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桜夜VSモーリス

桜夜が教会で魔法を習い早2週間が経過した。


”魔力循環”を覚えた桜夜はその後の1週間をかけて拙いものの”魔力操作”が出来るようになっている。具体的に言うと水であればバケツ一杯分、石であれば約5kg、火であれば火力を強めたり別の媒体への移動、風であれば紙飛行機で中庭を1周するといった具合である。


桜夜は本人はもっと派手な魔法を使いたいらしく大したことと思っていないが、周りからしてみると2週間でこの成長速度は異常であった。なぜなら2属性の”魔法操作”が出来るのは本来であれば早くても半年は掛かる。それなのに2週間で4属性を操っているのだから・・・ちなみに明日から中級クラスに行くようにとマリアから言われている。



桜夜は今教室で子ども達と肩を並べて語学の授業に参加している。というのも桜夜はセレスティアの人達と会話はできるが読み書きが出来ないからである。


なぜ地球から来たはずの桜夜がセレスティアの人達と会話できるのかとマーリンのお陰なのである。実は最初マーリンと会った時、桜夜と会話が通じなかったことから”言語翻訳”という魔法を使っていたのだそうだ。この魔法は聴覚から得た言語は脳内で当人使っている言語に翻訳され、また当人が話をするときも相手の分かる言語に翻訳されるというものらしい。桜夜もこの魔法のお陰でセレスティアに溶け込むことが出来ているのだが・・・


(マーリンと初めて話したとき魔法を掛けた素振りや掛かった感覚は無かったように思うんだけど・・・まぁ良っか)


そんなことを考えつつ語学の授業を終えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ここ最近の日課は武術の授業を見学することである。英雄や冒険者に憧れる子ども達が毎日懸命に汗水垂らし稽古している姿は何とも微笑ましい。


ちなみに武術の先生は・・・なんとモーリス神父である。なんでも昔は聖騎士団に所属し団長になるほどの腕前であったとか。現在も老いているものの剣線と身体の身のこなしには素晴らしく、純粋な剣技だけならばトーチの町一番だそうだ。


(あ~あの子また途中から力任せに剣を振って・・・途中まで良く攻めていたのに・・・おっ!あの少年!冒険者になるのが間近なだけに動きがやっぱり良いな~筋肉も程よく付いていて剣士には理想的なボディ・・・、おお~この中でも珍しい女の子もう少しで一本取れたのに~惜しい・・・ありゃ~泣いちゃったか~少女よ良く頑張った!その涙の数だけ強くなれるよ~)


そんな風に心の中でエールを送っていると、モーリス神父がこちらを見て手招きしている。桜夜は自分の後ろを見て誰もいないことを確認し、(私ですか?)と自分自身に指をさして小首を傾げると、神父は(そうだよ。おいで)と頷きながら答えたので、桜夜は小走りでモーリス神父のもとへ向かった。


「モーリス神父お疲れ様です。」


「サクヤ殿、急に呼んで申し訳ない。あなたが教会に来てからずっと稽古を見学に来てたもんじゃから剣術に興味があるのかと思っての、声を掛けたわけなんじゃが・・・」


「そうでしたか。確かにわた・・僕は剣術に興味があります。それに人の観察をするのが習慣となっていまして・・・」


元の世界で運動部の兼任マネージャーの性か人間観察は桜夜は趣味みたいなものだ。


「そうか観察をなぁ・・・お主自身は経験無いのかの?」


とモーリスは再び桜夜に問いかける。


「いえ経験はあります・・・たしなむ程度ですが・・・」


というのも整骨院・整体院である我が家の家訓に「運動する奴らのことはそいつ等にしか分からねえ・・・分からねえことは自分でも同じ経験をして掴み取れ!」というものがあり、運動部の兼任マネージャーの桜夜も家訓に乗っ取り、マネージャーの仕事の傍ら練習出来るときは参加していた。元から運動神経が良かったので、どの部活動もレギュラーにギリギリ入れる程度には鍛えてある。


その中には全国区である剣道部もありエースから1本取ったこともあるので一応剣術の経験があるわけだ。実践を想定しないスポーツ競技としてのものであったが・・・


「そうか、そうか。どうかなワシと一戦交えてみんか?最近は勉強ばかりで碌に運動もしていなかったじゃろう?」


確かにモーリス神父の言葉通り、トーチの街に来てからまともに運動は出来ていない。寝る前に腹筋と腕立て、背筋のトレーニングは続けているが毎日は効果的ではないので1日おきである。


