雑な夢のお告げ
左江内 光眼は夢を見ていた。久方ぶりにファンシーでパステルカラーな世界で甘い綿菓子を食べている夢。
周りには美しい妖精が舞い、クスクスと楽しげに笑っている。
これこそ光眼が想像していた魔法の世界であった。
「そこのバカタレよ」
いきなりひどい言葉をかけられ、声のヌシを探す。すると眼の前に馬に似た何かの生物が――佇んでいた。
「わが名は天馬。ものすごく雑に言うとユニコーンの親戚だ」
「てんば? 馬に見えないけど……」
「バカタレ。天馬だから天馬なのだ。この世界ではそうでならねばならん。お前はユニコーンの形見を所持している、そうしてその力を我がものとして使おうとしている」
馬くらいの大きさではあるがどちらかというと犬科に似ている。銀に光る体毛はどことなく四ツ目を彷彿させた。
が――そんな事、夢なのだからどうでもいいか。
「ボクが力を?!」
「そう。穢れなき希望の象徴になるか、己すら破壊し尽くす武器になるかはお前次第だ」
「え、ええっ、そう言われましても……」
ユニコーンの角はユニコーンによって刺されたのであって、自分は無関係では。
「魔法が使いたいんだろう? めんどくさいからあれだが、好きに使え。用法用量を守ってな」
「えーっどうやって?!」
「魔法らしく呪文でも唱えろ」
「ざ、雑う!!」
天馬はしなやかにファンシーな夢を闊歩して消えていった。
「雑なひとだったなあ……」
妖精たちにクスクスと笑われながらも、ボンヤリとしているしかなかった。それよりも綿菓子を食べよう。
最近は甘味すら口にしていなかったから。




