3-39 天輪チーム3
「わたしのぉぉぉ、顔ぉぉぉぉ!!」
メスを振り回すも、距離が離れているため私には当たらない。……わたしの顔?
「なるほど……。もしかして君も記憶持ちか?」
口裂け女という呼び方に拒絶を見せ、今の顔の状態に錯乱しているところから推察するに、記憶持ちの可能性は高いだろう。
「記憶……わたしの……わたしの顔を戻してぇぇぇ!!」
(……顔を戻す? つまり今のこの姿と大きく乖離していて、それに対してこれだけ反応しているということか?)
尋常ではないほど取り乱し、Queenは武器を振るう。どう見ても正常とは言い難い。メスを振り回す腕を受け止め、動きを止めさせる。
「待つんだ! 君の顔は元々と違うというのか?」
「わたし……わたしぃ……。」
「おい!」
「ねぇ……わたし、今綺麗?」
「知らん!」
ーー途端に。
ーー右腕・右足の感覚が消えて無くなる。
「知らない……知らないってことは……やっぱり不細工なのねぇぇぇ!!」
しまった。YESやNOでなくとも、相手の解釈次第で答えになってしまうのか。何かしらの技の発動条件に触れてしまったらしい。視界は利くし、腕も動いている。だが動かした感覚そのものがない。
「クソ……! なんだこの技……!」
違和感しかない。拳を振おうにも、どうやって振っていたか、意識して行うのは難しい。型を体で覚えていたのが仇となったか。
「……天輪!!」
「急急如律令!!!!」
……Queenの出方を窺うのと自分の身体に意識を向けすぎたせいで、ヴィナスの急襲に気付けなかった。右腕に張り付く一枚のお札。そして梵字で「拘束セヨ」の文字。
ーーガキィン!!
ーー右腕に一本の鎖が巻かれる。
「お姉ちゃん! やるにゃん!」
「あああぁぁぁぁ!!」
「ちいっ……!」
腹部にメスが迫る。回避はもう間に合わない。メスは吸い込まれるように私の腹部へと突き刺さる。
「ぐぅ……!!」
「天輪!!」
「天輪さん!!」
紅狐さんとあーちゃんが炎や水を放ち、Queenを無理矢理離す。腹部にはメスが刺さったままで、体力はごっそりと持っていかれた。
「お姉ちゃん流石にゃん! 『呪言』がしっかり効いてるにゃん!」
「『呪言』……だと……?」
「そうにゃ! お姉ちゃんの技にゃ! フンドシ、どこを持っていかれたにゃ?」
……なるほど。Queenの技はどうやらランダム性があるらしい。持っていかれたのが視覚と聴覚でなくてまだ良かった。
「……さて? どこを持っていかれたと思う?」
「右腕は確実にゃ! あとは……目は見えてて声も聞こえてるから……どっちかの足かにゃ?」
ニヤァと嫌な笑みを浮かべ、ヴィナスはお札を構える。文字は見えないが、どうせロクでもない事が書かれているのだろう。
「まっ、どうでもいいにゃ。殺っちゃえば関係にゃいにゃ。」
「……そう易々とやられるとでも?」
「お姉ちゃんの技はサイキョーにゃ! それに、ウチの鎖で身動きが取れにゃい! 避けられるなら避けてみるにゃ!」
そう言い放ち、お札をこちらに投擲してくる。出来ればもう少し温存しておきたかったが、今が切り時だ。今覚えている中で最後の技を使用する。
「変貌せよ……『纏』っ!!」
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