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従魔のエリザベス

七色レインボー蜘蛛スパイダーとの激闘の末勝利した桜夜達一行はトーチの街に向かうため森を抜け、街に向かうために街道を歩いている途中であった。



行きはテレポートという空間魔法を使用したのだから帰りもテレポートを使用すれば良いのでは無いかと思わないでもないのであるが、いきなり街にAランクモンスターの七色の蜘蛛が現れれば住民が混乱するとマーリンに指摘されたことと、ナタリアが従魔との信頼関係を築く良い機会であるため徒歩でのゆっくりの帰還となった訳である。


ちなみにこの七色の蜘蛛、実は普通の個体よりもかなり小さいらしく、まだ子どもだそうで成熟した個体は倍もあり戦闘力も比べ物にならないのだそうだ。通りで戦闘経験の少ない桜夜でも対応できたわけである。まあそれでもCランク以上Bランク以下の強さがあるのであるが・・・



「さぁ私の下僕ちゃん!これからご主人である私のために働くのよ~」


「キュウ・・・」


ちなみにこの意外と可愛い声の持ち主は言わずもがな従魔である七色の蜘蛛の物である。ナタリアの声掛けに対して明らかに肩(?)を落としため息を吐く。


「なぜ?なぜあからさまにがっかりとするの?理由を言って頂戴!」


「キュウ、キュウ、キュ!」


「・・・あ~分かんないわね・・・」


「キュ~・・・」


「あの~たぶんですけど名前で呼んで欲しいんだと思いますよ?」


「私もそう思うよ。さすがに下僕は無いよ、下僕は・・・」


ナタリアと七色の蜘蛛の困った様子を見て桜夜とマーリンが助け舟を出した。


「そうね~確かに下僕じゃインパクトが無いわね~」


((いやいや、インパクトの問題じゃ無いって!))


「それじゃあ私の従魔に相応しい高貴な名前を皆で考えましょう!」


「「えっ?私たちも考えるの?」」


「皆で協力して得た従魔ですのよ?名前を決める権利があるのは当然ですわ!」


半ばナタリアに巻き込まれた形で、3人は道中に思い思い名前の案をそれぞれ挙げていく。しかし、ナタリアから「それは普通ですわ!」「なんかしっくり来ない・・・」という風に数多くの駄目出しを受け、しまいには「ふざけてますの?」と言われる始末・・・


そして長い3人の苦悩の末決定した名前が・・・


「今日からあなたの名前はエリザベスよ!」


「キュウ!」


という訳である。


ちなみに桜夜とマーリンはこの名前決めがAランクモンスターとの戦闘よりも遥かに疲労したのであるが、七色の蜘蛛ことエリザベスが嬉しそうにしていたので胸の内にそっと閉まったことは余談である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして何だかんだと話しているうちに3人と1匹はトーチの街の門が見えてきた。


門の前には衛兵が2人がおり・・・武器を身構えている。


エリザベスを連れている私たちを警戒しているのであろう。


「お~いアラン!ロラン!今帰ったよ~!」


ナタリアが衛兵に向かって叫ぶと2人は警戒を解き、武器をしまい話しかけてきた。


「ナタリアさん!それに先生に桜夜さんまで・・・驚かさないで下さいよ。それに何なんですかその派手な魔物は!」


アランは安堵な表情を浮かべつつ、エリザベスのことを指さす。


「私の可愛い従魔のエリザベスだよ。ほらエリザベス挨拶して」


「キュ、キュウキュキュ!」


ナタリアに指示されエリザベスは挨拶し8本足の1本を前に出しアランに握手を求める。


「これはご丁寧にありがとう」


「ってアラン何普通に挨拶してんだよ!この魔物は七色の蜘蛛だぞ!Aクラスモンスターだぞ!」


「でも・・・なんだか可愛いよ?」


「あぁ・・・なんでいつもはお前の方が頭良くて常識人なのに動物のことになるとボケボケになんだよ~」


このアランに対してロランが嘆くという珍しいパターンに桜夜は興味深いと思いつつ見ていた。


「それでそろそろ中に入りたいんだけど、年寄りには森を歩くのはちと骨が折れるからね」


((いやいや、行きも帰りもあなたが一番張り切って元気だったでしょうが!))


桜夜とマーリンは心の中で突っ込みを入れる。


「中に入るってまさかその蜘・・・エリザベスも入るってのか!?」


「もちろんだよ。私の従魔だよ?現に街の中を連れ歩いている奴らも居るじゃないか」


「だがな。いきなりこんなAランクモンスターが街中にいたら住民が混乱するだろう・・・」


「良いじゃん可愛いし。可愛いは正義だよ」


「・・・おまえは黙ってろ」


それからひたすらロランはエリザベスを街の中に入ることの説得を試みるが中々折れなかった。しかし・・・


「通しておくれよ~あんたとマリアの花嫁衣装もこの子の最高級の絹糸で作ってあげるからさ~」


「な!!!」


ナタリアの発言でロランは耳まで真っ赤にして狼狽えた。既に酒場での告白は街中に広まっているので今更だと思うのだが・・・年頃の男子の可愛らしい反応に周りから微笑ましい視線が送られる。


「あ~~もういい勝手にしろ!上官には報告させてもらうからな!」


視線に耐えきれなくなったロランは顔を真っ赤にしながら渋々道を開けた。


「ありがとね」

「キュ、キュウ」


そして桜夜達とエリザベスは無事にトーチの街に着くことが出来たのである。


それにしても急にナタリアの口調が街を出る前のおばさんっぽい物に戻った・・・2重人格なのだろうか?1度精神科に見てもらった方が良いのではないかと桜夜は一瞬本気で思ったことは秘密である。


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