領主からの依頼
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領主の館に辿りついた桜夜達一行は現在大広間にてささやかとは名ばかりの超豪華な食事を味わっていた。
「美味しい!マーリンの料理も勿論美味しいけど、何かまた別なアプローチの味っていうか」
桜夜は味わいながら自分なりの感想を述べると、
「そうね。すごく美味しいわ。凄く愛情がこもっている感じがする。」
リリアンも味に大満足なのか桜夜に同意する。
「そうだね・・・それこそ執念とも呼べるほどに・・・」
ポルクはそんな2人に対して何かを敏感に感じ取っていた。
ちなみに立食パーティの形式で各々が好きなものを皿にとっていくという前世でいうブュッフェ方式だ。
これは領主に気兼ねなく食べてもらいたいというサリーの計らいによるものだった。最初こそ緊張していた桜夜達一行であったが今は美味しい料理に舌鼓を打っている。
そんな大広間の端で兄妹2人は久しぶりの会話に花を咲かせていた。
「確かに聞いた話では、氷魔法と光魔法による演出だったわ。考えてみればお兄様の住んでいる街だし、お人好しのお兄様であれば協力すると考えられそうな物なのに・・・」
アソライト地方の領主ことマーリンの実の妹サリー・アソライト・フォレスは気づかなかった己の未熟さに盛大に溜息をつく。
「それよりさ、サリーは恋人とか居ないの?両親や祖父母に合わせるときは自分も呼んでね。」
しかし、そこは気心の知れた家族同志そんな妹の精神状態など気にも留めず爆弾発言を投下する。
「そ、そんなこ、恋人なんて居ません////・・・お兄様こそ恋人でも作れば良いじゃないですか?」
もう何年このやり取りをしているだろう。なまじ高いスペックとこの幼く見える容姿のせいでサリーは恋人など出来たことが無い。・・・その類の者たちからは熱烈な手紙が毎日のように届くのであるが・・・
「私は良いんだよ。もう年だし、誰からも恋愛対象には見られないしね。」
「は~~~・・・」
サリーはそんな兄の言葉に再び溜息をつく。
本人は一切気づいていないが、マーリンに対して好意を寄せている者は多くいる・・・それこそ男女問わず。
妹としても、こんなにお兄様よりも格好良い人はそういないだろうと思っている。(実は結構なブラコン)
にも拘わらずなぜ誰にも引っかからないかというと、マーリンの超×10とつく程の鈍感体質と、常軌を逸した女子力の高さにある。
つまり、初めは皆アタックを頑張るのであるが、あまりの鈍感さに心が折られ、マーリンのあまりの女子力の高さに女のプライドを木端微塵にされて離れていくのである。
しかし、中には強者もおり怯まず「いつか振り向いて見せる!」と武者修行の旅に出て宮廷料理人になった者、三ツ星レストランのオーナーとなった者もおり、未だにマーリンを招待してはその胃袋を掴んでみせると何十年越しのアタックを続けている者もいるほどである。
例えば・・・
「おお!これは美味しいね。特にこのソース・・・この深みは何だい?」
マーリンは近くにいた料理人に問いかける。
「そ、それは!南方のアラビエイト王国から取り寄せた香辛料とトマト、ニンジン、玉ねぎをベースに作成しました。更にそのソースもの間継ぎ足し、熟成させ旨みと滑らかさを出しています。」
いきなり質問された料理人は緊張しながらも、マーリンの質問に答える。
「そうかアラビエイトの香辛料を使っているのか・・・ここ最近産業が急激に発展して香辛料も普及していたね・・・結構癖が強かったはずだけど?」
「は、はい!しかし、その強い癖も熟成された強い旨みには良いアクセントになります。」
「うむ。本当に良く研究されている。腕を挙げたね・・・ミーシャ」
マーリンが名前を呼ぶと料理人の表情は驚愕に染まった。
「・・・この愚弟のことを覚えてくださっていたのですか!?」
「勿論だよ。可愛い弟子を忘れるはずないじゃないか。」
「かっ!可愛いだなんて!/////しっ!失礼します~~~!!!」
勿論マーリンの言った可愛いは我が子に対する気持ちと同じようなニュアンスであるのであるが、本人は赤面して走り去ってしまった。
(普段は「マーリン様のために~!!!!」とか言って飢餓状態の鬼のような執念深さで料理に勤しんでいるというのに・・・当の本人の前には初心な乙女の顔を見せちゃって・・・厨房仲間が今の彼女の顔を見たらどんな反応を見せるかしら・・・)
