縁の脆さ
二十年前に行方不明になった近所の人が帰って来た。
それもホルマリン漬けの、バラバラになった状態で。
家族は送られてきた愛娘の変わり果てた姿に卒倒し、そうしてなお生命活動をしているのを不気味がるようになったという。
「あんなにビラまで作って、探していたのに」
「残酷よねえ。人って」
「家族を倉庫に封じ込めちゃうなんてねー……」
井戸端会議を開いていた主婦たちがヒソヒソと話題の一軒家を見つめている。
「へえ、居なくなった家族が帰って来るんだあ」
左江内 光眼はそれを小耳にはさみながらも、首を吊って死んでしまった両親、そうして兄弟を思い出す。なぜ一家心中――いいや、自分自身だけ除かれて、死んだのかはわからない。
さすがの光眼にも怒りはあった。
仲間外れは嫌いだ。家族からも仲間外れにされるなんて。
(もし、あのひとたちが蘇ったら……? ボクはどうするのかな)
決まっている。
――もう一度、正しい状態に戻してあげるべきだ。
(そういやおばあちゃんどこ行っちゃったんだろー? クジラに食べられちゃったのかな?)
最近は街にもクジラが出るようになり、家ごと飲み込んでしまうらしい。ならおばあちゃんも被害にあったのかもしれない。
優しい人であったから、お茶会に行っちゃったのかも?
(明日はグラウンドに出たっていう妖精を見に行こう。楽しみだな〜〜)
光眼は今日も楽しそうだ。




