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紅灯無形 〜こうとうむけい〜  作者: 犬冠 雲映子
異界へ行っちゃった
7/8

ユニコーンだっ!

 朝一番、通学路でユニコーンを見かけた。あの伝説のメルヘンな生き物だ。

 ユニコーンは白馬で毛並みはツヤツヤでオーロラ色をまとっているように見えたし、額には角が生えていた。まさに想像から飛び出しかのごとし。



 光眼は嬉しかった。何度も空想の中で、背中に乗り、空をかけた。

 あの生き物が存在している。



「ユニコーンさん、ボクを背中に乗せてくれませんか?!」

 一か八か、かけよって話しかけてみた。美麗なたてがみを風になびかせて、ゆったりと歩いていたユニコーンはこちらを一瞥しただけで無反応である。


「あ、ボクは光眼って言います! 光る眼ってかいて、ミツメです! よろしくお願いします」



「あーっ、ユニコーンだっ! すごーい」

 道端で幼稚園児の列がユニコーンを指さして、キャアキャアと声を上げる。

「こ、こらっ、不用意に騒いじゃダメよっ」


 幼稚園の先生からしたらこの世には存在しない化け物であろう。慌てつつも子どもたちをなだめる。


「なんでー?? 先生ー、お姫さまがユニコーンと仲良くしてたよ」


「そうだよ、やさしいんだよ」



「いや、コレ、そこまで優しk――」

 いきなりどつかれた衝撃で、左江内 光眼はアスファルトに転がった。「いてええっ」



 悲鳴が上がり、園児たちが走って逃げていくのが横目に見えた。そうして己の胸にユニコーンの鋭い角が突き刺さっているのに気付いた。


「うっ……痛くない? ボクは生きてる……?」

 なぜだか……痛みもない。出血もない。


 あちら側は角が取れてしまい重症なのか、いななきか悲鳴ともつかぬ鳴き声をあげ、ドロドロと溶けてしまった。




「うわ、なんだったんだ。ていうか抜かないほうが見のためかな? じゃあ、このままでいいや」

 心がよほど清らかだったのだろう、と光眼は決めつけて学校に向かった。

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