(この機会に身体を自分が剣術を習うのも良いかもしれない)と桜夜はおもった。


「やりましょう」


「おお!やってくれるか!この木刀しかないが良いかの?」


と言うとモーリスは木刀を渡してきた。全長は100センチくらいの物で樫に近い素材であった。持ち手には滑り止めの汚れた布がグルグル巻かれている。


「はい。問題ありません」


そして桜夜は木刀を受け取った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


中庭には現在緊張した空気が流れていた。中央には桜夜とモーリス、周りで稽古していた者は手を止め中央の2人を見ている。


「準備は良いかの?」


「はい。お手柔らかにお願いします」


一言言葉を交わした後、2人は無言で剣を構えた。


(見たことも無い構えじゃ・・・しかし隙が無い。先に仕掛けるべきか待つべきか・・・)


とモーリスが出方を伺っていると、桜夜は大きく息を吸い・・・


「ヤヤヤヤヤヤヤヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


と気迫に満ちた掛け声を上げた。周りにいた者はモーリスを除き、あまりの気迫に気圧された。


(何という気迫!一瞬呑まれそうになったわい)


日本の剣道では良く見られる”掛け声”はセレスティアの人達にとって新鮮だったようだ。


間合いを詰める両者。先に仕掛けたのは・・・桜夜であった。掛け声を上げながら1歩踏み出し上段から打ち付ける!しかし攻撃は止められ一度離れる。再び間合いを詰め剣先でモーリスを挑発するが乗ってこない・・・と思ったときモーリスは連続で打ち付けてきた


何とか防ぎきり一度大きく距離をとる。


(速い!目で追うのがやっと!でも高校で練習したときよりも身体が軽いし、反応できてる気がする。”魔力循環”の恩恵かな)


(防御が硬いの~打ち合いは長引きそうじゃ。長期戦は身体に応えるの~・・・やはり短期決戦じゃな)


モーリスは屈み次の攻撃の準備をする。その体制を見て桜夜は・・・


(何か仕掛けてくる、でも距離は離れているし何をする気・・・ん?)


桜夜はここで不思議な事に気づく。


モーリスの身体を良~く見てみると脚に何かモヤモヤしたものが集まっていくのである。更に良く見ると驚いたことにモーリスの脚の筋肉が状態が透けて見え、そのモヤモヤがその筋肉を活性化させていた。


(何がなんだか分からないけどヤバイのは確か!)


気を取り直しモーリスに再び剣を構えた次の瞬間だった、脚を一歩踏み込んだモーリスがなんと


・・・・あり得ないスピードで桜夜のすぐ前まで移動し突きを放ってきたのである!


桜夜は何とかその突きを木刀で受けるが、余りの破壊力に3メートル程飛んだ。

何とか受身をとった桜夜であったが身体に大分ダメージを喰らい、木刀にはヒビが入っていた。


(え~~!ドンだけ破壊力あるの!?しかもこれじゃまともに打ち合えない・・・)


降参することも考えたが、すぐ頭の中から消す。


(駄目駄目!3年生の甲子園が1度きりのように、このセレスティアでやる模擬戦も1度きり、いつも部員達に言ってるじゃない!今こそ再びマネージャーとしての真価が問われるとき!)


「ネバ~~~ギブア~~~プ!」


桜夜は叫びながらモーリスに突進していった。




まさか木刀にヒビが入った状態で立ち向かってくると思わなかったモーリスであったが、


(買わせてもらう!その心意気!)


桜夜の気持ちに応えようと最後の突きを放つ!


桜夜は何とか受け止め、上に弾いたものの木刀は砕け散ってしまった。


(よし!ワシの勝ち・・・ん?)


桜夜は木刀が折れたのにも関わらず、手ぶらでモーリスの懐に入り込むと桜夜の木刀を折った突きで前に出された腕を掴み・・・肩に背負った。


「ちょっちょっ!待っ「ネバ~~ギブア~~~プ!」て~・・・・ゲフッ!」


気づけばモーリスは地面に転がり・・・・・桜夜は見事な一本背負いを決めていた。

次回の投稿は1週間後くらいになりそうです。

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