空を泳ぐ金魚とキケン
「あっ、魚が空を泳いでる。良いなあ、ボクも泳げたら良いんだけど」
春を越した初夏めいた空に金魚、錦鯉などの川魚が泳いでいた。フワフワと気持ちよさそうだ。
光眼は不意に刺さったままのユニコーンの角を思い出した。コレを額につければ――空を飛べるのではないか?
「それはオススメしないな。ユニコーンみたいに、角が取れたら消えてしまうからね」
またどこかから声がして、探していると電信柱にもたれかかり、スマートフォンをいじっている少女がいた。
着物めいた服装だがどこか違う。それに姫カットをばらしたアンバランスな髪型をしている。
チグハグな女の子。
「あちらでは君のおばあさんが捜索願を出しているみたいで、ニュースになってる。ほら」
画面を向られて警戒していると、女の子はハハハ! と笑う。
「その顔はそっくりだ。君は確か――光眼だったかな」
「ニュースに書いてあると思いますけど」
「つまらないなぁ。ねえ、ミツメ。空をああやって飛んでみたいと思わないか?」
「うん。おもう」
長年の夢だもの、と左江内 光眼は呟いた。フヨフヨと魚たちは空を優雅に泳ぐ。
「私の下につけば、空だって壁だって走れるようになるぞ? どうだ」
「ええ! 本当っ?」
「フフ。純粋でおもしろい。そうだよ、私はそういうの摩訶不思議な事に長けているんだ」
年齢に見合わない口調をしていたが、ドヤ顔は幼気で少し胡散臭さは晴れた。
「私の名前はキケン。君は?」
「ミツメ。……左江内 光眼」
「しかと聞いた。認識した。左江内 光眼。これからよろしくね」
なぜだか嫌な予感がして、ユニコーンの角を触るしかない。胸は貫かれているからだ。