その一部始終を見ていた妹はやはりマーリンは魔性の女ならぬ”魔性の男”なのであると思った。
「・・・本当にお兄様にその気があれば女であろうが男であろうが簡単に籠絡出来るわよ、本当に鈍感なんだから・・・」
「?」
何かブツブツ言っているようであるがマーリンには聞こえなかった。
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「実はお兄様に折り入ってお願いしたいことがありますの。」
「なんだい?改まって」
急に真剣な口調になった妹にマーリンは向き合う。
「最近地方領主の館に次々と族に忍び込まれ、貴重な古代の遺産が盗難に合うケースが頻発していますの。しかも、手口から同一犯の可能性が高く、つい先日は隣のクロイツ地方の領主の館に入り込まれ、順番的に次はこの領内に来ることが予想されますの・・・」
「ふむ。警備が厳重な領主の館から何度も盗みを成功させているとは・・・相当な手練れだね。」
「はい。唯一ローズ地方の領主は食い止めたらしいですわ」
「まぁあそこには“彼女”がいるしね遅れは取らないだろう・・・でもそういうことなら彼女と同程度の実力を持っているマリーが食い止めれば良いんじゃないか?」
「お兄様絶対分かってて言ってますわね?確かに、私は戦闘力だけならこの国でもトップクラスですし、単独で竜討伐や数千の軍勢でも相手取れる自信があります。」
そうサリーは魔法の規模と威力に関しては、万能の賢者と言われているマーリンの遥か上をいき、この国の最高戦力の一つに数えられるほどの強大な魔力を持っている。その魔力量はマーリンのおよそ3倍に匹敵する。
「・・・しかし、こういった絡め手や戦略などは不得意なのです。」
しかし、彼女はそんな強大な力を持っているが故か細かい魔力操作に関しては得意としておらず、万能の賢者マーリンほど応用が利かない。そして、考えるよりも即行動というタイプの人物であるため小手先の技に弱いのである。(大抵は力でねじ伏せるのであるが・・・)
「まぁその古代の遺産が奪われても困るという訳ではないのですが、一応王が領主たちへの信頼の証に贈ってくれたものです。しかも、こうも盗賊にしてやられては領主としての面目が立ちませんわ。なのでお兄様に是非協力してもらい盗賊を捉えたいのです・・・どうか力をお貸しいただけないでしょうか?」
「は~・・・サリー私が世間では何と呼ばれているかは分かっているな?」
「万能の賢者・・・です」
「そうだね・・・そして、その由来は?」
「どの国や機関にも属さず民衆達の生活の手助けをしてきたお兄様に民衆達が信頼の証として名付けてくださいました。」
そうマーリンは国に属したことは無い。国自体に技術を与えると上層部で独占し、結果住民にまでその恩恵が下りてくるのに相当の年月がかかってしまうためだ。だからこそマーリンは今自分の力を必要としている民衆のために尽力してきたのだ。
「そうだね。私は民衆のためにこの力を使う。だから国や機関にも属さない、それはこれからも変えないつもりだ。志を変えるということは私を信頼してくれている民衆を裏切ることになるからね。」
「・・・・・」
「しかし、可愛い我が妹のお願いとあっては無下に断るわけにはいかないな。」
「お兄様!」
絶望していたサリーの顔は兄の言葉にパーッと輝く。大人ぶっていても彼女はやはりブラコンなのである。
「そこでだ」
マーリンが杖から光を放ったかと思うと次の瞬間、隣にある人物が忽然と姿を現した。どうやらマーリンは転移魔法を使ったらしい。しかし、現れた人物は食事の途中であったのであろう、テカテカ照り輝く巨大なチキンにかぶりついたところだった。
「彼を紹介したいと思う」
「ふぇ?もぉーりぃん、ぼぉーしたの?りょーしゅさもも?」
チキンを口の中いっぱいに入れている人物はモゴモゴと答える。
「食事中に呼び出してごめんね。妹からちょっとお願い事をされてね。ちょっと話を聞いてくれるかな
サクヤ? 」
そう現れた人物とは異世界から来た絶世の美少年(?)桜夜であった。
9/26領主の名前が途中からサリーからマリーに代わっていたので修正しています。ご迷惑をおかけしてすみません。




