ユニコーンだっ!
朝一番、通学路でユニコーンを見かけた。あの伝説のメルヘンな生き物だ。
ユニコーンは白馬で毛並みはツヤツヤでオーロラ色をまとっているように見えたし、額には角が生えていた。まさに想像から飛び出しかのごとし。
光眼は嬉しかった。何度も空想の中で、背中に乗り、空をかけた。
あの生き物が存在している。
「ユニコーンさん、ボクを背中に乗せてくれませんか?!」
一か八か、かけよって話しかけてみた。美麗なたてがみを風になびかせて、ゆったりと歩いていたユニコーンはこちらを一瞥しただけで無反応である。
「あ、ボクは光眼って言います! 光る眼ってかいて、ミツメです! よろしくお願いします」
「あーっ、ユニコーンだっ! すごーい」
道端で幼稚園児の列がユニコーンを指さして、キャアキャアと声を上げる。
「こ、こらっ、不用意に騒いじゃダメよっ」
幼稚園の先生からしたらこの世には存在しない化け物であろう。慌てつつも子どもたちをなだめる。
「なんでー?? 先生ー、お姫さまがユニコーンと仲良くしてたよ」
「そうだよ、やさしいんだよ」
「いや、コレ、そこまで優しk――」
いきなりどつかれた衝撃で、左江内 光眼はアスファルトに転がった。「いてええっ」
悲鳴が上がり、園児たちが走って逃げていくのが横目に見えた。そうして己の胸にユニコーンの鋭い角が突き刺さっているのに気付いた。
「うっ……痛くない? ボクは生きてる……?」
なぜだか……痛みもない。出血もない。
あちら側は角が取れてしまい重症なのか、いななきか悲鳴ともつかぬ鳴き声をあげ、ドロドロと溶けてしまった。
「うわ、なんだったんだ。ていうか抜かないほうが見のためかな? じゃあ、このままでいいや」
心がよほど清らかだったのだろう、と光眼は決めつけて学校に向かった。




