3-36 じいさんこちら手の鳴る方へ
「擬態なんて舐めた真似しやがって……! 『鎌鼬』っ!!」
初っ端からヴィナス目掛けて全力で鎌鼬を叩き込む。
「にゃー! あ、あぶにゃいにゃーー」
「余所見とは余裕だな、毛玉ぁ!!」
鎌鼬を避けた先に向けて、後ろからウーが雷を放つ。
「にゃー⁉︎⁉︎ ふ、2人がかりにゃんて恥ずかしくーー」
「全く恥ずかしくないな! 『鎌鼬』っ!!」
「にゃー!!」
ウーの攻撃の後に間髪入れず鎌鼬を撃つ。さあさあ、いつまで耐えられるクソ猫?
「……む……。」
「む?」
「無理にゃー! じぃじ助けてにゃー!!」
俺とウーの連撃に早くも根を上げ、外へと向かうヴィナス。呼び寄せてもらうつもりだったが、狸の元へ戻るならそれはそれで構わない。相手が逃げやすいスピードで後を追う。
「ウー! 行くぞ!」
「分かっておる! 狗! 通信だ!」
「おう!」
俺達が入って来た場所と違う口からヴィナスは出ていく。このまま仲間達に何も言わずに出ていくのは些かマズいだろう。通信をしながら追いかける。
「みんな! クソ猫を見つけた! 裏口から出てって今追ってる! 付いて来てくれ!」
ーーー未占領地Bーーー
ヴィナスは途中で見失ってしまったが、一足先にウーと未占領の陣地に着いた瞬間、何かを壊した音が聞こえる。恐らく狸達がここのエリアを獲得したのだろう。
「ウー、アイツら全員揃ってると思うか?」
「……わからん。少なくとも十中八九罠だ。」
「みんなが来てから突撃するか?」
「……いや、そんな余裕は無いようだぞ。」
建物の入り口付近に影が3つ現れる。ウーからの圧が強まる。恐らくアレが狸、菅笠、キリコの3人だろう。
「カッカッカ! 小僧、懲りずに来おったか!」
「狸ぃ……! 今度こそ貴様を滅してやるわ!」
「キャハハハ! 小僧ぉ……会いたかったわよぉ?」
「俺が狗だ。そっちが“菅笠“と“キリコ“か?」
「……如何にも。」
「俺が居ない時に好き勝手やってくれたみたいだなぁ、今度こそ全員でおもてなししてやるよ。」
「おお、威勢が良いのう。最近の若いのはみんなこうなのかいのう?」
飄々とした態度でこちらの出方を窺う狸。敵チームのあと2人、ヴィナスと正体不明が見当たらない。
「おいおい、残りの2人はどうした? 俺達2人如きにビビって逃げたのか?」
「そんなことあるわけないだろう! あたしがアンタらを刻みたいから退かしたのさ!」
「ほーほー、えらく舐められたもんだなぁ。まあお前ら3人くらい俺達2人で軽く捻ってやるよ。」
「……驕りだな。」
「はっ! 狗めは事実を述べたまでよ! オレ1人にやられた2人など頭数にも入らぬわ!」
「クックック……! やはり活きが良いのぅ……! 最高じゃのう!」
至極愉快そうに笑う狸。通信で聞いていた感じでは殺人の気性はないとのことだが、どうやら元気が良い者と戦うのは好きらしい。
「さぁ……! そろそろこちらも始めるとするかのぅ……!」
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