官が無くなるため、声は空気を揺らし無理矢理に絞り出す。変化したことにより、拘束の鎖は地へと落ち、自由を得る。
「ああ……! なんで……なんでなんでなんでぇぇ!!」
再度取り乱した様子でQueenがヒステリックに叫ぶ。Queenの技、『呪言』は健在であり、未だに右腕・右足共に感覚がない。だがこの状態になれば関係ない。今のところのQueenの攻撃は全て無効化できる。
「今度ハ……コチラカラ行クゾ!!」
Queenへと大きく踏み込み、左手の炎でQueenの顔右半分を焼く。相手も攻撃する腕に向けカウンターを仕掛けてきたが、無意味だ。炎の状態では全て通過する。
「ギィィヤアァァァァ!!」
「燃ヤシ尽クスッ!!!!」
左手の火力を最大にし、マスクごとQueenの顔を焼く。顔に悩みがあるのなら、それそのものを無くせば良い。
「お姉ちゃん! 逃げるのにゃ!」
「ああぁぁぁ!!!!」
再度お札を投げて援護しようとしているヴィナスは紅狐さんやあーちゃんに阻まれ、声をかけることしかできない。まあ逃げようとしても無駄だがね。炎の状態でもガッチリと掴み固定している。簡単には抜け出せない筈だ。
「熱い! 熱いぃぃぃぃ!!」
「燃エ尽キロォオォォ!!!!」
Queenの髪が焦げ、徐々に顔が焼け爛れていく。辺りには得もいえぬ臭いが漂う。このまま焼き続ければQueenは殺しきれる……!
「お姉ちゃん! 『恐怖ノ宴』を使うのにゃ!! 早く!!」
そんな状況を察したヴィナスがQueenに技の使用を促す。
(まだ技があるのか……⁉︎ 発動される前に焼ききらねば……!)
「……ウオォォオォォォォ!!」
「ス……『恐怖ノ宴』……!!」
あと少しで顔を全て焼ききれる、そう思った瞬間に技を発動される。
ーーそして。
ーー私の全身が動かなくなった。
「ナッ……!」
「えっ……⁉︎」
「動……けない……⁉︎」
「間に合ったにゃ!! 流石にゃ!!」
私だけではない。紅狐さんやあーちゃんも動けないでいるようだ。そんな中、私の動きが封じられている間にQueenは腕から抜け出し、我々から距離を取ったヴィナスの横へと駆け寄る。時間にして10秒にも満たないくらいだろう。身体の自由が戻ってきた。感覚を無くしていた腕や足も元通りに。
「今ノハ……。」
「Queen、なにしたの?」
「にゃにゃにゃ! 狐! そう簡単に教えてやるわけないにゃ! ざまーみろにゃ!」
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