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準備は着々と

久しぶりに投稿させていただきます。

 セレスティアという異世界の東の辺境にあるトーチの街の更に端に建てられた粗野なテント。実は空間魔法がかけられており、実際に中に入ってみると見た目よりも3倍ほど広い空間が広がっている。このテントは昔芸人一座"アイド~ル"の座長が独立するにあたり、お世話になっていた"オーナー"から気前良く譲ってもらった品で、市場に出せば金貨10枚(日本円で約1,000万)は下らない魔道具である。譲ってもらった本人はしばらく経ってからテントの価値に気づいたのだが時すでに遅く、今の自分たちでは到底行けないような異国に旅立った後であった。


そんな彼の夢は、いつか"オーナー"に自分が作った一座を観てもらって喜んでもらうことであり、それこそが芸人としての色はを教えてくれた”オーナー”への最高の恩返しであると思っている。


そして今日も夢の第一歩としての豊穣祭に向け、芸人達は連日練習に明け暮れていた。そして、一際声を張り上げ先頭に立ち芸人たちを指導しているのは、茶色い長髪を一本に結んだ美少年。


「よ~し!皆良くなってきてる。今のところもう一度カウントで通してみよう!いくよ~ファイ・シックス・セブ・エイッ!!!ワン・トュー・スリー・フォー・・・ここでタ~ンして、ポージング!次は・・」


桜夜はカウントで声でとりつつ、軽快かつ丁寧な動きで一つ一つのステップを踏む。勿論、桜夜の動きを真似て必死に覚えようとする芸人の様子も見ながら、必要時はアドバイスも欠かさない。そして、隣で桜夜に負けず劣らずしなやかな動きを見せているのは褐色の肌を持つ美丈夫・・・マーリンである。


なぜこのような状況になっているのかは少し前に遡る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


先日までスランプに陥っていた彼らであったが、


「へ~”魔法演出””ダンス”それに”衣装”ね~・・・私が手伝おうか?」


マーリンがテントを訪れ、何気なしに発した一言で事態は一気に好転した。


一つ目の課題”魔法演出”


巷で”万能の魔術師”と呼ばれているのは伊達ではなく、今までリリアンが頭の中で想像するだけで実現が難しかった”魔法演出”の内容を駄目もとで話してみるとあっさり「出来るよ~」と答えが返ってきたうえに、更に改良のため皆でアイディアを持ち寄ることになった。


二つ目の課題”ダンス”


マーリンはダンスも相当の腕前で前の世界のバレエやジャズダンスを彷彿とさせる流れるような美しい動きを見せた。


唯一の欠点は音楽に合わせ振り付けを作ることは出来るのだが、たった今やった動きを忘れてしまうことだ。

しかし、その欠点も桜夜のずば抜けた観察力で解決した。桜夜は振り付けを付けることは出来ないが、一度見た動きを覚え、模倣し、最適化することが得意なため、マーリンは好きなように踊り桜夜はそれを覚えるという役割分担が自然に形作られた。


その結果、次の日には振り付けは完成した。


最後の課題”衣装”


衣装についてはコスト面が深刻な問題であったが、桜夜の実戦も踏まえマーリンと一緒に素材から調達し、以前に桜夜の装備を購入した店の店主ナタリアとマーリンで仕立てるとのことだった。何でもマーリンと彼女は裁縫仲間・・・いや戦友とも言うべき間柄らしく、マーリンも彼女に負けず劣らずの腕前らしい。ナタリアの仕立て代金は余った素材を引き取ってもらえば、相場よりも相当安く引き受けてもらえるだろうとのことであった。


ここまで至れり尽くせりのマーリンに対するお礼が出来ないと一座の皆は思っていると、


「いやいや私が若い子たちの力になれるのは私も嬉しいし気にしないで?そのかわり衣装とかは私の独断と偏見で作らせてもらうからね。文句は無だよ?」


このとき見せたマーリンの笑顔はいつもの優しげなものではなく、以前見たナタリアのような己の欲望に忠実な者の眼だった・・・このとき誰もが思わず後ずさりし、マーリンに”衣装”まで頼んだことを後悔したのは余談である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

完成した振り付けを皆に振り写したところで、各々で自主練をしてもらいつつ、桜夜とマーリンはナタリアの店を訪れていた。


「サクヤにマーリン!良い仕事を持ってきてくれたねぇ~!普段着はどうしても華やかさよりも実用性が求められるから、フラストレーションが溜まってるのよ~!まぁ私の作る服は”華やか~!”かつ”実用性もバッチリ!”なんだけどね~~~!自分の才能が怖いわ~!オ~ホッホッホッホッホッ~~!!」


「私も教会の子たちに服を作っているけど、”フリフリ~”した物や”萌え~”な物を作るとマリアやモーリスに怒られるから好みの物を作れてないんだよね~・・・今回は思うままにヤ・ラ・セ・テ・モ・ラ・ウ・ト・シ・マ・ス・カ。フッフッフッフッフッフッフッフッフッ!」


そんなナタリアとマーリンの怪しげな会話が繰り広げられている中、桜夜がジト眼で視線を送っていると2人はしばらくして桜夜が居たことを思い出し顔を赤くしつつ本題に切り替えることにした。


「サクヤごめん。つい興奮しちゃって・・・」

「私も少し抑制が利かなくって・・・」

「大丈夫ですよ~お気になさらず~(棒読み)では、さっそく話し合いましょう!」


と桜夜の大人な対応で話し合いが始まった。

衣装はリリアンの物は勿論、ポルクや座長、他の芸人さんの物まで考えられた。

最初は異常な会話をしていた2人であったが、仕事への情熱は素晴らしかった。コストを考えつつも一切の妥協を許さず、各々の意見をぶつけ、時折桜夜の意見を聞き、衣装のデザインと必要な材料を挙げていく。あまりの集中力に時が経つのを忘れ、気づけば夜は明け、朝日が昇り始めていた。


「よし!皆のデザインと作るのに必要な材料は分かった!」

「うん!中々の出来ね!作るのが楽しみだわ!」

「2人とも本当にありがとうございます・・・お疲れでしょうから、ゆっくり休んでください。」


桜夜は眠気でフラフラしつつも頑張ってくれた2人にお礼を言ったのだが・・・


「「えっ?何言ってるの?」」


と凄~~く不思議な何かを見るような2人の視線を浴びた。


「何って・・・もう朝ですよ。休むんじゃ・・・」


「「だって、まだ材料すら取りに行ってないんだよ?」」


「!!!」


ここで桜夜は気づいたこの人たちは話の先が気になっても本を毎日何ページかコツコツ読むタイプではなく、読み終えるまで何時間かかろうと読み続けるタイプの人間であると・・・しかし気づくのが遅すぎた。


「「テレポート!」」


2人の声が店内に響き、そこに今までいた3人の姿は跡形もなく消え去っていた。

実習が終わるまで2週間!頑張ってきます。

投稿不定期ですが今後も読んでいただけると嬉しいです。

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