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紅灯無形 〜こうとうむけい〜  作者: 犬冠 雲映子
異界へ行っちゃった
8/10

不思議 不自然

「――てめえ! 俺のとおちゃんを殺しやがって!!」




 クラスメイトにいきなり突き飛ばされ、尻餅をついた。いつもはクラスのムードメーカーを買ってでる程の、陽気な少年のはずだ。

「お前が槍を降らしたんだろ?! だから」



「待てよ、コイツ、なんか、刺さってんぞ」


「やだ……何あれ」


 教室にいた生徒たちから化け物をみるような目つきで、光眼は見下される。


「あ、これは、ユニコーンに刺されて。不思議と生きてんだよね」

 あはは、と笑ってみせたが、火に油を注ぐだけであった。


「じゃあやっぱりお前が犯人なんだっ」

「落ちつけって伊藤。さすがの電波にもそこまでできないだろーよ」

 仲が良いらしいクラスメイトが、伊藤を止める。「でもとおちゃんは帰って来こねえよ」


 こんなかにも死んだヤツがいるんだぞ?! ――と、彼が叫び、ざわついていた空気が張りつめた。


「……でもさあ、それってボクに関係ないよね? ボク、そんな風に君たちの事一瞬たりとも思ったりしてないし、槍が降るのは普通(・・)でしょ?」

 あけすけに言い放つ左江内 光眼を伊藤が何度も殴るが、いきなり「アガッ」とえづくと、倒れてしまった。



「伊藤くん?!」

「いとーっ!」


 皆がワッと集るように心配する。口からたくさんのフナムシが湧いてくると、女子たちが阿鼻叫喚に陥った。


「あ、フナムシ。海、行ったんだー? 伊藤くんもズル休みしたの(・・・・・・・)?」

 皆が固まった。昨日は授業があるし、大切なテストもあったのに。


 成績優秀で才色兼備な伊藤は休んでいた。



「このっ! 電波女!」

 親友と思わしき少年にもう一発殴られ、光眼は呻いた。






「いてて……みんな、ひど」

 頬に氷嚢を当てて、保健室でボンヤリしていると保健の先生が麦茶をくれた。


「しょうがないわよ。世界がこんな風になってしまったのだから、皆、おかしくなるわ」

「そう……ですか? 保健のセンセは?」

「普通よ」


 紙コップの中に注がれた麦茶の中にはカエルの卵があった。

海なし県なのでフナムシを実際に見たことがありません。

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